昔のパ・リーグでは投手と審判が揉めなかった、驚きの理由とは?

若狭敬一のスポ音 / スポーツ

元中日ドラゴンズ監督で野球解説者の山田久志さんが、5月25日放送のCBCラジオ『若狭敬一のスポ音』に出演し、現役時代のパ・リーグ審判との付き合い方について語りました。

山田さんの現役時代、当然、ビデオ判定、リプレイ検証などというものはありませんでした。どのように審判の方々と付き合っていたんでしょうか?
聞き手は若狭敬一アナウンサーです。

まずは性格を知る

「まずはアンパイアの性格を知るっていう。性格っていうのか、癖っていうのか、タイプっていうのかな。
ピッチャーだから特に球審やるような人については知ってる方がいいね。これは長い間、投げてたらわかってくる」と山田さん。

ストライク、ボールの癖。例えば外に広いとか、内に広いとか低めに辛いとかの特徴が、一人一人の審判に必ずあるそうです。その癖が変わることは絶対にないんだとか。
 

癖は誰にも言わない

「例えば若狭審判がいるとする。『若狭審判は高めにちょっと甘いよな』とか審判の癖は、私は絶対に言わなかった」

山田さんが見つけた各審判の癖は、チームメイトにもマスコミに聞かれても言わなかったそうです。その理由は…。

「知られると、今度、高めが辛くなるの。でしょ?俺、高めに甘いのか。じゃあ高めをちゃんと見なきゃいかんな、と意識してしまうじゃない」

審判の心理まで読んでいた山田さん。
 

紙一重の判定

良いボールを投げて自分ではストライクだと思っても、ボールの判定をされることもあるそうです。

当然、ピッチャーも人間です。納得がいかないこともあります。ある時、その回が終了してアンパイアとすれ違いざまに、山田さんは「さっきのストライクじゃないの?」と聞いたそうです。

山田「『良いボールだった。でもなあ、半紙一枚ボール』って」
若狭「半紙一枚?」
山田「紙一枚分だけ外れてるって、そういうアンパイアもいたよ」
若狭「へえ~。向こうも返す言葉が粋ですねえ」
 

清原が受けたプロの洗礼

山田さんが、PL学園から西武ライオンズに入団した清原和博選手と、初めて対戦した時のこと。
当時のピッチャーは投球テンポが速かったそうです。若いバッターは速いテンポに慣れておらず頻繁に打席を外したんだとか。

「アンパイアが…藤本さんって人だったかな、『清原、誰が投げてると思ってるんだ。タイムかけたら怒られるぞ』って。アンパイアも『早よ、入って』って促して」

その後、外れたボールでも「ストライク~」の判定。唖然とする清原選手に「お前、誰が投げてると思ってるんだ」とアンパイア。
これがプロの洗礼、というのでしょうか。

「そういうアンパイアが多かった」としみじみ語る山田さん。
 

審判と揉めない理由

また、こんなことも。

山田さんの他、西武の東尾修さん、近鉄の鈴木啓示さんらのベテラン投手について、審判には「コントロールが良い」という思い込みがあったそうです。
そのためツーボールになったら、次はボールが来るわけがない、必ずストライクが来る、というイメージが審判の中にはあったそうです。

「少々、どうかなっていうところでもストライク。それで、ニコッと笑って、うんうんうんって頷くっていうね」

山田さんたち往年の大投手は、審判と良い付き合い方をしていたようです。

「昔のアンパイアは、クレームみたいなのを必ず聞いてくれる。その答えがユニーク。ユニークって言ったらおかしいけど、非常に気持ちいい。

『今のはなあ、ストライクはストライク。だけど俺、お前のボールじっくり見えてなかったから、もうちょっと見やすいようなボール投げてくれや』とか。こんなアンパイアどこにいるんだ?って。だから怒るに怒れないから揉めない」
 

アンパイアの復讐

ベンチの選手たちは、よく審判をヤジるんだそうです。

ある時、「今のはストライクだ」とクレームを飛ばしていたところ、アンパイアがマスクを外してベンチに向かって来たそうです。
アンパイアには誰が言ったかわかるはずもないはずですが、「お前、いま喋っただろ?退場!」と宣告。

「『僕じゃないです!』って言うんだけど、『いいやお前だ。お前しかいない。退場だ~』って。ヤジった本人はニコニコ笑ってるの。そんな野球だったもんね。面白かったなあ、アンパイアとは」
 

ピッチャーに必要な事

山田さんがよく憶えているのは、クキさんという背が高いアンパイア。
膝が悪いから屈めず、見下ろすように判定していたそうですが、それゆえコースの高低がわかりにくかったそうです。

「私、高めで勝負する方じゃない?アンダーハンドで下からガーンと投げるから全部ストライク。試合の時に『今日はクキさんだ。よーし、今日は勝った』って、もうやる前からわかる。
藤本さんみたいに、半紙一枚とかって言われたら『今日は大変』となる。
アンパイアとの相性とか特徴を掴むことは大切なの」

古き良き時代のパリーグの審判とのやり取り、山田さんならではのお話でした。
(尾関)
 
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2019年05月25日13時16分~抜粋

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