CBCラジオ #プラス!

賛否両論。イスラム教徒、土葬墓地の整備を求める

2025年12月11日(木)

ニュース

日本で生活するイスラム教徒が整備を求めている土葬墓地をめぐって、自民党内で意見の対立が表面化しています。

12月9日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、光山雄一朗アナウンサーアディーレ法律事務所弁護士の正木裕美先生に、「埋葬をとりまく法律」について尋ねます。

墓地埋葬法

土葬の墓地整備をめぐって起きています。埋葬をとりまく法律はどうなっていますか?

正木「墓地埋葬法というのがあります。この中で墓地とか弔い方のルールを定めています。この法律で定めているのは土葬と火葬のふたつです。もともと日本とか世界的には土葬がメインでした。今は日本においては火葬が99.9%ですが、いずれも認められたものです。

この法律によってルールが定められています。例えば、亡くなってから24時間経過してから行なわなければいけないとか、土葬とか火葬後のご遺骨に関して墓地以外で弔ってはいけないとか、様々なルールがあります」

海洋散骨はOK?

海洋散骨は法律上定められていないのですか?

正木「定められていないけれど、禁止もされていません。法律がないという状況です。
しかし、自治体が条例を定めていて散骨を禁止しているエリアもあるので、どこでも散骨できるわけではないです。
認められた地域であれば、行うことができるというのが海上散骨です」

今の日本では火葬が主流ですね。

正木「古来からは土葬が行なわれてきて、鎌倉時代以降は土葬と火葬が混在していたそうです。ただ、明治時代以降は衛生の観点から火葬が推奨されていた。
狭い国土の中でなかなかみんなを土葬するのは難しいということもあって、火葬を進めてきました」

イスラム教では土葬

日本で生活するイスラム教徒の方の土葬の整備をして欲しいという声があるんですね?

正木「イスラム教は火葬が禁止されていて、さらに死後24時間以内の土葬が原則という宗教です。世界の4分の1がイスラム教徒の方。日本国内のイスラム教徒の方は昨年時点で35万人ほどいらっしゃいます。多くは外国人の方ですが、5万人余の日本人の方も含まれています。

日本で暮らす外国人の方はすごく増えてきています。イスラムの方は宗教に則った形での埋葬を望むので、土葬をという声が強くなっています」

地域の理解がネック

土葬の墓地を整備してください、いややめてくれ、この対立はどうなっていきそうですか。

正木「宮城県でこのような議論がありました。昨年知事が土葬を検討しますと声をあげた。しかし、県産品への風評被害とか、環境への影響を危惧する声が多く出た。そこで知事は住民の理解が得られないということで、土葬に関しては白紙撤回をしました。

地域の理解が得られない状況だとなかなか進めづらい。というのも、墓地の設置の権限は地方が持っています。なので、地方の理解が得られない中で、自治体がその政策を進めるのは難しいという現状があり、なかなか地方主導だと定着していかないという状況です」

墓地埋葬法という法律の中で土葬はルールとして定められているけど、そのルールはそれぞれの自治体で定めてくださいねという状況ですか?

正木「墓地の設置許可権限が地方にある以上、土葬をするような墓地を認める自治体でなければ進まないので、土葬ができる墓地は全国で10件しかありません」

外国人の尊厳

外国人との共生が求められていると思いますが、この問題は今後どういう議論に進んでいくのでしょうか?

正木「少なくとも外国人比率が10%を超えると予測されていたのが2070年でしたが、それより早まるだろうと言われています。

日本に来た外国人が宗教を持ち、それに則って生きてこられる。が、亡くなったとき、土葬できないから国に帰れというのですか、それともご自身の教義に反するような弔い方を強制するのですか、ということになってくる。外国人の尊厳にも深くかかわる問題です。

外国人を受け入れる以上、弔い方というところに関してもこれから十分議論がされなければいけないと思います」
(みず)
 
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2025年12月09日07時16分~抜粋
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