北野誠のズバリ

大切な人の遺骨が真珠になって蘇る「いのりのしんじゅ」

3月13日放送の『北野誠のズバリ』(CBCラジオ)、「松岡亜矢子の地元に聞いちゃうぞ」のコーナーでは、大切な人の遺骨が真珠になって蘇る「いのりのしんじゅ」を取り上げました。

これは有限会社アッシュオンが2016年からスタートした、遺骨から真珠をつくる取り組み。
愛知県内にある工房に松岡が出向き、代表取締役の田中英樹さんから話を伺いました。

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完成まではワンシーズン

ご遺族からの相談に始まり、真珠の養殖からお渡しまで、一環して田中さんがひとりで行っています。

まずは、アコヤ貝に入れる核の製作から。

たとえば磁気の「ボーンチャイナ」には、原料に牛の骨を焼いた骨灰が3~4割入っていますが、これと同じように遺骨と粘土を混ぜ合わせます。

田中さん「普通の真珠と何が違うっていったら、核が違うんですね」

宝飾品として身に着ける養殖真珠の核の原料は、アメリカ産の大きくて分厚い貝殻。これを丸く削ってビーズのようなものをつくり、アコヤ貝に入れるのが一般的な方法です。

「いのりのしんじゅ」は、核になる部分に大切な遺骨を粘土を混ぜて練り上げ、BB弾ほどの小さな玉に丸めて、釉薬をかけて焼き上げています。

この核を伊勢志摩の海に持参し、アコヤ貝に入れ、海に沈めて真珠を作ります。

完成まではワンシーズン。春先に核入れをして海に沈め、12月に浜揚げを行います。

真珠になるのは1~2割

1つの遺骨から100個前後の核を作りますが、真珠になるのはそのうちの1~2割のみ。もちろんご遺族のかたは了承済みで、それでもやってみたいという方が申し込みをされています。

以前、田中さんは船の操縦の技術を活かし、遺骨を無害化して海にまく「海洋散骨」の仕事をしていました。

ある時、「主人から『お墓はいらない。全部海にまいてくれ』と言われていたんですが…」と話す奥さんから、「全部はまきたくない」と思っている方も少なくないと気付かされた田中さん。

目の前の伊勢志摩の海で真珠養殖をしている姿を見て「お骨で真珠ってできないのかな?」と思ったことが、田中さんが「いのりのしんじゅ」を始めたきっかけでした。
同じことをやっている人がいなかったため、自分で勉強をして始めたということです。

浜揚げの際の「おかえりなさい」

田中さん「来られる方は思い入れが多い。子どもさんとか、すごく大切にしてくれた親とか。一瞬でも放したくないという人も、中にはいます。そんな時はここに来て、一緒に粘土とお骨を粉にして丸めて、核入れに来てもらって。そうすると元気になる。これは製品なんだけど、思い出作りが仕事かな」

お骨を一瞬でも放したくないと思っている方が、少しずつ元気になっていく。真珠という製品にはなりますが、そこまでの過程が一番大事だとのことです。

貝から真珠を取り出す浜揚げの時に、遺族の方に立ち会ってもらうこともありますが、そんな時は笑顔で「おかえりなさい」と迎える方が多いそうです。

アクセサリーにしてもしなくても

採れる真珠は平均15個前後。

田中さん「よくアクセサリーにするんですか?という話になりますが、実際は去年でいうと2~3割ですね。アクセサリーをつくる目的ではやっていない。自宅に置いてあったら、開けて『こんにちは』ってできる。これがお骨だったら、“開けてこんにちは”できます?アクセサリーにする必要は、逆にないかもわからない」

アクセサリーにして身に着けたり、小さなジュエリーボックスに入れておいたり、何人かで少しずつ持つこともできます。

ワンシーズンにつき、20組限定。価格は41万8,000円(税込)です。

Instagramに詳しい様子が載っていますので、ぜひ「いのりのしんじゅ」で検索してみてください。
(minto)
 
北野誠のズバリ
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2023年03月13日14時44分~抜粋

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