CBCラジオ #プラス!

成立したのになぜ引退?「示談」とはいったい何?

タレントの中居正広さんが芸能活動の引退を発表しました。
フジテレビに勤務していた女性と深刻なトラブルがあったようですが、両者の間では示談が成立していたそうです。

そもそも「示談」とはどういうもので、どうして中居さんは引退に追い込まれたのでしょうか?

1月28日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、光山雄一朗アナウンサーがアディーレ法律事務所弁護士の正木裕美先生に、「示談」について尋ねます。

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示談とは?

示談について、「何か問題が起きたときに、ふたりで落としどころを見出しながら解決を図っていくというものですか?」と自身のイメージを語る光山アナ。

正木「まさにそのイメージ通りのもので、当事者の合意で成立する契約になります。民法に『和解契約』というものが定められていて、その一種になります。

和解契約とは、争いがある当事者がお互いに落としどころを見つけて、お互いに譲歩して、それによってこの紛争を終わりにしようと約束する。今後何かの請求をしないという契約になります」

書面にする

正木「ただ、中には早く解決したいからといって、被害者が提案したものをすべて呑んで、それで解決しましょうという場合もあって、そうするとお互い譲歩をしてはないです。
一方的な条件を呑んでいるということで、民法上の和解にはあたらないが、解決するための策としては一緒になります」

示談はすべて書面に残す必要があるのでしょうか?

正木「口頭でも成立しますが、やはりどういう話があって、どうまとめたか、後で言った・言わないの話に当然なり得るので、書面にまとめるのが一般的で、マストと言われています」

こういうときは示談に

お金も時間もかかる裁判に持っていくことを考えると、示談にはメリットがあるということですか?

正木「それは大きいです。あと裁判は敗訴リスクがあります。負けるくらいなら、早い段階でやった方が双方に得、というのが中にはあり得ます。
他にも判決より柔軟な内容で解決がしたい…例えば損害賠償請求なら『お金をください』という請求です。

しかし当事者の中ではいろいろなトラブルがあるので、『謝罪をして欲しい』『今後私の人生に関わらないで欲しい』『連絡しないで欲しい』など、判決では出ないような要望があったりします。

当事者が合意できればいいので、そういう細かいところまで定めたいときに示談を使います。

これからの関係があるような場合、関係をできるだけ良好に保ちたい、そういう場合にはお互い譲歩して納得を得て話合いをするということで、今後も関係を良好に保ちやすいということで利用されることもあります」

示談のメリット・デメリット

示談のメリットとデメリットはそれぞれ何でしょう?

正木「メリットは柔軟な解決、当事者の要望に応じることが可能になります。基本的には、当事者が納得して合意ができている以上、後で蒸す返すおそれが低いですし、関係も良好に保ちやすい。
合意ができている以上、相手も納得しているので、それを叶えてもらいやすい。やってもらえないという可能性が低くなるというのがメリットです。

デメリットとしては、いろいろお互い要求があるが、譲歩しないといけない、一定程度引かなくてはいけない。
いったん示談が成立すると、その件は終了となりますので、仮に不相当な条件で示談したとか、こんなこと知らなかったということが含まれていても、その後争えなくなってしまう可能性があります。

裁判外の示談の場合は約束を守ってもらえなくて、実現するまでの時間がかかってしまうこともあり得ます」

守秘義務は契約者のみ

今回、タレント中居正広さんをめぐるトラブルに関して、示談の中に「守秘義務」が発生していると言われています。どういうときに守秘義務が発生するものですか?

正木「『口外禁止条項』と呼ばれますが、第三者に対して事件の内容や交渉の経過、示談の内容など、本件に関することを公表しないでください、ということを定めるものです。

契約をした当事者それぞれに守秘義務が発生します。

しかし、契約外にいる方には守秘義務が働かないので、示談する前に誰かに相談していました。相談相手が示談に入ってなかった場合は、相談相手の方が外に漏らしても守秘義務には及ばないので契約違反にはならない。
当事者がしゃべると守秘義務違反として責任が問われることがあります」

守秘義務が足かせに?

今回、示談が成立した後にここまで大きな問題になっていきました。

正木「芸能界では、基本的には示談が成立したということは解決した、ということで基本的にポジティブに働くものなので、示談後に引退まで追い込まれるというのはあまりないと思います。

今までの不祥事のことを考えると、すぐ謝罪をして活動休止という形をとっていらっしゃったら、引退まで追い込まれることはなかった可能性はあるかと思います。

守秘義務の観点からいうと、今回守秘義務が逆に働いて引退に追い込まれたという可能性はあるかなと思っています。

今の時代、誰でもネットで情報発信できるので、ネットで炎上し続けたら引退に追い込まれる時代になっています。トラブル、不祥事に関しては、早期に適切で誠実でみなさんの納得を得られる説明をすることがマストになっています。

今回も何らかの説明をすべきだった、していれば風向きが変わった可能性があるとは思いますが、事実と異なる報道がされたとき、事実じゃないと否定はしたいが守秘義務がかかっているから事件に関わることはあっているとも、間違っているとも何もいえない。

中途半端な説明しかできないということで、不満とか疑惑だけが渦巻いてしまう。
守秘義務が足かせとなってしまったという可能性がもしかしたらあるかもしれないと思います」
(みず)
 
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2025年01月28日07時16分~抜粋

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