ドラ魂キング

『すずめの戸締まり』原菜乃華、3度目の鑑賞で新海誠監督の意図に気づく

11月21日放送の『ドラ魂キング』(CBCラジオ)に、現在大ヒット公開中のアニメ映画『すずめの戸締まり』の新海誠監督と、主人公すずめの声を担当する女優の原菜乃華さんが出演しました。

いまやアニメ界の大監督・新海誠さん注目の話題作に、初めて声優として挑戦した原さん。
監督を前に意外なエピソードを披露します。

[この番組の画像一覧を見る]

きっかけは挨拶回り

『すずめの戸締まり』の着想を語る新海監督。

「日本の各地、人が少なくなった廃墟みたいなところを巡って行く話ができないかなと思い始めたのが最初ですね」

今回の『すずめの戸締まり』もそうですが、『君の名は。』『天気の子』などの作品を制作した後には、各地に挨拶に行くそうです。

すると地元の長野県、また東京などでも、人が減っていると感じるという新海監督。

人口が少なくなっていく日本で、誰も住まなくなった場所はどうなって行くんだろう?というところから、人のいなくなってしまった場所を悼む職業があったら、それはどんなキャラクターなのか考えるうちに、この作品が生まれたとのこと。

最初の構想は、少女二人の旅

主人公のすずめと共に旅をするのは、椅子に変えられてしまった青年。
なぜ主人公のパートナーに「椅子」を選んだのでしょうか?

新海「廃墟を旅する二人の話にしようと思った時に、最初は、少女と少女みたいなことも考えてたんですけど」

それだと、少しテーマが重い上に、ビジュアルも重くなり過ぎてしまうと感じたそうです。

新海「だからパートナーの一人は、歩いてるだけで可愛らしかったり、クスクスッと笑えるようなキュートなものがいいと思って、いろいろと考えた末、椅子にしました」

椅子にも表情がある

椅子を相手にすずめを演じた原さん。椅子が相棒と聞いた時の感想は?

原「びっくり。い…椅子か…初めてだなと思いましたね」

相手は表情のない椅子。芝居が難しいと思いきや、全くそういうことはなかったという原さん。
椅子なのに人間らしい部分、目の表情や口の表情が見えるような気がしたんだとか。ちなみに椅子に変えられた青年を演じたのは松村北斗さん。

原「すごくコミカルで面白いシーンばかりなので、そこにも注目してみていただけたら嬉しいなと思います」

自分が演じたキャラクター、すずめの魅力は?

原「強くて真っすぐで、いい意味でも悪い意味でも、ちょっと突っ走ってしまうところがあるのが私にはない部分で、カッコいいなと思いました」

不安だらけの声優初挑戦

実は原さんも松村さんも、今回が声優、初挑戦でした。

原「わからないことだらけで、不安だったんですけど、新海監督が支えて下さって、無事に最後まで録りきることができたっていう感じです」

そんな原さんですが、新海監督は?

新海「菜乃華さんも北斗君も、きっと不安はいっぱいあったと思うんですよね。ただ、やっぱり不安ごともらえるのが僕は嬉しかったんですよね」

映画の最初、キャラクターは不安な状態、不安定な状態、何かが欠けた状態で物語はスタートします。映画が進んでいくうちに、キャラクターは少しずつ変わっていきます。

新海「その意味ではキャラクターを演じてくれる人も、最初は何か不安なり、何か心配なことを抱えていた方がいいんですよ」

キャラと役者がリンクする

映画の中でキャラクターが成長し、そのキャラクターを演じた役者自身も変わっていく。そういうリアルな部分を、観客は映画の中で感じ取るそうです。

新海「菜乃華さんが最初、少し不安があったんだとしたら、僕はそのことが、映画にとって大きなプレゼントだったと思いますね」

実際、原さんは3回目を劇場で見た時に、新海監督の言ったことを感じたそうです。

原「アフレコ中は気づかなかったんですけど、最初の方のお芝居は、声に迷いがあるなって思ったんです」

アフレコは「順録り」、つまり物語の進行通りに収録したそうです。

原「私自身の不安がすずめの不安だったり、私がアフレコに慣れた頃に、すずめが覚悟するとか、進むにつれてちゃんとリンクしてて。そこまで監督が考えてらっしゃったと思うと、とんでもないなと思いました」

「偶然の部分もある」と謙遜する新海監督ですが、やはり映画を一本作ると、キャラクターと同時に役者も成長するんだそうです。

観客と一緒に作った映画

新海「『すずめの戸締まり』は3年ぶりの作品なんですけど、『君の名は』っていう映画を6年前に出した時、あの時から、ずっとこの映画を作ってたような気がするんですね」

作品を一本出すごとに「次はこういうのを見たい」とか、「あなたが作るのは、そっちじゃなくてこっちでしょ」と観客に導かれている気がしていると語る新海監督。

新海「ですので、観客の皆さんも『自分も一緒にこの作品を作ってきたんだよ』っていう気持ちで応援してもらえると幸せだなと思いますね」
(尾関)
 
ドラ魂キング
この記事をで聴く

2022年11月21日17時12分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報