つボイノリオの聞けば聞くほど

国葬を行う条件、海外の基準は?

9月19日、イギリスのウェストミンスター寺院でエリザベス女王の国葬が執り行われますが、日本からは天皇皇后両陛下が参列される方向で進んでいます。

日本でも9月27日に安倍元首相の国葬が予定されていますが、賛否両論の意見があがっています。

世界では国葬はどのような人物に対して執り行われているのでしょうか?

9月14日放送『つボイノリオの聞けば聞くほど』(CBCラジオ)では、各国の国葬事情について小高直子アナウンサーが紹介しました。

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イギリスでの国葬の条件は?

イギリスでは国王や特別な功労者が対象で、国王以外の方の場合は議会の承認が必要です。
1805年(文化2年)にトラファルガーの海戦で大勝利を収めたネルソン提督を始め、軍人が多いようです。

軍人以外では、万有引力の法則を発見したニュートンの国葬が1727年(享保12年)に行われ、ナイチンゲールが亡くなった時は打診があったそうですが、遺族が固辞したそうです。

戦後はチャーチル元首相のみとのことです。

また、イギリスでは国葬以外に国民葬(儀礼葬)という形式もあり、ダイアナ妃やサッチャー元首相は国民葬で送られました。

サッチャー元首相が亡くなった時には、政治に反対していた人たちが「サッチャー首相の死去を祝う集会」を開いていたそうで、日本と比べるとかなり手厳しいものとなっています。

ただ、サッチャー元首相の時には、170か国から2,300人ほどが参列されたそうです。

この時にかかった費用ですが、当初イギリス政府は約360万ポンド(約5億5千万円)と発表していましたが、実際は1千万ポンド(約15億円)以上と、3倍近くに膨れ上がったそうです。
この点では日本も気をつけた方が良いかもしれません。

オーストラリアやアメリカは?

オーストラリアでは先月、国民的歌手のオリビア・ニュートン=ジョンが国葬で送られました。

オーストラリアでの国葬は首相経験者や連邦総督、長年連邦議会を務めた方などの他、文化・芸術やスポーツの分野で功績のあった方も対象です。
大きなスタジアムなどで行われ、有名ミュージシャンが歌うこともあることから、イベント的な要素が含まれているようです。

アメリカでは現職の大統領や大統領経験者、大統領が指名する人たちも対象で、軍が取り仕切って行われるそうです。

最近では2004年(平成16年)にレーガン元大統領、2007年(平成19年)にフォード元大統領、2018年(平成30年)にブッシュ元大統領の国葬がワシントンで行われています。

大統領経験者で国葬が行われなかったのは、ウォーターゲート事件で任期中に辞職したニクソン大統領だけ。
本人や遺族の意向により、地元のカリフォルニア州で葬儀が執り行われました。

日本ではどうだった?

これまで紹介した国々では、国葬の対象が「議会で指名した人」や「功績のある人」など、必ずしも明確ではないケースが含まれています。

明確に規定されている国は韓国です。

韓国ではかつて、国葬と国民葬の両方がありましたが、2011年(平成23年)に国家葬として統一されました。

国家葬を行うのかどうかを判断するのは現在の大統領と規定されていますが、場合によっては、自分のライバルの党に所属していた大統領の国葬を行うのかどうか、判断することもありますのでなかなか複雑です。

日本では戦後に国葬が行われたのは、1967年(昭和42年)の吉田茂元首相だけ。
当時の佐藤総理が国葬を計画したといわれていますが、その時は法的根拠に乏しいのはわかっていながら、各方面と調整していたといいます。

戦前には国葬に関する法律がありましたが、戦後に日本国憲法が施行された際に廃止されています。

今回は岸田総理が閣議で決定しましたが、法的根拠が薄く、外向けに説明は続けているものの、賛成と反対が拮抗する状況は続くようです。
(岡本)
 
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2022年09月14日11時09分~抜粋

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