石塚元章 ニュースマン!!

山下達郎、GLAY、L'Arc~en~Ciel、それぞれが歌う「冬」は別物

2025年12月16日(火)

カルチャー

音楽を聴く時、どんなことを考えながら聴いていますか?リズムや曲の良さに浸ったり、歌詞を読み解いたり、BGMとしてさらりと聞き流したりと人それぞれですが、今日は一風変わった音楽の楽しみ方をご紹介します。

興味深い音楽の話をしてくれたのは、12月13日放送のCBCラジオ『石塚元章 ニュースマン!!』で天気予報を担当した気象予報士の本川さん。聞き手はCBC論説室の石塚元章特別解説委員と加藤愛です。

職業柄、つい

音楽を聴きながら通勤するのがルーティンだという本川さん。
季節を感じる曲を聴くのが好きだそうで、この時期はウィンターソングやクリスマスソングを聞くことが多いのだとか。しかしそんな時、とある職業病が現れるのだと言います。

本川「歌を聞くと、その歌詞から気圧配置を想像したくなるんですよ」

音楽の楽しみ方は人それぞれとはいえ、曲から空模様を考える人はあまり多くはなさそうです。思いもよらない展開にどよめく石塚と加藤。
歌詞から気圧配置を考えるとは、一体どういうことなのでしょうか?
 

天気を読み解く

例に挙げたのは山下達郎さんの「クリスマス・イブ」。冬の定番ソングとして、世代を問わず愛され続けている名曲です。

本川「歌詞からではこの曲の場所は特定できないんですが、山下さんの出身地や学生時代に過ごした場所などを考えると、おそらく東京なのではないかと考えられます」

まずは曲の舞台を考えるところから始まります。気候は地域によって特色が強く、天気を想像する上で大きく左右されるためでしょう。

本川「歌詞の冒頭で『雨は夜更け過ぎに雪へと変わるだろう』ときて、その後に『夜へと降り続く』と歌っています。つまり今現在雨が降っていて、翌朝にかけて雪に変わるという天気ではないかと考えられます」

単に「雪が降る」ではなく、「どんな雪が降るのか」を読み解いていきます。

どんな雪だったのか

東京で雪が降る気圧配置は主にふたつあるそうで、ひとつは南岸低気圧と呼ばれるもの、そしてもうひとつは関東の沿岸にできる小さな低気圧。後者は局地的な現象だそうですが、主にこれらが東京で雪が降る状況だとか。

本川「関東の沿岸にできる小さな低気圧は雪は降らせるんですが、そんなに長く続くものではないんです。一方で南岸低気圧は接近する前から雨が降りまして、近付くにしたがって北からの寒気を引き寄せてくるので、雨が雪に変わるんです」

実際に今年の3月、南岸低気圧によって夜間は雨が降り、朝になって雪に変わったという事例があったそう。

本川「よって山下達郎さんの『クリスマス・イブ』の天気は、南岸低気圧だと考えられます」

加藤「そんな風に考えたことなかった!」

石塚「これを踏まえて歌詞を改めて見てみると、より面白いですね」

どんな場所で、どんな空模様の下で歌われた曲なのか。そんなことも考えながら聞くとより情景が膨らんで、曲を聴く楽しさが広がりそうです。

同じ冬でも

歌の歌詞から天気を想像するのは、こんな楽しみ方もあります。例えば国民的アーティストのGLAYとL'Arc~en~Ciel。どちらも伝説のロックバンドですが、同じ「冬」を歌った曲でも、その様子が全く違うのです。

というのも、それぞれ出身地が異なるから。GLAYが北海道出身なのに対しL'Arc~en~Cielは和歌山県出身のため、両者の歌詞に出てくる冬の表現が面白いほど異なります。

L'Arc~en~Cielの「winter fall」には「つないだ指先に大切な気持ちをおぼえたよ」という歌詞がありますが、繋いだ手の温かさを感じる表現から、手袋をしていないことがうかがえます。

一方GLAYの曲には「凍える頬に舞い散る雪」や「容赦なく吹きすさぶ風に歌う歌もかき消されて」など、字面を見るだけで寒くなってきそうな歌詞が散見されます。
こんな風に曲の背景にまで注目しながら歌を聴いてみると、新たな気づきや面白さに出会え、もっと音楽を楽しめそうな気がしますね。
(吉村)
 
石塚元章 ニュースマン!!
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2025年12月13日07時21分~抜粋
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