北野誠のズバリ

便利?危険?「新型コロナ追跡アプリ」は日本に浸透するのか

6月に入り世の中に活気が戻りつつありますが、知らないうちに感染してしまうという危険性を同時にはらんでいます。

そこで今、話題となっているのが「新型コロナ追跡アプリ」。

このアプリを入れたスマホを持ち歩くと、後から感染者と接触していたことが知らされるというものですが、情報として有益と思う反面、プライバシーの問題も取りざたされています。

6月1日放送の『北野誠のズバリ』では、ITジャーナリストの井上トシユキが、このアプリのメリット・デメリットについて解説しました。

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追跡アプリの仕組み

安倍首相は5月25日の会見で、「接触確認アプリ」を6月中旬にも導入することを明らかにしました。

感染者との接触を早期発見することでクラスターを防ぐという目的なのですが、井上がさまざまなアプリの開発者に話を聞いたところ、「このアプリが配布されたとしても、3分の2ぐらいの人が使わないとあまり効果がない」という意見が多かったそうです。

では、そのアプリの仕組みはどんなものでしょうか?

新型コロナの陽性判定を受けた人は、感染者としてアプリに登録。

一方で、近距離で通信するbluetoothによって、陽性判定を受けた人と1m以内の距離で15分以上接触していたかどうかをアプリが検知し、濃厚接触の疑いがある方に対して警告を出します。

そうすると、病院で検査を受けるようになり、無意識のうちに感染者を広げるのを防ぐというわけです。
 

追跡アプリの問題点

そうすると、中には「日本政府が個人の位置情報を集めることで、監視するようになるのではないか」と思われるかもしれませんが、それについて井上は誤解だと指摘。

なぜなら、日本で使用するこのアプリはGPSを使うのではなく、個人間の通信機能のみ使用するためです。

それならば安心と言いたいところですが、井上はこのアプリの問題点も挙げています。

1つは陽性判定を受けた人が、このアプリに自分が感染者だと登録するのかということで、そもそも、感染した人がアプリに登録しなければ、情報が得られません。

2つ目は高齢者の方はスマホを持っていない人がまだまだ多いこと。

スマホの普及率はかなり高く、2019年時点で約85%と言われているそうですが、年齢別で見ると20代・30代は約90%である一方、60代だと45%まで落ち込みます。

新型コロナの感染は高齢者ほど重篤化しやすい傾向がありますので、必要性の高い年配の方ほど、実はアプリで情報が得られないという矛盾がどうしても生じてしまいます。
 

世界的大企業の影響力がここにも

このアプリはもともと日本政府が独自で開発する予定でしたが、途中からAppleとGoogleが共同で開発しているものをベースにすると方針転換しました。

井上は方針転換の理由について、次のように推察しました。

井上「AppleとGoogleの技術が進んでいるということもあるんでしょうけど、おそらく配布する時にApp StoreとGoogle Playを使うことを念頭に置いたと思います。

(シャープが)マスクの予約だけでもサーバーがダウンしてしまうのに、国民が厚労省の用意したサイトにアクセスしたら持たないと思うので、AppleやGoogleのサーバーを使わせてもらうということでやったと思うんですね。

AppleとGoogleのものに日本のものもガッチャンコするので、技術的には無駄にはなってないんですけど、全年代に行き渡るのか、登録させるようなある種の強制力はあるのか見えてこないと、どれぐらい実効性があるのかわからない」

GAFAと呼ばれる巨大企業の世界的な影響力があまりにも大きすぎて問題視されることもありますが、アプリ1つとっても影響力が大きなことがわかります。

そして最後に井上は、「せっかくこういうこともお金をかけてやるわけですから、マスクと同じように『やらないよりやる方がマシ』程度で終わらさないように、みなさんで協力していきましょうということですね」とまとめました。
(岡本)
 
北野誠のズバリ
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2020年06月01日15時23分~抜粋

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