CBCラジオ #プラス!

挑戦再び!「カイロスロケット2号機」打ち上げ 和歌山から宇宙へ

12月14日(土)、日本初の民間ロケット発射場・スペースポート紀伊から、「カイロスロケット2号機」が打ち上げられます。今年3月には1号機が打ち上げられましたが失敗に終わり、今回の2号機に注目が集まっています。

12月12日放送の『CBCラジオ #プラス!』では、CBC論説室の石塚元章特別解説委員が、小型ロケットの役割や宇宙開発における新たな挑戦について解説しました。

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1号機の教訓を活かし再挑戦へ

民間宇宙事業会社・スペースワンが開発した小型固体燃料ロケット「カイロスロケット2号機」が、和歌山県串本町にある日本初の民間ロケット発射場・スペースポート紀伊から打ち上げられます。

この発射場はスペースワンが新たに設けたもので、1号機もここから打ち上げられましたが、トラブルにより自爆処理が行なわれました。

今回の2号機には人工衛星5基が搭載されています。

打ち上げが成功し、人工衛星を宇宙軌道に正確に乗せることができれば、民間としては日本初の快挙となります。

キーワードは「小型」と「民間」

注目されるのは「小型」と「民間」という2つのキーワードです。

ロケットはかつて、人類を宇宙に送り出し、月面探査などの大きな挑戦に使われてきました。しかし現在、その主な役割は人工衛星を軌道に乗せることへと移っています。

人工衛星の打ち上げは宇宙ビジネスや衛星ビジネスの中心となり、世界中で激しい競争が繰り広げられています。特に、小型衛星の需要増加に伴い、それを効率的に運ぶ小型ロケットが注目されています。

小型ロケットは複数の衛星を同時に運び、年に数回という短い間隔で次々と打ち上げられるという利点があります。

「スペースX」に見る成功例

小型ロケットはコストが抑えられるため、打ち上げ回数が増え、利用者も増加すると期待されています。

衛星を作ることができても、ロケットを持たない国や企業が多く、「衛星を打ち上げてほしい」という需要が生まれています。この需要に応えることで、衛星の打ち上げ自体が大きなビジネスになります。

たとえば、イーロン・マスク氏の「スペースX」はその典型例です。自社でロケットを開発し、打ち上げだけでなく、他社の衛星を運ぶビジネスを展開。

また、自社でも通信衛星を多数打ち上げるなど、ビジネスモデルとして成功を収めています。

変わるロケットの役割

近年、各国の宇宙産業が活発化していて、ロケットの役割も大きく変化しています。

衛星を運ぶだけでビジネスになる時代になり、宇宙旅行や民間による宇宙開発も現実的なものとなりつつあります。かつては、国家主導で訓練を受けた専門家が宇宙開発を担っていましたが、現在は民間企業も積極的に参入しています。

日本ではこれまでJAXAを中心に大型ロケットを用いて宇宙開発を進めてきました。
しかし、大型ロケットはコストがかかる上に、頻繁な打ち上げが難しいという課題があります。

そのため、小型ロケットによる効率的な運用が注目されています。

インターステラテクノロジズの快挙

H-IIA(エイチツーエー)ロケットは、1回の打ち上げで約100億円かかるといわれていますが、H3ロケットではその半分の約50億円に抑えることを目指しています。

コスト削減により、衛星の打ち上げをより安価に提供できるようになると期待されています。

日本では民間の宇宙開発が活発化していて、北海道に拠点を置く「インターステラテクノロジズ」はその一例です。堀江貴文さんが出資するこの企業は、2019年に小型ロケット「MOMO」3号機を打ち上げ、民間として初めて宇宙空間に到達する快挙を成し遂げました。

ただしこれは「宇宙空間に到達した」という成果です。

世界との差を埋める一歩

カイロスロケットの開発を進める「スペースワン」は、キヤノン電子、清水建設、IHIエアロスペースなどの大手企業が参入する形で設立されました。

宇宙開発においては、コスト削減と打ち上げ頻度の向上が重要視されています。

2023年には、世界で212回のロケット打ち上げが行なわれ、そのうち96回(約45%)が「スペースX」によるものでした。一方、日本の打ち上げはわずか2回。

こういった意味においても、今回のカイロスロケット2号機の打ち上げ計画は、日本の宇宙開発に新たな道筋を示す取り組みとして注目されています。

コスト削減の鍵は再利用技術

ロケット開発において注目されるポイントのひとつが、「再使用可能なロケット」です。

これまでのロケットは打ち上げ後に使い捨てられていましたが、「スペースX」をはじめとする企業は、一部の部品を回収して再利用する技術を導入しています。これにより、大幅なコスト削減が可能となり、打ち上げ回数の増加にもつながります。

もう一つの注目すべきキーワードは「衛星コンステレーション」です。コンステレーション(星座)のように多数の小型衛星を低軌道に配置し、地球全体をカバーする仕組みを指します。

宇宙開発の転機になるか

「スペースX」が展開する「Starlink(スターリンク)」もこの技術を活用しており、高度な通信ネットワークを実現しています。この仕組みは、大型衛星を高高度に配置する必要がなく、より効率的な宇宙利用を可能にします。

日本でも、これら新技術に追いつくための取り組みが始まっています。特に、この「カイロスロケット2号機」の打ち上げは、日本が世界に追いつくための重要な一歩です。

今年3月に失敗を経験したこともあり、今回の打ち上げ成功が日本の宇宙開発における大きな転機になると期待されています。
(minto)
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2024年12月12日07時18分~抜粋

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