難しいことやとっつきにくい題材をマンガで説明したり、アイドルが紹介したりすると身近に感じることがあります。
6月29日放送『北野誠のズバリ』では、ITジャーナリストの井上トシユキが、最近ネットで炎上しているというある話題を元に、わかりやすく伝えることの問題点について解説しました。
憲法改正を説明するつもりが…
最近、自民党広報のツイッターアカウント「もやウィン」のつぶやきがネットで炎上しています。
憲法改正を4コママンガでわかりやすく伝えているアカウントですが、憲法改正とダーウィンの進化論を結び付けた内容に対し、進化論を誤って利用しているという批判が集まったのがきっかけ。
この騒動に対し、自民党幹事長の二階俊博氏は記者に対し、「意見が出るのが民主主義の世の中だ。おおらかに受けとめたら良い。ダーウィンも喜んでいる」とコメント。
それに対して国民民主党の小沢一郎氏が「国の恥を世界に日々晒している」と痛烈に批判する事態となっています。
さらに小沢氏は「総理が進める反知性主義のおかげで、今の自民党は心配になるほどおかしくなっている」ともコメント。
井上は小沢氏の政治思想はともかく、「この点については納得できる」とし、「そもそもダーウィンの進化論を4コママンガで紹介するのが反知性主義だ」と語りました。
日本で一般的に使われる「反知性主義」の意味の1つは、教養や知性のある人や学術的な研究などに対し「役に立たない」などと異を唱えることで、よくエリート批判などにも用いられます。
マンガで説明は安直?
そして井上は、難しいことをわかりやすく伝えて興味を持ってもらおうという時に、マンガを使うという手法として、かつてベストセラーとなった石ノ森章太郎氏の『マンガ日本経済入門』(日本経済新聞社)を挙げました。
井上「大学の時にちょうど『マンガ日本経済入門』を読んでいた世代が、今僕55歳、ちょうどこれぐらいの世代が責任者として、案件を仕切れる年齢というのがあるのかなと。
あとは下の3、40代にしても、わかりにくいものは全部平たくするイコールマンガ、みたいな人が多すぎるんじゃないかと。安易だと思うんですね。
しかも間違えてきちゃってると。例えば、哲学(専攻)の大学教授で、普段から考えてる人は、(わかりやすく説明する方法について)たぶん選択肢をいっぱい出してくると思うんですね」
若い女子に対する偏見?
さらに井上は、興味を持ってもらう手法でもう1つ、問題のある例を挙げました。
読売新聞と美術館連絡協議会が美術館の魅力を伝えるため、人気アイドルグループAKB48を起用し、美術館を紹介するというキャンペーン企画「美術館女子」が、「若い女性は芸術に対して無知」というイメージを植え付けているという批判を受け、公開を終了しました。
井上「AKBや乃木坂は、女の人のファンが多いですよね。だからといって、AKBが自撮りをしているのを見て女の人が食いつくかっていうと、そんなことないですよね」
この2つのできごとに共通するのは、安直な発想、あるいは誤った手法に批判が集まっているという点です。
井上「すごく発想が安易だし、そもそも憲法改正の議論をした方が良いと思ってる人とか一定数いるわけですよね。
それを無理やり振り向かそうとする発想としてちょっとしんどいなあと思いますし、もともと美術館に興味がない人を呼び込もうというのも、なかなかの力技じゃないかなと」
最後に井上は、「身の丈を超えるといろんな弊害が出てくる。まずはストレートに自分たちの方に向いてる人を固めていって、徐々に広げていく方が良い。時間もかかるかもしれないし、批判もあるかもしれないけど、王道だと思う」とまとめました。
(岡本)
北野誠のズバリ
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2020年06月29日15時21分~抜粋