きく!ラジオ

一番重要なのは被災前?災害時の救急医療

9月は防災月間です。
CBCラジオでも、9月1日と3日に防災キャンペーンを行っており、「防災・減災」につながる情報を各番組でお届けしています。


高齢社会をより健やかに生きていくための正しい知識・情報などをお伝えする『きく!ラジオ』(CBCラジオ)の「健康生活」のコーナー。
このコーナーでも1週間に渡り「災害時の医療」について紹介しています。

8月29日のテーマは「災害時の救急医療」についてです。
藤田医科大学病院副院長で救急医療がご専門の岩田充永先生に、渡辺美香アナウンサーが話を伺いました。

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普段の救急医療と災害時での違い

普段ケガをしたり病気になってしまい診療を希望されたら、夜中や休日であっても救急診療をやっている病院に自分で直接受診したり、救急車を呼んで適切な医療機関に搬送してもらうことで、待ち時間が生じることはありますが、診療を受けることができます。

ところが、災害時には自分で診察を受けたいと希望されても、直ぐには診療を受けられないことがあるのを御理解いただきたいと思います。

待ち時間が数時間レベルではなく、数日となることもあるところが災害医療の大変なところなんです。

「病院も被災する」ことへ理解

原因の一つには、大災害時には病院も無事とは限らないということが挙げられます。

多くの病院は地震などでも建物が倒壊しないように作られていて、停電してしまっても自家発電機によって電気が供給されるように設計されていますが、これは最低限の電気を供給できるにすぎません。

また、充分な医療を行うためには大量の水が必要です。
断水や停電の状況では、病院が被災していなくても治療ができなくなってしまう危険があるのです。

そのような場合は、新しく来られる患者さんの診療をすることよりも、その時点での入院患者さんを安全な場所の医療機関へ搬送することを優先する必要があります。

「病院が被災することもある」という理解が必要です。

災害が起こる前の減災

では、病院が無事で断水や停電がなければ、災害時でも病院に行けば診療してもらえるのかというところですが、ここでもご理解いただきたいことがあります。

大災害が発生した場合は非常に多くのけが人が発生することが予想されます。
倒壊家屋などに下敷きになる、火災でひどいやけどを負うなどで生命にも危険が及びます。

医療機関では、発災間もない時期にはこのような「救命治療を行えば命を救うことができる患者さんを可能な限り多く助ける」ことを最大の目標に医療が行われます。

1人の患者さんの救命治療だけでも、たくさんの医療スタッフが必要であるのに、さらにこのような状態の病院に、避難する時に転んでけがをしたなど軽傷の患者さんが押し寄せてしまうと、病院はパニックに陥る危険があるのです。

病院も被災することがある。自分がけがや病気になった時に、本当は急いで診て欲しいんですが、そうはいかない状況にもなり得るということが災害時です。

そう思うと、災害が起きる前に自身で出来ることとして、いかに災害の時にけがをしないかということが「防災・減災」に繋がります。

家の中の家具が倒れてきたり、慌てて外に飛び出した時にガラスで足を切ってしまうとか、様々なことが想定されるため、9月の防災月間に合わせて、あらためて「防災・減災」について考えていきたいですね。

次回のテーマは「災害時の治療」です。
 
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2022年08月29日12時46分~抜粋

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