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「同性婚を認めない現在の結婚制度」を問う集団訴訟、高裁の判断は?

「同性婚を認めない今の結婚制度は合憲か違憲か」を問う集団訴訟のゆくえに注目が集まっています。
全国5か所、6件で起こされ、愛知県では今月、二審の名古屋高等裁判所で憲法に違反するという判断がしめされました。この集団訴訟、どのような裁判でしょうか?

3月18日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、光山雄一朗アナウンサーがアディーレ法律事務所弁護士の正木裕美先生に、この集団訴訟について尋ねます。

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同性婚に関する裁判とは

「同性婚が認められていない今の結婚制度は合憲なのか?違憲なのか?」、その集団訴訟が全国で起きています。

正木「同性のカップルとなっているなど、戸籍上の性別を理由に結婚を認めない今の法律が憲法違反だということで、国を相手取って行なっている裁判です。

その主張は、結婚はそもそも人間らしい人生を送るために重要な選択だ。いつ誰とするかは自分で決める権利がある。
結婚の自由があって、憲法上それが認められているはずなのに、戸籍上の性別の理由で否定をするということ自体が、憲法で保障された結婚の自由の侵害であるとか、同性カップルか異性カップルかで分けるのは不合理な差別だということで、正面から合憲性を争うものになります。

そもそも大前提として、同性婚制度は憲法で明確に禁止されているわけではないです。
さらに法律でも、異性の婚姻しか認めないと明記されているわけでもないです。

ただ「夫」「妻」という記載があるので、夫は男性である夫、妻は女性である妻という形で解釈するので、同性で婚姻届けを出しても受理できません、という形で拒絶されてしまって同性婚はできないという状況にあります」

大阪高裁の判断に注目

集団訴訟が各地で起きていますが、名古屋高等裁判所の二審で違憲だと判断されました。
その他の高裁ではどのような判決になっていますか?

正木「いま高裁で判決が出ているのは、名古屋を含めて4つです。すべて違憲判決です。
地裁に関しては、違憲状態か違憲と出ているものが6つのうち5つで、ひとつだけ合憲と出たのがあり、それが大阪地裁です。それに対する高裁の判断が今月25日に出ます」

地裁より高裁の方がより強く違憲の判断が出ているように見えますが…。

正木「一般論としては一審の方が攻めた判決をする方が多く、二審が比較的保守的なことが多いですが、今回は逆のパターンです。
ただ高裁はそれぞれの理由付けは全然違います。

しかし、現状を変えなくてはならない。司法として権利を守らなくてはいけないという判決ばかりなので、かなり珍しい裁判と言えます」

パートナーシップ制度では補えない

背景にあるものは何が考えられますか?

正木「同性婚に対する社会の流れが変わってきて、われわれが比較的認めようということが定着してきた。理由付けとしても否定することが難しくなった。助けなくてはいけないという要請が強く働いているということがあります」

パートナーシップ制度が各自治体で増えてきましたね。そういった世の中の動きがある中、明確に「合憲である」とは言えない状態ができているんですね。

正木「こんな裁判を起こさなくてはいけないのは、立法が動かないからです。議員の方々、その支持者の方々の中には同性婚に必ずしも賛成ではない方も多数いるという状況にある。

どれだけ声をあげても立法が動かないが、裁判所、特に最高裁で違憲だという形が出れば必ず国会は動かなくてはいけない。そのような動きが出るように裁判をして戦っているわけです。

パートナーシップ制度があったところで、法的な配偶者として戸籍上認められるわけではない。それは心情的にも苦しいし、法律的にも相続権もないし、遺族年金ももらえない、税制上の優遇もされない。外国人のパートナーがいても、配偶者としての在留資格が得られないというような、心情的にも法的にもさまざまな違いが起きてくる。

さらにパートナーシップ制度を利用するということ自体、自分自身で選ぶことができない性的指向を開示しないといけない。それ自体がプライバシーの侵害になって苦しいと言えるので、パートナーシップがあれば解決ということにはなりません」

最高裁に対するプレッシャー

二審で違憲と出ると、最高裁にも二審の判断は大きく影響するわけですね?

正木「拘束されるわけでもないし、過去の判例もないので、ひっくり返るということは理論的にはありますが、高裁レベルでは違憲の流れは概ね固まったと思います。

となると、最高裁に対するプレッシャーも大きいという状況ですし、かなり各高裁いろんな理由付けで違憲という結論を導き出していますので、これを否定するのはかなり理論的にもハードルが高くなっています。

早ければ1年以内に最高裁判決が出ますが、かなり大きなプレッシャーになっているとは思います」

なぜ同性婚に反対する?

同性婚に対しては少なからず反対の意見もあるそうですが、どういった理由なのでしょうか?

正木「伝統的な結婚観、家族観、価値観に重きを置く方は、同性婚の導入によって社会が変わってしまうとか、男性優位の社会を求めている方が多かったりするのかな、と見受けられるので、それを温存したいというもの。

同性婚となると、生物学的には自然生殖が望めないということから少子化につながるのではないかとか、パートナーシップ制度があるからそれでいいのではなど、さまざまな理由付けがなされています」

同性カップルが困っていること

それぞれの生き方を後押しするためには、こういう同性婚を認めていくという法整備が求められるのかなと思いますが。

正木「差別的な感情はおいといて、もし認めた場合にあなた困りますか?という話です。具体的な弊害は想定しがたい。一方で同性カップルが受ける不利益は極めて甚大です。

さらに、当事者間だけではなく、養育しているこどもがいる方がいる、そのこどもが病院などに運ばれたとき、親権者に法的になってない場合、関与ができないという形があります。

そうするとこどもの生命、身体に直結する不利益が想定されるということがあります。そういうさまざまな不利益が起こることを、みなさん知っていただければと思います」

今月の大阪高裁の判決が注目されます。
(みず)
 
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2025年03月18日07時17分~抜粋

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