『北野誠のズバリ』、健康の悩み、夫婦の悩みなどを解決する「中高年よろず相談室」のコーナー。
9月24日の放送には、「ソファでテレビを見ているとコックリコックリしてしまうのに、布団ではなかなか眠ることができない」とお悩みのAさん(61歳・男性)から相談が寄せられました。
心療内科本郷赤門前クリニック院長で医学博士の吉田たかよし先生に、お話を伺います。
テレビが脳に及ぼす相反する作用
このお悩みに、「テレビは脳に対して、相反する2つの作用がある」と吉田先生。
ひとつは、ブルーライトと呼ばれる波長の短い光が脳を興奮させ、眠気を吹き飛ばしてしまう作用。
特に若い人は脳が活動しやすいので、テレビを観ることで目が覚めることが多いといいます。
一方、脳が目で見た映像を認識することは、とても大変な作業。そのため、テレビを観ることで脳が疲れて眠くなる、という正反対の作用もあります。
これは、脳の処理能力が低下する中高年に起きやすい現象です。
ウトウトで脳の疲労が回復
「テレビを見ていて眠くなるんですが、寝室に行って布団に入ると眠れないことがあるんですよ。これはどうしてですか?」と尋ねる河原崎辰也に、「中高年の脳にはよく起こること」と吉田先生。
これは「ほんの短い時間でもウトウトすることで、脳の疲労がそこそこ回復してしまう」から。
ウトウトしたあとで布団で横になっても、疲労による眠気はなくなってしまっているので眠れないというわけです。
若い人の脳は、疲れていなくても夜になると脳の松果体(しょうかたい)という部分から睡眠ホルモンがたっぷり分泌されるので、ぐっすり眠ることができます。
一方、中高年は脳の老化で睡眠ホルモンが不足しがち。疲労の眠気がなくなると、寝付けなくなってしまうのです。
夕方以降の居眠りは睡眠不足のもと
河原崎「睡眠のために居眠りは良くないということなんですか?」
吉田先生「夕方以降の居眠りは絶対やめた方がいいいですね!」
夜の寝つきが悪いという悩みを抱えている高齢者は多くいますが、その最大の原因は「夕方以降の居眠り」。仮に夜眠れたとしても、夕方に居眠りをすることで体内時計が狂ってしまうため、睡眠が浅くなってしまうというのです。
「40~50代の方の居眠りも良くない」と吉田先生。
特に会社の帰りに通勤電車で居眠りしてしまうと、やはり夜の寝つきが悪くなり、睡眠不足に陥ってしまいます。
睡眠の悪循環が認知症を引き起こす
昨年行われた調査では、日本人の平均睡眠時間は6時間22分。これは世界で最も短い結果です。
「眠いから電車で寝る。電車で寝るから寝付けずに睡眠不足」という悪循環が脳や心臓に負担をかけ、結果として脳梗塞や心筋梗塞を引き起こしてしまうといいます。
「でも帰りの電車って冬になるとちょっと温かくて気持ち良くて。寝ちゃうんですよね」とサラリーマンの意見を代弁する河原崎を、吉田先生は「気持ちいいんだけどこれが落とし穴」とバッサリ。
「認知症になりやすいというデータも出ています」と、電車での居眠りの怖さを語ります。
脳に良い居眠りとは?
吉田先生によると、脳に良い居眠りは「昼ご飯を食べた後の15分程度」
脳の中で論理的な思考力を生み出す"前頭前野"は、午前中で疲れてしまい、午後は働きが悪くなります。この部分を回復させるために、お昼ご飯のあとの15分の居眠りが必要というわけです。
午後2時より前の15分程度の居眠りであれば、体内時計が壊れることもなく、夜の睡眠に影響はありません。
昼寝ができなくても、15分目を閉じて休むだけでも、かなりの効果があるというデータもあるそうです。
ベッドで横になってしまうと15分ではすまないため、座って机にもたれて眠るのがおすすめなんだとか。
「30分超えたらこれは体内時計が壊れるというデータがあるので、寝すぎはダメです!」と吉田先生。
怖くも楽しくもない夢を思い出す
「"羊を数えると眠れる伝説"は本当なんですか?」と尋ねる河原崎に、「英語で羊はsheep、睡眠はsleep。言葉が似ているので、アメリカ人やイギリス人は羊を思い浮かべると、睡眠の暗示効果で眠くなることがある」と吉田先生。
つまり、当然ながら日本人にはまったく関係がありません。
アメリカのカリフォルニア大学の研究では、「今までに見た夢を見た夢を頭で再現すると眠りやすくなる」というデータがあります。
夢を再現すると、脳は夢を見ている状態に近づく。つまり睡眠状態に近づくというわけです。
悪夢を思い出すのは論外ですが、落とし穴は「女性にモテてモテて、といったようなすごく楽しい夢」。一見良さそうですが、脳を興奮させる夢を思い出すと、逆に眠れなくなってしまいます。
おすすめは「怖くもないし、楽しくもない夢」ということでした。
(minto)
北野誠のズバリ
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2021年09月24日14時13分~抜粋