若狭敬一のスポ音

来季の京田陽太選手を10倍楽しむ方法

野球中継でおなじみのCBCアナウンサー・若狭敬一が、毎週土曜日のお昼にお届けしている番組『スポ音(スポーン)』。「スポーツ」と「音楽」で「スポ音」です。
中日ドラゴンズの話題を中心にしたスポーツの最新情報と、懐かしい音楽をお送りする生放送です。

10/28の放送では、ドラゴンズの選手の今年の活躍を振り返る「ドラゴンズハイライト」のコーナーで、京田陽太選手を取り上げました。

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唯一、打撃に目を付けていた男


ルーキーイヤーの今年、京田選手は141試合に出場。149安打を放ち、打率2割6分4厘、ホームラン4本、打点36、盗塁23個の成績を収めています。

ほぼ1年前、ドラフト会議でドラゴンズから2位指名を受けた京田選手に、在学中の日本大学まで赴きインタビューした若狭。当時の初々しいブレザー姿の京田選手を思い出します。

「立浪和義選手を目指しています。走・攻・守3拍子揃ったショートストップになりたいです」と抱負を語っていた京田選手。

本人は「守備と足には自信がある。ただ、バッティングはまだまだ非力です」とも言っていましたが、なんのなんの。
1959年に江藤慎一選手がマークした球団新人最多安打記録(139安打)を、58年ぶりに塗り替えたのです。

ここで改めて、スカウトの目の凄さを若狭は感じます。京田選手担当の正津英志スカウトだけは、「いやいや、京田はバッティングがいいんです」と話していたんだとか。

ライトへ引っ張ることもできる。レフト方向へ流すこともできる。内野安打も当然多く、リーグNo.1の39本。そして長打もある。事実、リーグ最多の8三塁打を記録しています。

どちらかというと、ちょこまかバットに当てるような、打撃は弱いというイメージを持たれがちで、実際ドラフト前のマスコミの評価はあまり高くありませんでした。
ところが正津スカウトは昨年、こう言ったそうです。
「若狭さん。阪神タイガースの鳥谷のような選手に、彼はなります」

今年通算2,000安打を達成した、鳥谷敬選手。広角に打てて、時々長打もある。守備の安定感もある。そして、試合に出続けることができる。現在、鉄人・衣笠祥雄選手(広島東洋カープ)に次ぐ、プロ野球歴代2位の連続試合出場記録を更新中です。

この、体の丈夫さを京田選手も持ち合わせており、新人ながら141試合に出場しています。欠場は2試合のみ。
このように、2人には共通点が多いんですね。

四球は逃げではなく攻めろ


ただ、鳥谷選手と決定的に違う点があります。それは「出塁率」。

京田選手の出塁率2割9分7厘は、規定打席到達者28人中26位。
四球の数は、横浜DeNAベイスターズの倉本寿彦選手と並んで、ワーストタイの18個です。
「打席で粘りが無いなあ、淡泊だなあ」という印象を持っている人も多いのではないでしょうか。

じゃあ、来年は四球を取りにいってくれと。どんどん四球を稼いで出塁してくれと。そんな風にファンが思うのも必然です。

が、待ってください。今季で引退した森野将彦・新打撃コーチが、現役時代、よくこんなことを言っていたんだそうです。

「フォアボールは狙って取れるものではありません。フォアボール狙いで打席に入ると、あっという間にカウントを追い込まれて、凡退です。打ちにいかなきゃいけない。積極的に打ちにいく。ストライクは一発で仕留める。
そうするとピッチャーは甘いところに投げてはいけない、追い込んでいても慎重にならないといけない。ということで、ボール球が増えて、結果、打ちにいってフォアボールになるんです」

従って、京田選手にはこれからも打ちにいってほしいと若狭は願います。

野球観戦の参考にどうぞ


ただし、ひとつだけポイントがあるといいます。それは何かと問うならば、「カウント別の打率」。

京田選手の打率はトータルで2割6分4厘です。
そのうち、カウント別で一番悪いのが「ノーボール・ツーストライク」の時。追い込まれていますから、打ちにくくなるのは当然で、このカウントで打った結果は1割7分2厘です。

「ワンボール・ツーストライク」では、1割9分4厘。これも悪いですね。

さて、次が肝心です。「ツーボール・ツーストライク」になると、2割6分2厘にハネ上がるのです。
ちなみに、「スリーボール・ツーストライク」のフルカウントでは、2割8分6厘になります。

要は、「ワンボール・ツーストライク」から「ツーボール・ツーストライク」にするために、1球を見極めれば、もっと出塁率は上がるということです。

奇しくも、今季の京田選手の全打席の中で、最も多かったカウントが「ワンボール・ツーストライク」でした。
結果的にこのカウントから45回、三振を食らっています。全部で105回三振した中で、半分近くにもなるという、まさに鬼門のカウントなのです。

京田選手は4つボール球を選ぶ必要はありません。この、ワンボールからいかにツーストライクに持っていけるか。何とか1球だけファウルで粘るとかするだけで、出塁率は上がるのです。
来季はぜひとも、この点に注目して野球中継を楽しんでほしいと提案する若狭でした。
(岡戸孝宏)
若狭敬一のスポ音
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2017年10月28日12時30分~抜粋

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