北野誠のズバリ

収入があっても産み控え?所得制限で少子化はますます進む

一定の収入がある家庭でも経済的な負担が高いことを背景に、2人目、3人目のこどもを産み控えしている世帯は少なくないという現状。

国立社会保障・人口問題研究所が2021年に実施した夫婦調査によりますと、夫婦が考える理想の子どもの数は平均で2.25人である一方、実際に予定しているのは2.01人に留まっています。

2人目以降を控える理由としては、妻が35歳未満の世帯では「子育てや教育にお金がかかり過ぎる」という回答が約8割を占め、35歳以上でも半数を占めていて、経済的な問題がのしかかっているようです。

4月1日放送『北野誠のズバリサタデー』では、市民団体の「子育て支援拡充を目指す会」代表、工藤健一さんに話を伺いました。

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税金は高くて恩恵は受けられず

一般的に教育関係でさまざまな手当や補助が受けられるものの、所得がある一定以上ある家庭はその恩恵が受けられず、むしろ家計が苦しくなっているという状況にあり、それが日本の少子高齢化につながっているという向きもあります。

工藤さんは主にSNSでの意見にはなりますが、そのような不満の声は高まってきているといいます。

工藤さん「所得制限がどんどんと下げられてきていて、児童手当が減らされる、高校無償化も制度はあるけど所得制限で当てはまらなくて。

大学の奨学金も希望するものが得られないというネックがある方が多いというところですね」

収入が上がると税金などが上がって負担が重くなるにもかかわらず、児童手当などの恩恵が受けられないことが不満につながっているというわけです。

年収いくら以上だと制限がかかる?

それも極端に所得が高い場合なら教育費を払う余裕がありますが、そこまで所得が高くなくても恩恵が受けられないというところが問題のようです。
実際にはどれぐらいの年収の方が基準になるのでしょうか?

工藤さん「制度や世帯の人数によって異なるんですけれども、現時点ではおおむね額面が800~1,000万円ぐらいの収入、ただ手取りに直すと600~800万円ぐらいになってくるのが現状ですね。

子育てをするのにあたって、高所得層の方は特にお金のことに詳しい方が多いので、ライフプランとか組むんですけど、そうすると高校や大学の学費が予想以上にかかるのがわかるから、次のこどもは無理だよねって産み控えするというのが現状としてありますね」

また、親の介護などで出ていくお金は家庭の事情によってまちまちなので、入ってくる金額だけで制限がかかるのはおかしいと、工藤さんは指摘しました。

所得制限がかかる公的援助

では、実際に制限がかかる公的援助にはどのようなものがあるのでしょうか。

工藤さん「児童手当は中学校卒業までで総額200万円ぐらい、第3子以降は250万円ぐらい支給されますが、これが特例給付(一定以上の所得がある方に支給されるケース)になると総額100万円に減って、さらに廃止の世帯になるとゼロになりますね。

もう1つ大きいのが高校無償化ですが、公立高校の場合は年間12万円ぐらいが助成されるのがなくなってしまうと。

私立高校だと約40万円受けられるんですけど、それが外されるとゼロになってしまうというところですね」

さらに、大学の奨学金も所得制限にかかるかどうかで大きな違いがあるそうです。

工藤さん「あとは大学の奨学金、実質ローンであったりもするんですけど、給付型という本当に奨学金に関して言えば、だいたい4人世帯で世帯所得が380万円ぐらい、基本的には生活保護世帯や住民税非課税世帯が対象になるんですけど、そういった方々は給付型を受けられて実質無償になるんですけど、これが外されてしまうと自分で工面しないといけない。

そうすると今度は貸与型のローンになるんですけど、日本学生支援機構は無利子にしろ有利子にしろ所得制限がある。

その世帯の方は奨学金が借りられないので、日本政策金融公庫の教育ローンを借りようとしてもそちらも所得制限があるので、最終的には銀行に頼らないといけないということになってきて、後になるにつれて利子が高くなっていくので、所得が高くなっていくほど不利になるという現状がありますね」

燃焼扶養控除が廃止されたまま

所得制限によって、実は所得が多い人の方が負担が厳しいという逆転現象が起きているケースもあるようですが、これを回避しようと偽装離婚するという意見も出ているようです。

工藤さん「制度が離婚を推奨しているような感じになってて、それっておかしいんじゃないのって思いますね」

北野も「結婚してこどもをもうけて普通に納税している家庭が一番損をするような形になりつつあるんですね」と、現状の制度に納得がいかない様子。

さらに2010年、16歳未満のこどもがいる家庭に適用されていた年少扶養控除が廃止され、所得税などが上がることになったのですが、これは過去に児童手当が「子ども手当」として月26,000円に増額されたことによる措置でした。

しかし、子ども手当は廃止されて児童手当に戻ったにもかかわらず、いまだに年少扶養控除は廃止されたままになっています。

現在「異次元の少子化対策」という話が出ていますが、児童手当の所得制限撤廃や年少扶養控除の復活など、検討すべきことはいろいろとあるようです。
(岡本)
 
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2023年04月01日09時43分~抜粋

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