北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」

まさかの譲渡価格ゼロ円!M&Aできた理由とは?

昨今少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者不足などが大きな経営課題のひとつとなっています。承継する人がいない場合は廃業するしかないと考える経営者もいます。

CBCラジオ『北野誠のズバリ』のコーナー「カイシャのシュウカツ」では、事業承継について、専門家をゲストに多方面から学んでいます。

7月31日の放送では、日用品の卸や小売業をしている会社の承継事例を北野誠と松岡亜矢子が、三井住友トラストグループ 株式会社経営承継支援・はじめ部長の藤原秀人さんに伺いました。

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時代の波に乗れなかった

今回藤原さんが紹介したのは、日用品の卸や小売業をしている会社の事例です。

藤原「創業50年の比較的老舗の会社さん。年商は4億円ほどで従業員さんは8名。社長さんは60歳を迎えられ、後継者はいらっしゃいませんでした」

後継者が不在のためM&Aをすることになったのでしょうか?

藤原「それもあるんですけど、業績が急激に悪化して資金繰りが厳しくなり、M&Aをすることに」

創業50年とのことなので「長く営業されている」と北野。でも、なぜ急に悪化したのか疑問を持ちます。

藤原「ビジネスモデルが古くなってしまった」 

主流が小売りから通信販売になってきている商品を扱っていたのですが、その通販事業の波に乗り遅れてしまったそう。結果的に、少しずつお客さんが減少していきました。

北野「そんな(悪化した)業績の会社、売れるんですか?」

懸念する北野ですが、買い手は無事に見つかったとのこと。

業績が急に悪化した会社を買う?

買い手となったのはどのような会社だったのでしょう?

藤原「同じような商品を扱う同業者さんで、かたや年商90億、従業員さんは60名ほど。売り手さんとは逆に、通販事業が好調」

北野「社長が手を挙げて買おうとしても、周りの人たちが反対しませんか?」

藤原「めちゃくちゃ反対にあいました」

買い手社長は、役員や社員から「業績の悪化した会社を譲り受けるM&Aはやめとけ」と猛反対を受けたそうです。

北野「赤字の会社なんかなぁ。しかも被っているとこだったら嫌やん」

それなのになぜM&Aが進んだのか、不思議に思う北野。

藤原「実は売り手さん側と買い手さんは、先代の頃から懇意だった」

そんな理由から、買い手社長は他の社員たちからの反対を押し切って話を進めたそうです。

北野「そんなんしたら役員に寝首かかれますよ、社長解任動議にかけますってね(笑)」

条件付きで譲渡価格0円?

しかし、譲渡はスムーズとは行かなかったようです。

藤原「やはりなかなか厳しく、業績も悪かったので、買い手の役員と社員を納得させるために、譲り受ける条件をひとつ出した」

その条件とは「1年後に業績が回復していたら事業を譲り受けます」というもの。
そこから売り手の会社側は単体では厳しいとのことで、買い手の会社も協力して経費削減や優秀な経理の方を投入して、なんとか1年後に収支が合う状態まで持っていき、無事M&Aが成約となりました。

北野「売り手さんもやればできたんですか。買い手会社の社長がすごいんだと思うわ。だって自分のところから優秀な人を派遣したわけでしょう?」

藤原さんも「知り合いだからこそっていうのもある」と同意します。

最終的に、譲渡価格はいくらだったのでしょう?

藤原「ゼロ円」

今回はゼロ円だったとしても、北野は「売れただけよかったのかな」と言います。
会社を存続させたい売り手社長と、買い手社長の想いがあったからこそ実現したM&Aでした。
(野村)
 
北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」
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2024年07月31日14時48分~抜粋

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