(前編からの続き)
元『ミュージックライフ』編集長で、初めてビートルズに会った日本人、星加ルミ子さんへのインタビューです。
聞き手は小堀勝啓です。
アメリカンポップスで育った星加さんにとって、ビートルズの音楽性には抵抗があったと言います。
「ですから私は、最初に会った時に、熱烈なビートルズファンじゃなかったのが、良かったんじゃないかと。目からハートが出たり、星が瞬いたりするような顔して会ってたら、きっと取材なんてできなかったんじゃないかと思います」
星加さんが「私も、あの4人とほとんど年齢が同じ」と語るように、ジョン・レノンとは同い歳です。
「それも、あったから警戒されなかったんですね。私がベテランの一流新聞の記者だったら、絶対会わせてもらえなかったと思うんですよ。どんなこと書かれるかわかんないし、意地悪い質問されるかもしれない。でも、私は片言の英語で、着物着て、ニッコリ笑ってる」
星加さんが現地インタビューに成功した1965年は、あの『HELP!』のレコーディング真っ最中。その時の4人の印象は?
「映画『A Hard Day’s Night』。彼らの動きは、まさにあのままです。4人とも。本当に屈託がない。純真と言うかナイーブな感じのね。あんな大スターであったにもかかわらず、自分たちがスターだってことさえ忘れてるんじゃないかと思うぐらい気さくに動き回ったり、しゃべったり」
映画と全く変わらないので、逆に驚いたという星加さん。個々のメンバーについてどんな印象を抱いてたのでしょう。
「世界のスーパースターだし、もう少し嫌な面を見せるんじゃないかと思ったら、ポール・マッカートニーとかしゃべくりまくってましたからね。よくしゃべる人で」。
ジョン・レノンはどんな人物だったのでしょう。
「ちょっと気難しい感じだったんですよ。それでも、いつの間にか仲間に入って来ましてね。私、いろいろ皮肉、っていうか辛口のジョークをジョン・レノンには言われました。もともとそんな饒舌なタイプではなかったし、本当にギターが好きなギター少年。僕は音楽さえやってればハッピーなんだっていう感じの。そういう純粋さがありましたね。4人ともそうですね」
こう振り返る星加さんのコメントも、ジョン・レノン並みにシニカルです。
リンゴ・スターとは、ツアー中に朝食ビュッフェで会ったこともあるそうです。
「リンゴ・スターとはそういう意味では一番仲良くなったし、彼は親切。一番年上だし、他のバンドにいたこともあるから、世の中に慣れてるというのかしら。とっても良いキャラクターを持っている人でしたね」。
ジョージ・ハリスンはメンバーでは一番おとなしく、何を尋ねてもひと言しか発しなかったそうです。
「雑誌記者としてはそういうのが一番困ります。後でブライアン・エプスタインに聞いたら、ジョージはなかなかリバプール訛りが抜けなくて、彼はそれをコンプレックスに思ってたみたいね。でも、そんないじけたところは全然なかったですね。シャイなのかなと思って。ニコニコしながら膝にギターを抱えて、next、次の質問は何?って言うんですけど、こっちが聞くと、オー、イエースとかそれしか言ってくれない。本当に記事にするのに困った人でした」
「どこから撮っても構わないって言うんですよ。普通大スターであればあるほど、左から撮ってとか右から撮ってとか、カメラを向けるとちょっとポーズとったりするのに。後ろから撮ろうと、上から撮ろうとね、何でも構わないからとポール・マッカートニーに宣言されて。全然、構えるってところがないんですね。カメラマンなんか、奴ら大物だって感心してましたけどね」
ポールをおしゃべりと言っていましたが、星加さんもそれ以上。
音楽史の一端が垣間見える、楽しく素晴らしいインタビューでした。
(尾関)
元『ミュージックライフ』編集長で、初めてビートルズに会った日本人、星加ルミ子さんへのインタビューです。
聞き手は小堀勝啓です。
最初のインタビュー成功の鍵
アメリカンポップスで育った星加さんにとって、ビートルズの音楽性には抵抗があったと言います。
「ですから私は、最初に会った時に、熱烈なビートルズファンじゃなかったのが、良かったんじゃないかと。目からハートが出たり、星が瞬いたりするような顔して会ってたら、きっと取材なんてできなかったんじゃないかと思います」
星加さんが「私も、あの4人とほとんど年齢が同じ」と語るように、ジョン・レノンとは同い歳です。
「それも、あったから警戒されなかったんですね。私がベテランの一流新聞の記者だったら、絶対会わせてもらえなかったと思うんですよ。どんなこと書かれるかわかんないし、意地悪い質問されるかもしれない。でも、私は片言の英語で、着物着て、ニッコリ笑ってる」
ビートルズの印象は映画通り
星加さんが現地インタビューに成功した1965年は、あの『HELP!』のレコーディング真っ最中。その時の4人の印象は?
「映画『A Hard Day’s Night』。彼らの動きは、まさにあのままです。4人とも。本当に屈託がない。純真と言うかナイーブな感じのね。あんな大スターであったにもかかわらず、自分たちがスターだってことさえ忘れてるんじゃないかと思うぐらい気さくに動き回ったり、しゃべったり」
よく喋るポール、気難しいジョン
映画と全く変わらないので、逆に驚いたという星加さん。個々のメンバーについてどんな印象を抱いてたのでしょう。
「世界のスーパースターだし、もう少し嫌な面を見せるんじゃないかと思ったら、ポール・マッカートニーとかしゃべくりまくってましたからね。よくしゃべる人で」。
ジョン・レノンはどんな人物だったのでしょう。
「ちょっと気難しい感じだったんですよ。それでも、いつの間にか仲間に入って来ましてね。私、いろいろ皮肉、っていうか辛口のジョークをジョン・レノンには言われました。もともとそんな饒舌なタイプではなかったし、本当にギターが好きなギター少年。僕は音楽さえやってればハッピーなんだっていう感じの。そういう純粋さがありましたね。4人ともそうですね」
こう振り返る星加さんのコメントも、ジョン・レノン並みにシニカルです。
良い人リンゴ、寡黙なジョージ
リンゴ・スターとは、ツアー中に朝食ビュッフェで会ったこともあるそうです。
「リンゴ・スターとはそういう意味では一番仲良くなったし、彼は親切。一番年上だし、他のバンドにいたこともあるから、世の中に慣れてるというのかしら。とっても良いキャラクターを持っている人でしたね」。
ジョージ・ハリスンはメンバーでは一番おとなしく、何を尋ねてもひと言しか発しなかったそうです。
「雑誌記者としてはそういうのが一番困ります。後でブライアン・エプスタインに聞いたら、ジョージはなかなかリバプール訛りが抜けなくて、彼はそれをコンプレックスに思ってたみたいね。でも、そんないじけたところは全然なかったですね。シャイなのかなと思って。ニコニコしながら膝にギターを抱えて、next、次の質問は何?って言うんですけど、こっちが聞くと、オー、イエースとかそれしか言ってくれない。本当に記事にするのに困った人でした」
同行カメラマンも思わず唸る
「どこから撮っても構わないって言うんですよ。普通大スターであればあるほど、左から撮ってとか右から撮ってとか、カメラを向けるとちょっとポーズとったりするのに。後ろから撮ろうと、上から撮ろうとね、何でも構わないからとポール・マッカートニーに宣言されて。全然、構えるってところがないんですね。カメラマンなんか、奴ら大物だって感心してましたけどね」
ポールをおしゃべりと言っていましたが、星加さんもそれ以上。
音楽史の一端が垣間見える、楽しく素晴らしいインタビューでした。
(尾関)