北野誠のズバリ

新しい家の隣人は楽器演奏者…説明がなかった業者を訴えられる?

『北野誠のズバリ』の「ズバリ法律相談室」コーナーでは、身近な法律に関する疑問や質問、お悩みをオリンピア法律事務所の原武之弁護士が解決。

6月1日の放送では、購入したマンションに関する隣人トラブルの問題を取り上げました。

[この番組の画像一覧を見る]

静かな環境だと思ったら隣人が実は…

先日テレ朝ニュース等で報じられたニュースによれば、Aさんがマンションを購入した後に住んでみると、隣人がプロのバイオリン奏者であることが発覚。

事前に販売会社に静かな物件かどうか聞いたにもかかわらず、しっかりとした説明がなかったため、Aさんは裁判を起こしたとのことです。

5月25日、東京地裁で出た判決では、Aさんの請求を棄却。

Aさんが隣人が楽器を演奏する人がどうかについて質問をしなかったからというのを理由にしています。

よく、マンションなどを購入する際に業者があらかじめ説明しておかなければならないことを重要事項説明といいますが、静かかどうか聞いたAさんに対し、演奏者がいたことを説明する必要はなかったのでしょうか。

原先生「一般的に物件の大きさとか区画、地域の制限とかはよく書かれるんですけども、個別事情というのはどこまで重要事項に該当するかっていうのはイマイチ明らかじゃなくて。

今回のバイオリンを弾く人がいるというのは重要事項じゃないということで、違法とまではいえないということで、請求が認められなかったという判決ですね」

重要事項説明ってどこまで説明?

では、どんなことが重要事項となるのでしょうか。

原先生「なかなか難しくて、何が重要事項かっていうのは、書類が定型化された事項に関しては明らかなんですけども、例えば隣や上の人がどんな人かとか、近隣にどんな物が建つかっていうのは、なかなか調べ尽くせないですよね。

業者もわからないことがあって、例えば一般的に言われているのは、知っていて意図的に隠したと立証されれば責任は問えるけれども、何も聞かれていなくて全部調べなきゃいけないかっていうとそういうわけじゃないと。

だから自己防御するためには、気になることを徹底的に質問するしかないんですね。

調べてもらったり確認をとってもらったりして、ないって言ってあったら嘘になるので」

どこまで許される?

さらに限界はあるものの、自分でもできるだけ調べる必要があるようです。

原先生「よく言われているのは、購入する物件の朝昼晩、様子が違うので3つの時間帯に行くべきだということと、できれば近所に話を聞いて、どういう計画があるのかっていうのをつかむ方がいいって言われてますよね」

すぐそばが公園で良い環境だと思っていたら、実は夜にやんちゃな若者がたむろしていてうるさかったりするなど、時間帯によって異なります。
また、家を見に行く休日と、実際に住んでから長く過ごす平日とで状況が異なるとなりますと、「こんなはずではなかった……」と感じる可能性があります。

原先生「受忍限度論といって、一般人を基準に受忍範囲を超えているかっていう基準があるって言われてるんですけど、結局は受任限度っていうのはよくわからない」

プロのバイオリンの音色を心地よいと感じる人もいれば、深夜でなくても迷惑と感じる人もいるなど、結局は人によって受忍範囲は異なるということになります。

さらに受験生や介護する人がいるかいないかなど、個別の状況によっても受忍範囲は異なります。

今回のケースでいいますと、演奏の時間帯を調整したり相手の方に防音設備をつけてもらったりするなど、話し合いで解決するしかないというのが原先生の見立てでした。
(岡本)
 
北野誠のズバリ
この記事をで聴く

2022年06月01日14時13分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報