北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」

「経営は苦手だけど事業は続けたい」これってわがまま?

昨今少子高齢化により、中小企業や小規模事業者の後継者不足などが大きな経営課題のひとつとなっています。承継する人がいない場合は廃業するしかないと考える経営者もいます。

CBCラジオ『北野誠のズバリ』のコーナー「カイシャのシュウカツ」では、事業承継について、専門家をゲストに多方面から学んでいます。

7月24日の放送では、キッチン用品をECサイトで販売している会社の承継事例を北野誠と松岡亜矢子が、三井住友トラストグループ 株式会社経営承継支援・はじめ部長の藤原秀人さんに伺いました。

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経験してわかる経営の向き不向き

今回藤原さんは、キッチン用品をインターネット上で販売している会社の承継事例を紹介しました。
どのような会社だったのでしょう?

年商は1億円ほどあり、従業員は約7名。社長は40代の方でした。
扱っている商品は、社長自身の好きなキッチン用品を集めて販売。従業員も増えて順調に成長していたそうです。

北野「右肩上がりで40代だったら、M&Aは考えなくてもいいと思うんだけど、なぜ?」

藤原さん「社長さん曰くなんですけど、キッチン用品は好きなんですが、お金の管理とか、従業員の育成など経営に向いていないと」

北野「やってわかったんやな」

経営に向いていないとご自身で判断されたそうです。

買い手は一番低い金額を提示

一方、今回の買い手はどのような会社だったのでしょう?

藤原「キッチン用品のECサイト(ネット通販サイト)がわかりやすかったので3社候補が現れました」

金額を提示し、買い手として選ばれたのは、まさかの一番低い金額を出した会社でした。

北野「普通は一番高いところを選びますよ?」

藤原「提示額の差は倍くらい違いました」

なぜ、そんなに低い会社の方を選んだのでしょうか?

金額よりも「気持ち」を選んだ理由

選ばれた会社は、売り手と同じようなキッチン用品や生活雑貨の卸しをしている会社で、売上は30億円ほど。

藤原「キッチン用品のECサイトを有名にしたいという、売り手社長の描くビジョンを理解しているという『気持ち』が一番大事だったと」

北野「金額よりも気持ちが通じるほうが大事だったんですね。他の2社は違ったの?」

そもそも売り手社長はECサイトでキッチン用品が売れる仕組みは出来上がっていたそうです。
ところが、その他の2社はキッチン用品の理解が薄く、「このECサイトで違うモノを売ったら売れるんじゃないか」という気持ちが見え隠れしてみえたとのこと。

北野「自分(売り手社長)はキッチン用品にめちゃ愛着があるのに…。高いところに買ってもらってもキッチン用品は一部のパーツになってしまうと。ちょっと残念だね」

そうなってしまうのなら、金額が低くても同じような商品を扱う会社で理解のある会社に継いでもらいたいと選んだそうです。

役割を変えて事業に関わる

その後の会社はどうなったのでしょう?

藤原「売り手の社長さんの夢が、このECサイトを世界展開すること」

北野「キッチン用品の専門店として世界的に展開したいということね」

藤原「この買い手さんも(売り手会社と)一緒だったら頑張っていけると」

結果、売り手の社長はM&Aの後も引退せずに買い手の会社に在籍しました。
「経営は苦手だけど、事業は続けたい」との思いから、役割を変えて買い手社長と共に仕事をしているそうです。

北野は「これからは仕入れバイヤーとしてだね」と今後の展開に期待していました。
(野村)
北野誠のズバリ「カイシャのシュウカツ」
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2024年07月24日14時50分~抜粋

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