北野誠のズバリ

『源氏物語』に憧れたタイ人女性が「くずし字認識アプリ」を開発!

源氏物語が好きすぎて、古典のくずし字を認識するアプリを開発してしまった女性がいます。その女性は、タイ・バンコク出身のカラーヌワット・タリンさん。

10月14日放送の『北野誠のズバリ』、「ぶるまとタツオの木曜コラム」のコーナーでは、芸人で日本語学者のサンキュータツオが、タリンさんがくずし字認識スマホアプリを開発するまでの経緯について語りました。

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きっかけは『あさきゆめみし』

くずし字認識アプリ「みを(miwo)」は、くずし字にスマホをかざすだけで、現代の文字に変換するアプリ。

このアプリを開発したのが、源氏物語に魅せられたタイ人女性・タリンさんです。

元々、日本のアニメや漫画が好きたっだタリンさん。中でも『源氏物語』をモチーフとした大和和紀さんの漫画『あさきゆめみし』が大好きだったそうです。

源氏物語を研究するため来日し、早稲田大学の大学院で『源氏物語』を学ぶタリンさんの前に立ちはだかったのが「くずし字」でした。

タリンさんの専門は「古注釈」の研究だったため、古典籍のくずし字を読めるようになる必要があったのです。
 

成績「F」からの書道四段

くずし字とひとくちにいっても、時代による字体の違いや、個人の筆跡の癖もあり、プロでも手こずる資料も多い、非常に難解なものでした。

タリンさんは修士1年の時、試験で「F」。つまり不合格となってしまったのです。

ここからがタリンさんのすごいところ。

タリンさんは「自分で書ければ読めるようになるだろう」と考え、まず書道を本格的に始めます。かな書道を極めた結果、一般部門でも最優秀賞を獲るまでになり、四段までかけあがったのです。
 

東大と早稲田大の交換学生プログラム

研究を進めるうち、資料のコピーに莫大な時間とお金がかかると思ったタリンさんは、「コンピューターに画像処理をしてもらいたい」と考えるようになります。

タイに住んでいる頃、父の影響でプログラミングをかじったことはありましたが、画像処理に関してはずぶの素人。

そこでタリンさんは、東京大学に留学して画像処理の研究をしている、タイ人の友人の指導教員に手紙を書きます。

実は早稲田大学と東京大学には、交換学生プログラムがありました。この制度を利用して、ごりごりの文系のタリンさんが、理系最先端の画像処理のゼミに入ることができたのです。
 

ヒントは『キテレツ大百科』

くずし字のアプリを開発するにあたり、タリンさんがヒントを得たのは、なんと藤子・F・不二雄さんの漫画『キテレツ大百科』でした。

漫画に登場する「神通鏡(じんつうきょう)」は、何も書いていないように見える「奇天烈大百科(きてれつだいひゃっか)」に文字が浮かび上がる発明です。

このアイデアを開発に活かし、タリンさんのくずし字アプリは今年の8月30日に完成!
リリースして2日で、1万以上のダウンロードがありました。

そしてタリンさんは、9月からGoogle社に入社したのです。
 

文系・理系の垣根がなくなる時代

「タリンさんに象徴されるように、21世紀は文系の人に理系的な技術やアイディアが乗っかる時代」と主張するタツオ。

学術的なお笑いの研究をしているタツオも、人口知能研究分野の人から共同研究をもちかけられることもあるんだそう。

「少しずつ、文系・理系の垣根はなくなってきている。これからの時代の学生は、本当に実現したい目標にあった学問を学ぶ、文系・理系問わず幅広い知識が求められていく時代になるかも」と、タリンさんの情熱から気づかされたタツオでした。
(minto)
 
北野誠のズバリ
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2021年10月14日14時44分~抜粋

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