高市早苗総理大臣が来週23日に召集される通常国会の冒頭で衆議院を解散する方向となりました。
1月15日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、過去の衆議院解散にはどのような事例があったのか、元NHK解説委員で政治・外交ジャーナリストの増田剛さんが解説しました。
戦後26回のうち冒頭解散は4回
現在の日本国憲法のもとで、これまでに衆議院の解散は26回行なわれています。このうち、今回のように国会の召集日に代表質問や施政方針演説、予算委員会の質疑といった論戦を経ないまま総理大臣が衆議院を解散する「冒頭解散」は4回あります。
1966年の「黒い霧解散」、1986年の「寝たふり解散」、1996年の「小選挙区解散」、そして2017年の「国難突破解散」です。
いずれも自民党の総理大臣のもとで行なわれ、選挙結果はすべて自民党が勝利しています。
黒い霧解散と寝たふり解散
1966年(昭和41年)の「黒い霧解散」は、政界で「黒い霧事件」と呼ばれる閣僚の汚職や疑惑が相次ぎ、社会全体に不信感が広がっていた時期に行なわれました。
佐藤栄作総理大臣は政治不信の払拭を目指し、野党とも合意した上で、12月27日の通常国会召集日に衆議院を解散しました。逆風の中でしたが、自民党は予想外の善戦を見せて過半数を獲得し、その後の佐藤長期政権を築く足がかりとなりました。
1986年(昭和61年)の「寝たふり解散」は、中曽根康弘総理大臣が衆議院の解散を検討しながら表向きは否定していたことに由来します。
中曽根総理は6月に通常国会が閉会した直後に臨時国会を召集し、その途端に衆議院を電撃解散。7月に衆参ダブル選挙に突入し、自民党が歴史的な大勝利を収めました。
小選挙区解散と国難突破解散
1996年(平成8年)の「小選挙区解散」を受けた総選挙は、選挙制度が現在の小選挙区比例代表並立制になってから初めてのものでした。橋本龍太郎総理大臣が9月27日に召集した臨時国会の冒頭で衆議院の解散に踏み切り、当時の与党3党(自民・社民・さきがけ)が過半数を獲得しました。
最も記憶に新しいのが2017年(平成29年)9月28日の「国難突破解散」です。安倍晋三総理大臣が臨時国会の冒頭で行なった解散で、北朝鮮が頻繁にミサイルを発射していた時期だったため、北朝鮮に対抗するための「国難突破解散」と銘打ちました。
ただし実際には、小池百合子東京都知事が結成した「希望の党」の選挙準備が整わないうちに選挙を行なう思惑や、森友学園・加計学園問題の追及から逃れるための電撃解散ではないかと批判されました。
それでも10月の衆議院選挙では与党の自民・公明両党が定数の3分の2を得る大勝を収めています。
統一教会問題の追及前に
増田「当時、安倍総理の側近だった今井尚哉さんなどは、この成功体験があるんじゃないですかね」
永岡「タイミングも、追及されてからじゃなく冒頭に持っていくことの成功例があるわけですね、体の中に」
年末には韓国で統一教会の報告書が報道され、自民党の議員を総選挙で応援したという内容が明らかになりました。その中には現在の高市総理の名前も頻繁に登場しているといいます。
増田「国会が召集されて予算委員会が行なわれれば、野党がそこを追及してくるのは間違いない。そういった話になる前に解散してしまえというのが今回の狙いでしょうかね、率直に言って」
「支持率高いうち解散」
過去には吉田茂総理による「馬鹿野郎解散」や小泉純一郎総理による「郵政解散」など、特徴的でユニークなネーミングの解散がありました。増田さんは今回の解散にこんなネーミングを提案します。
増田「今回の解散は、『支持率高いうち(高市)解散』。どうでしょう」
内閣支持率が高い水準にあるうちに衆議院を解散して総選挙を行ない、自民党の単独過半数を狙う。高市総理の狙い通りの結果になれば政権基盤は安定化し、長期政権となるというわけです。
永岡「『支持率高いうち解散』もいいし、『支持率高いし、解散』でもいいし。大義というより『今、高いし解散しようよ!』という風に見えてしまうというのもあるしね」
増田「自民党含めて、各党から『大義のない解散』と言われていますからね。ぴったりのネーミングなんで、定着してほしいですね(笑)」
永岡は年末の新語・流行語大賞で増田さんが呼ばれるのではと想像を膨らませました。
予算の年度内成立は不可能に
高市総理は物価高対策を掲げ、新年度予算の年度内成立を最優先すると言ってきました。しかし今回解散すれば、予算審議が行なわれる2月が選挙で動かなくなり、年度内成立はできなくなります。
増田「言っていることとやっていることが違うのではないかという話になる。このことを有権者がどう判断するのか、選挙結果に注目したいですね」
過去4回の冒頭解散はすべて与党が勝利しています。今回の結果はどうなるでしょうか?
(minto)
CBCラジオ #プラス!
この記事をで聴く
2026年01月15日07時23分~抜粋