現在アメリカでは、オバマ元大統領が推進した医療保険制度「オバマケア」が揺れています。
補助金の拡大措置が年末に失効予定で、打ち切られれば保険料の自己負担は2倍以上になるともいわれています。しかし議会での延長は見通せず、トランプ大統領も代替案を示せていません。
12月4日放送の『ＣＢＣラジオ #プラス！』では、元NHK解説委員で政治・外交ジャーナリストの増田剛さんが解説しました。
オバマケアとは何か
オバマケアは、アメリカ国民の医療費の負担を軽くして無保険者を減らすことを目的に、民主党のオバマ元大統領が推進した医療保険制度の改革法です。大統領在任中の2014年に運用が始まりました。
アメリカは医療費が非常に高額ですが、日本のような国民皆保険制度はありません。
増田さんは2007年から2010年までワシントン特派員としてアメリカに住んでいましたが、特に歯医者が高額で、虫歯の治療を受けるなら往復の飛行機代を考えても日本に帰国して治療した方が安上がりになると言われていたほどだったそうです。
アメリカは医療費が非常に高額ですが、日本のような国民皆保険制度はありません。
増田さんは2007年から2010年までワシントン特派員としてアメリカに住んでいましたが、特に歯医者が高額で、虫歯の治療を受けるなら往復の飛行機代を考えても日本に帰国して治療した方が安上がりになると言われていたほどだったそうです。
高額医療費で自己破産も
こうした事情から、アメリカでは滅多なことがないと医者に行かない人が多いといいます。
街にはCVSなどのドラッグストアがたくさんあり、増田さんの感覚では売っている薬の効き目が日本より強力で、飲んだらすぐに熱が下がるほどだったそうです。
公的な医療保険制度もありますが対象が限られており、現役世代の多くは民間保険に加入せざるを得ない状況です。
高額な医療費のせいで自己破産する人も少なくなく、オバマケアはそうした低所得者層を救うため、補助金を出して民間保険を買いやすくしたのです。
街にはCVSなどのドラッグストアがたくさんあり、増田さんの感覚では売っている薬の効き目が日本より強力で、飲んだらすぐに熱が下がるほどだったそうです。
公的な医療保険制度もありますが対象が限られており、現役世代の多くは民間保険に加入せざるを得ない状況です。
高額な医療費のせいで自己破産する人も少なくなく、オバマケアはそうした低所得者層を救うため、補助金を出して民間保険を買いやすくしたのです。
補助金打ち切りで負担は2倍以上に
オバマ政権で副大統領を務め、その後大統領となったバイデン氏は、2021年にこの補助金を拡大しました。しかし、この拡大措置は今年の年末に失効する予定で、延長するかどうかが議会で争点となっています。
打ち切られた場合、民間保険加入者の自己負担は2倍以上になるといわれています。12月1日付の朝日新聞によると、テキサス州の心理療法士エリザベス・ウィックスさん（57歳）は、保険会社から届いた来年の見積もりで、月額の保険料が862ドル（約13万5000円）から1,380ドル（約21万5000円）に跳ね上がると通知されました。
ウィックスさんはこれまでオバマケアで連邦政府から月400ドルの補助を受けていたため、実際の負担は462ドル（約7万2000円）に抑えられていました。それが補助金の拡大措置が打ち切られると、21万5000円を全額自己負担することになります。
ウィックスさんは「健康問題が増えてくるこの年齢で無保険にはなりたくない。でも月21万円以上の保険料は絶対に払えません」と語っているといいます。
打ち切られた場合、民間保険加入者の自己負担は2倍以上になるといわれています。12月1日付の朝日新聞によると、テキサス州の心理療法士エリザベス・ウィックスさん（57歳）は、保険会社から届いた来年の見積もりで、月額の保険料が862ドル（約13万5000円）から1,380ドル（約21万5000円）に跳ね上がると通知されました。
ウィックスさんはこれまでオバマケアで連邦政府から月400ドルの補助を受けていたため、実際の負担は462ドル（約7万2000円）に抑えられていました。それが補助金の拡大措置が打ち切られると、21万5000円を全額自己負担することになります。
ウィックスさんは「健康問題が増えてくるこの年齢で無保険にはなりたくない。でも月21万円以上の保険料は絶対に払えません」と語っているといいます。
議会での攻防
民主党は補助金の拡大措置の延長を求めていましたが、トランプ政権の与党である共和党は財政への影響を理由に反対しました。
民主党は対抗策として暫定予算案の採決に反対する強硬策に出た結果、10月1日から史上最長となる政府機関の一部閉鎖を引き起こしてしまいました。
市民生活への影響を懸念した一部の民主党議員が造反し、この問題は先送りされていました。12月半ばに補助金延長の是非を問う採決が議会上院で予定されていますが、今のところどうなるか見通しは立っていません。
民主党は対抗策として暫定予算案の採決に反対する強硬策に出た結果、10月1日から史上最長となる政府機関の一部閉鎖を引き起こしてしまいました。
市民生活への影響を懸念した一部の民主党議員が造反し、この問題は先送りされていました。12月半ばに補助金延長の是非を問う採決が議会上院で予定されていますが、今のところどうなるか見通しは立っていません。
トランプ大統領のジレンマ
トランプ大統領は表向き、オバマケアへの反対姿勢を示しています。オバマ元大統領は政敵であり、その名前がついた保険制度を認めるわけにはいかないという立場です。
しかし実情は複雑です。共和党の支持者もオバマケアの恩恵を受けているからです。
CNNによると、補助金の拡大を受けた民間保険の加入者が増加した地域は、テキサス、フロリダ、ジョージアといった南部の州で目立っており、いずれも昨年の大統領選挙でトランプ大統領が勝利した地域です。
しかし実情は複雑です。共和党の支持者もオバマケアの恩恵を受けているからです。
CNNによると、補助金の拡大を受けた民間保険の加入者が増加した地域は、テキサス、フロリダ、ジョージアといった南部の州で目立っており、いずれも昨年の大統領選挙でトランプ大統領が勝利した地域です。
トランプ支持者も恩恵を享受
つまり、トランプ支持者が民主党のオバマケアの恩恵を受けているという状況があり、共和党議員たちも支持者から負担が増えると批判を受けることを恐れて、補助金延長に歩み寄る姿勢を見せています。
増田さんは、もしかしたらトランプ大統領も本音では補助金の延長を認めてもいいという気持ちがあるのではないかと分析します。自分たちの支持者が困ってしまうからです。ただ、オバマ元大統領の名前がついている以上、なかなか認めにくいというジレンマを抱えています。
オバマケアの行方はどうなるのか、議会の判断が注目されます。
（minto）
増田さんは、もしかしたらトランプ大統領も本音では補助金の延長を認めてもいいという気持ちがあるのではないかと分析します。自分たちの支持者が困ってしまうからです。ただ、オバマ元大統領の名前がついている以上、なかなか認めにくいというジレンマを抱えています。
オバマケアの行方はどうなるのか、議会の判断が注目されます。
（minto）
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