北野誠のズバリ

転職に失敗!いったん出した退職届は撤回できる?

もうすぐ年度末、キリの良いこの時期は転職のシーズンと言えますが、きちんと転職できるかどうか確認しないと、トラブルの元となってしまいます。

『北野誠のズバリ』の「ズバリ法律相談室」では、リスナーから届いた法律に関する疑問や相談に対して、オリンピア法律事務所の原武之弁護士が回答。

3月15日の放送では、転職に失敗したため、会社に対して出してしまった退職届を撤回できないのかという相談を取り上げました。

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退職届を提出した後に転職失敗

今回、番組で紹介したお悩み相談のおたよりは、次のとおりです。

「先日、会社の退職を巡ってひと悶着ありました。

以前勤めた会社の給料が低いため不満に思っていたところ、取引先のメーカーさんからスカウトを受けました。

元の会社より条件が良かったので、転職を即決!すぐに退職届を提出しました。

しかしこの後が青天の霹靂で、スカウトしてくれた会社が『やっぱりなかったことにしてください』と、就職を断ってきたのです。

元の会社に泣きつくしかなく、事情を話して退職届を撤回したいと社長に直談判をしたのですが、届出は提出した日に受理されており、後任がいるということで撤回はできませんでした。

スカウトは口頭レベルの話でしたし、時期尚早の判断をした自分も悪いのですが、退職届の撤回は通らないものなのでしょうか?」(Aさん)

退職届と退職願

原弁護士はまず退職届の位置づけについて、こう解説します。

「退職届という形で出すと、意思表示をした形で撤回はできないという考え方があって、そのように取り扱う場合が多いですね」と解説しました。

似たような言葉に「退職願」というものもありますが、違いはあるのでしょうか?

原「届出というのは一方的に辞めますということなので、受理されたら意思表示を受け入れられたとみなされるんです。

退職願だと言葉どおり願いを出すだけなので、受理を待たなければいけないという考え方ですね」

ただ、今は退職届も退職願も厳密には区別されないそうで、一般的に退職を撤回するかどうかという議論になった際は、「受理されたという通知をもらっていないから有効ではない」という観点で争われるそうです。

そして、受理は誰がしたことで退職が有効になるのかということですが、大企業だと社長とは限らず、人事部長や支店長など、人事の決裁権がある人が受理したかどうかがポイントになるそうです。

今回のAさんのケースでは、社長が受理したと言っているため、退職の撤回はできなさそうです。

どの時点で退職は可能?

一方、スカウトをしてきた側の企業ですが、どの時点で転職は有効となるのでしょうか?

原「これも同じような話で、逆に会社のお偉いさん、社長や役員が来てくれと言ったということになると、内定という理解ができると思うんですよね。

ただ窓口担当の人が『営業で来ないか?』と言うぐらいだと、ただのリップサービスというか、まだ口頭レベルでは内定とは言えないですね」

そうすると、確実に転職先を確保した状態で退職をしたいところですが、いつの時点で退職ができるのでしょうか?

原「辞めなきゃいけないですけど、面接を受けて内定をもらうまで、じっくり待てば良かったんですね」

取引先の方でこれまで関係のある方だと、つい「現場からの推薦もあるから大丈夫だろう」と思ってしまうのかもしれませんが、やはり雇用関係の締結となると、しっかりした手順が必要なようです。

原弁護士は最後に「しかるべき意思決定を経てないと撤回されてしまう」と注意を促しました。
(岡本)
 
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2023年03月15日14時11分~抜粋

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