南海ホークス(現・福岡ソフトバンクホークス)などで活躍し、歴代3位となる567本のホームラン記録を残した門田博光さんが、1月24日に74歳で亡くなりました。
30日放送のCBCラジオ『ドラ魂キング』では、元中日ドラゴンズ捕手で野球解説者の中村武志さんが、門田さんたちレジェンドとの思い出を語りました。
聞き手はダイノジの大谷ノブ彦、加藤里奈です。
漫画の中では怖い人
番組には球界のレジェンドの訃報を悲しむ声が寄せられました。
「昨年末の村田兆治さんの訃報に続き大変残念な思いです。小学生の時に漫画で門田さんが出てた時、ものすごい怖いキャラクターで威圧感いっぱいに描かれていたのを覚えています」(Aさん)
ちなみに門田さんが登場していた漫画は『巨人の星』(原作:梶原一騎・作画:川崎のぼる)とのこと。
門田さんは南海ホークス、オリックス・ブレーブス、福岡ダイエーホークスで活躍。独特の一本足打法でホームランにこだわった選手でした。
「実際の門田さんは豪快なバッティングとは裏腹に、朗らかで優しそうな印象が強かったです。門田さんとのエピソードがあれば教えてください」(Aさん)
門田博光との思い出
中村「僕がナゴヤ球場でオールスターに出た時に、ピッチャーが巨人の槇原寛己さん。キャッチャーが中日の中村武志。バッター門田さんでした」
1988年のオールスターゲーム第2戦でのことです。
槇原さんと中村さんの間では、「槇原がサインは全部出すから、中村は取るだけでいい」という打ち合わせがあったそうです。
この対戦では、槇原さんはなぜかフォークボールを連発して、門田さんから三振を奪います。
そして中村さんに災難が降りかかります。
中村「僕、言われましたもん。『オイ、クソガキ、オールスターわかっとらんな!』。なんで俺、怒られるんだろうと思いながら帰ってきました」
大谷「武志さんがサイン出したと思ったんだ(笑)」
ユニフォームを脱ぐと別人
オールスターゲームは力と力の対決。槇原さんは速球のストレートが持ち味の投手でした。門田さんも当然ストレートを待っています。
中村「なぜか槇原さんは三振取りたくてフォークボールを連発したんですよ。そこで三振取ると優秀賞かナントカ賞が出るわけですよ。で、槇原さん、ちゃんと取りましたからね」
ちなみに受賞した槇原さんから中村さんには、お礼としてお小遣いが与えられたそうです。
一方、中村さんに怖い言葉を放った門田さんは、ユニフォームを脱ぐと、とても優しい人だったそうです。
村田・中村、謝ったのはどっち?
続いてもオールスターゲームでのエピソード。
神宮球場で、中村さんが打者として、マサカリ投法の大エース・ロッテの村田兆治さんと対戦した時です。
中村「頭の辺にボールが来て、避けて瞬間的に睨んだら、三歩ぐらい前へ来られて『すいません』って謝りましたからね」
大谷「村田さんが?」
中村「僕が謝りました」
大谷「なんでだよ。頭狙われたのあんたじゃん(笑)」
マウンドでは闘志の塊。どっちが悪かろうが来るなら来いという姿勢を見せた村田さん。
しかし次の日、村田さんは中村さんに「あの球はすっぽ抜けた」と謝りに来てくれたそうです。
中村「僕らは優しいイメージしかないんですけど、ユニフォーム着た瞬間に変わりますね。昔の人はそこがなんとなくいいじゃないですか」
お笑いとの共通点
中村さんの話に、お笑いとの共通点を見つけたという大谷。
大谷「90年代にお笑いデビューしたんですよ。その時、カッコいい芸人って、楽屋で喋んない人だったの。テンション低くて、ステージに上がったら別人になる」
ビートたけしさん、松本人志さん、ナインティナインの岡村隆史さん、志村けんさんがそのタイプだったそうです。
大谷「マウンド上では、そういう人にならないと、到底通用しない世界だったんですかね」
中村「球場でも、ポコンとひとつマウンドは高いじゃないですか。やっぱり、あそこに上がると変わるんでしょうね」
マウンドで変わる中日の投手は?
現在のドラゴンズの選手の中で、ユニフォームを着ている時と着ていない時で変わるのは柳裕也投手だそうです。
中村「普段はどっちかと言うとお笑い系ですよね。オンとオフがしっかりしてますよね」
もう一人あげたのは小笠原慎之介投手。柳投手も小笠原投手も、マウンドでは周りの言うことが聞こえないのでは?と推測する中村さん。
中村「でも、そうなりますよ。ある程度の成績を上げた投手は、良くても悪くても自分との戦いです」
大谷「面白いなあ。野球の話できますね」
中村「勝敗予想以外はできるんです」
ドラゴンズの勝敗予想は当たりませんが、流石元プロ野球選手と思わせる中村武志さんの話でした。
(尾関)
ドラ魂キング
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2023年01月30日17時04分~抜粋