人権デューデリジェンスって?
「最近、『人権デューデリジェンス』という国際基準が注目されているそうです!」と小高直子アナウンサー。
ちょっと油断したら舌を噛みそうな言葉だったため、気合を入れたようです。
横にいたつボイノリオもきちんと聞き取れなかったようで、「ん?」と聞き返してしまったほど。
つボイ「注目してなかったんで、今から注目しますわ」
小高「言えますか?」
小高の迫力に押されたつボイ、深呼吸して「人権…デュー…デリジェンス」となんとか言い切ることができました。
ちょっと言いにくいこの言葉、いったいどんな意味があるのでしょうか。
企業活動の「すべて」とはどこまでか
人権デューデリジェンスとは、企業活動のすべて、原材料調達から生産や製造・輸送・販売・廃棄まで、他にもビッグデータ利用などで事業活動をする中で、社内だけでなくサプライチェーン(供給網)、バリューチェーン上の強制労働やハラスメント、差別などの人権リスクを探し出して、軽減したり、予防したり措置をとること。
そして救済する手段を講じることや、その取り組み内容や結果報告の開示まで含まれています。
「企業活動のすべて」ということは、前述の通り最終製造の部分だけではありません。
それこそ原材料を作っている農園など最初の部分まで幅広い部分を指しているので、すべてチェックするのは企業としても大変そうです。
問題になった理由
前述の小高の説明だけではちょっと難しいかもしれません。
もう少し、具体的にどんな例があるのか知りたい!と気になるところです。
小高「児童労働や奴隷労働、低賃金など様々なハラスメント、性別や障がいによる差別、労働上の安全や衛生の問題などが人権侵害の例として挙げられます」
この取り組みが行われるようになったきっかけは、2011年に国連人権理事会が全会一致で「ビジネスと人権に関する指導原則」を承認したことでした。
原料生産地での児童労働・強制労働の問題が大きくなってきたため、企業の責任として人権に関する考え方や取り組みを決めて公表することが求められるようになったのです。
消費者の目が抑止になるけれど…
具体的にどんな動きが出てきているのかというと、例えばEUは人権侵害リスクの回避義務について罰則付きの法案が年内にできる見通しです。日本企業もEU圏内で事業を行う時は、この法律の対象になる見込みです。
日本は2020年10月に「ビジネスと人権に関する行動計画」を策定。企業に対し、人権デューデリジェンス導入促進への期待が表明されたんだとか。
期待するだけじゃなくて、日本も国としてEUのようにしっかり法律を作ってほしいところですが…。
日本政府は企業の人権対応について初めての実態調査中で、来月にも集計される予定です。
政府の動きに合わせて、取引先の調査を強化する企業も増えてきました。
具体的には、海外の綿花やパーム油などの原材料を生産している農園の労働環境が思いつきそうです。
他にも、近年世界から厳しい目を向けられている日本国内の技能実習生に関する対応、下請けや派遣労働者の働かせ方や賃金にも関係してきます。
つボイ「我々も、モノを買う時に『これを作るとき、どこかで誰かが泣いていないか?』って考えて、信頼できるメーカーや店から買うことを心掛けんといけないですね」
「消費者がしっかり目を光らせることも大切だ」とわかっているものの、安いものを手に取りがちなわたしたちにとっては耳が痛い言葉です。
日本企業の対応は?
実際、この問題で海外から叩かれているのがユニクロや無印良品です。
ユニクロや無印良品の綿シャツが「人権弾圧の可能性がある中国・新疆ウイグル自治区の強制労働で作られた綿を使っている」と指摘されましたが、企業側の対応は鈍いものでした。
なんと「調査の結果、特に問題がなかった」と発表したのです。
この調査結果はさらなる反発を受けており、今後の展開が気になります。
今後、日本企業もますます対応を求められることになる人権デューデリジェンス。
先陣を切って積極的な取り組みをする日本企業が出てきてほしいところです。
「SDGs(エスディージーズ)」とは、「誰一人取り残さない」という考えに基づき、誰もが人間らしく生きる環境を作るため、国連で採択された17個の持続可能な開発目標のこと。
『つボイノリオの聞けば聞くほど』の「SDGsのつボ」コーナーは、小高直子アナウンサーが一見難しそうなSDGsについて、わかりやすく説明しています。
(葉月智世)