若狭敬一のスポ音

中日・与田監督によるいきなりの紅白戦を、山田久志が分析

2月1日からキャンプインした中日ドラゴンズ、3日には早くも紅白戦を開催しました。

2日の『若狭敬一のスポ音』では元中日監督で野球解説者の山田久志さんが、中日の与田新監督が早々に紅白戦を開催した理由を分析しました。

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いきなり紅白戦の狙い

山田「おそらく二つぐらい監督は考えてるんだと思うね。与田監督は、楽天でユニフォームは着てたけど、ドラゴンズの選手のことは詳しく分かってないと思うんですよね」

選手の能力を早く知るため、また、与田監督の描くチーム構成に合った選手を見極める確認作業の意味もあると推測する山田さん。

落合博満さんが監督1年目を務めた時にも、2月1日がいきなり紅白戦でした。
そうなる選手は前倒しで身体を作らなければいけません。

山田「それが二つ目。オフの期間に、どのくらいしっかりやってきてるかを見定めるのも紅白戦を最初にやる理由。たぶん、この二つです」
 

注目させるのも仕事

山田「落合監督の時に、最初に紅白戦をやったのはマスコミ狙い。マスコミに注目させるためにやった。監督の作業の一つとして大事なんだって。去年のキャンプで、松坂であれほど集まるわけでしょ?」

去年は松坂選手の入団で自然とマスコミが集まりました。
今年は根尾選手で集まるかもしれませんが、そういう年は滅多にありません。マスコミに扱ってもらうようにするのも監督の一つの仕事だそうです。

山田「落合が落合監督時代に、最初に紅白戦をやったのは、我々はこうやって行くんだぞってマスコミへのアピールです。選手は驚くし刺激にもなる。だから与田監督の紅白戦もそういう狙いもあるでしょ」
 

新監督を迎える選手の気持ち

山田さんは阪急黄金時代の大エースでした。新監督で迎える春のキャンプを何度も経験しました。若い時と、大エースのベテランになった時とは心境に違いはあるのでしょうか?

山田「全然違う」

若手の頃は?

山田「監督が来たら一生懸命投げる。監督がブルペンに来たらよっしゃーって。いなくなったら、しら~。とにかく監督とコーチの前では、必死になってアピールする」

山田さんは2年目で二桁勝ちましたが、それでも必死だったそうです。

山田「身体も元気。内臓も元気。食べて寝て、身体を鍛えて。監督の目をチラチラ気にしながら投げてた。若くて、アピールしなくちゃいけない人はそれくらいの気持ちになる。
ベテランとかある程度やってきた人は、またヘンな監督が来よったなあ~ってね」

山田さんがMVPを3年続けて獲った絶頂期には…。

山田「私のペースでやらせていただきま~すって感じ。だけどもね、上田監督とか梶本監督は上手だったんですよ」
 

開幕投手の特権

上手とはどういうことでしょう?

山田「2月1日になるでしょ?練習にブルペンに入るでしょ?一番先に入るのが山田なんですよ。山田が投げる、そのブルペンの場所も決まってるんです。一番左のマスコミに一番近いとこ」

それは儀式のようなものだそうです。山田さんがピッチングを開始する時間を見計らって監督がブルペンに来るそうです。
マスコミがざわつく中、監督が山田さんに近づいて行きます。

山田「山田の今年の第一球とか、キャンプ投げ込みとか、当然テレビや新聞に出るわけじゃないですか。その時に監督の上田さん、梶本さんは『山田、今年も頼むな。4月1日、開幕よろしく』って言って帰るわけ。クックックック…」

思わず笑みがこぼれる山田さん。
「それは気持ちいいですね」と若狭敬一アナもリアクション。

若狭「ブルペン終わった後に、記者から『開幕投手打診されたんですか?』なんて聞かれますよね」
山田「その時は、〇月〇日の開幕、○○戦で先発します」
若狭「もう言うの?」
山田「言う言う。そうすると新聞で…」
若狭「2月2日にはドーンと『山田、今年も開幕』。カッコいい~」

開幕投手になると、自分で4月1日に調整していくために、監督やコーチのメニューに沿ってやらなくてもいいそうです。
またオープン戦でも、自分の思い通りに投げる日を決めることが出来るそうです。
「開幕投手の特権だね」と語る山田さん。
 

野口、憲伸、どっちにするか?

山田「開幕といえば思い出すなあ。川上憲伸と野口茂樹の話知ってる?」

星野監督時代、ピッチングコーチだった山田さんは、ある年、キャンプ中に開幕投手を川上憲伸さんか野口茂樹さんのどっちにするか任されたそうです。

前の年は野口さんが大活躍。憲伸さんはそこそこの活躍。
「開幕投手は野口かな…」と思いながら、まず川上投手の元へ。

山田「憲伸、今年の開幕、お前のこともあるから、それに向かって調整しといてくれよ。まあ早めに言い渡すけどなーって、ちょっと匂わす感じ」

野口投手にも同じことを言ったところ…

山田「『山田さんすいません。私、開幕結構でございます』って。私、それ聞いた時ひっくり返ったもん。ほわ~んと力抜けたよ。それで憲伸に決めた」
 

男の晴れ舞台

山田「そんな話ある?開幕って本当に名誉なことよ。全てを背負って行くんだよ、あの開幕のマウンドへ。
今で言えば143試合の1試合目をファンの期待を背負って、チームの期待を背負って、自分への期待を背負って行くの。特にホームチームの時にはベンチからマウンドへ歩いて行く時の気持ちの良さ。野球選手の男の晴れ舞台!」

若さ「歩んで行く時は不安要素はもうなく、堂々としたものですか?」

山田「いやあ、不安要素もあるね。ちょっと恐怖を感じてる。独特の雰囲気がある。何年やってもダメ。非常に重たい感じで行くんですよ」

それを味わえるピッチャーは数少ないのにも関わらず断った野口さんでした。

山田「私は信じられなかった」
 

昔の開幕、今の開幕

「本当の開幕っていうのは私に言わせれば6人なの。ホームチームのその試合のプレイボールがかかったピッチャーがやっぱり開幕投手なのよ」と持論を展開する山田さん。
プロ野球12球団ある中で「開幕戦の1回表の第1球を投げる人のみ開幕投手」と主張します。

山田「残念ながらビジターチームは、チームの開幕投手。試合の開幕投手はホームチームの人。あの時はいいよ。昔はね、1球目をもしバッターが打ったら、怒られてたもん。

『無礼者、お前は人生の機微を知らないか?このピッチャーは、先発を指名されて、この一球を投げるまで、どのくらい苦労して来たか。この一球ぐらいは、その先発の苦労に報いるために、お前は当然見送るんだ』って。

それで、真ん中へ真っすぐをバシーン。ミットに入ってストライク。そこから野球はスタートなんです。最近はそういう演出をわからない一番バッターが多い」

嘆く山田さん。

2007年、初球ホームランを打った巨人の高橋由伸さんは大間違いだそうです。
初球、スライダーでボールから入るピッチャーさえも最近は出てきました。

山田「そういう野球になったんですよ。昔の開幕は、みんなの思いが違ってたということです」
(尾関)
 
若狭敬一のスポ音
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2019年02月02日13時18分~抜粋

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