元中日ドラゴンズ監督で野球解説者の山田久志さんが、10月10日の『ドラ魂キング』に出演しました。
パーソナリティの西村俊仁アナウンサーには、どうしても山田さんと語りたい、今シーズンの試合があるようです。
あれを語らずにおくべきか
西村「山田久志さんと一緒となると、どうしても今シーズン、この話題にいきたい」
山田「何が言いたいか、だいたいわかった。もっと声を大きくして喋ってみ?」
西村「そりゃあ、もう、やっぱり…」
山田「ノーヒットノーランじゃない?」
西村「そうですよ!」
西村俊仁が振り返りたいというのは、自身が実況した9月14日の中日対阪神戦。大野雄大投手がノーヒットノーランを達成した試合でした。
この日の解説は山田さんが務めていました。
山田「興奮してたもんね。大丈夫かと思うぐらい興奮してた」
西村「倒れても不思議じゃないぐらい、いろんな値がマックスに達してました」
山田「西村君、よくわかるよ。数多のアナウンサーがいて、何千試合と放送してきた人もいる中で、ノーヒットノーランとか完全試合とか、その試合であのアナウンサー席にいる人は数えるほどしかいない。その一人だから」
西村アナの胸中を察する山田さんです。
今シーズンはここが違う
山田「大野といえばパワー。力で押し込むタイプのピッチャーだったと思うんですけども、今年はその速さだけじゃなくて、自分が困った時のピッチングを覚えてくれたような気がするね」
技術的には、真っすぐと同じような投げ方、腕の振りで、右バッターのアウトコースにすっと落とすチェンジアップの様な球が投げられるようになったと指摘しました。
そのボールで大野投手の投球の幅が広がったそうです。
京田のエラーで確信
リスナーからも次のようなメッセージが寄せられました。
「今日のゲストの山田さん、ノーヒットノーランの実況コンビですね。いつから確信されたかなど、裏側を教えてください」(Aさん)
西村「名古屋でやる最後のタイガース戦でした。私が記憶している限りだと、大野投手はずっと完全試合ペースでいってました。
それが、一つのエラーによって完全試合が断たれました」
山田「京田だね。あれは最高殊勲選手だ」
「え?それが最高殊勲選手になるんですか?」と疑問を口にする加藤由香アナ。
山田「エラーした後に、凄いファインプレーするんだよね」
セカンドベースのすぐ後ろ、バウンドが変わったボールを胸の前でしっかり捕って、一塁に投げてアウトをとるという素晴らしいプレーでした。
山田「私も経験あるけども、完全試合ってピッチャーにプレッシャーかかるんだけど、野手にも非常にプレッシャーかかる」
ノーヒットノーランはヒットを打たれなければいいので、エラー、フォアボールは許される記録です。
完全試合は名前の通り完全無欠の試合内容。1回につき打者3人で3つのアウト。エラーもフォアボールも許されません。さすがにプロでも緊張するようです。
山田「だから京田の一つのエラーによって、ベンチも大野も少し力が抜けたのよ」
西村「そのプレーがあった5回が終わった後に、山田さんが、『これ完全なくなったけど、多分ノーヒットノーランやるわ』とおっしゃったんです」
加藤「そこの時点で」
山田「雰囲気って言うかね、匂いはあったよね」
ペースを乱すのは捕手?
その後、キャッチャーの加藤選手が負傷退場、6回から大野奨太選手がマスクを被りました。
西村「この時、山田さんは『ちょっとまずいかもしれないけど、今日の大野(雄大)は大丈夫だな』とおっしゃいましたが…」
山田「加藤が必死になってリードをしてたように見えたけど、主導権は大野が握ってたからね」
西村「だからキャッチャー変わろうが問題ない」
山田「ピッチャーがなぜリズムを崩すかっていうのは、ボールがどうとかじゃなくてサインを出すタイミングなんです。
キャッチャーの人ってピンチになったらサインを出すのが極端に遅くなる。考えるから。キャッチャーは考えるポジションだから。ピッチャーは早くサイン出して、早く投げたいっていう心境なんだけど、キャッチャーの人はそういうわけにいかないから。
僅か0.何秒のタイミングで、ピッチャーのリズムは微妙に狂ってしまうんです」
西村「それを乗り越えたから、6回が終わった後、『もう大丈夫だよ』とおっしゃったんですね」
山田「キャッチャーはもっといたのに、大野を持っていったベンチも良かったんですよ」
その結果、ノーヒットノーランに繋がり、大野投手は今シーズン、「最優秀防御率」というタイトルを獲りました。
やっぱりなりたいノーヒッター
「皆さん、タイトル一つ獲るのは大したことないと思うでしょうけども、選手にしたらすごい勲章なの。
自分は最優秀防御率投手だっていう自信がつくし、俺は素晴らしいピッチャーなんだって、自分で自分を励ます材料なの」と現役投手の心境を語る山田さん。
「究極の選択かもしれませんけどノーヒットノーランとタイトルはどっちが嬉しいんですか?」と言う西村に、「そりゃあタイトルだね」と躊躇なく答える山田さん。
山田「ノーヒットノーランは1年に二人、三人出る可能性があるじゃない」
西村「そうか。現に、今年も複数います」
今年は9月6日にソフトバンクの千賀洸大投手も達成しています。しかしタイトルは、その年ナンバーワンのピッチャーただひとり。
山田「そりゃ、タイトルは重いよ」
加藤「他にどれだけいるかってなったら、タイトルは 1年に一人」
山田「大野はこれから何年もやってくでしょうけども、最優秀防御率獲得投手という名刺をもらったんだよ!
それに加えてノーヒットノーラン。ノーヒッターって言われるんだよ」
大野投手を激賞したあと「私でもノーヒットノーランやってないんだよ~」と悔しそうな山田久志さんでした。
(尾関)
ドラ魂キング
この記事をで聴く
2019年10月10日18時17分~抜粋