北野誠のズバリ

必読!処方された抗生物質を飲みきらないと命の危険も…

『北野誠のズバリ』の「中高年よろず相談室」は、健康の悩みなどを解決するコーナーです。
10月18日のテーマは「抗生物質が効かなくなる?」です。

抗生物質に関する疑問を、心療内科本郷赤門前クリニック院長で医学博士の吉田たかよし先生に伺いました。

[この番組の画像一覧を見る]

抗生物質は人類を救った

まずは、Aさん(52歳・男性)からの相談です。

「最近、久々に風邪をひいたので病院に行って、抗生物質をもらってきました。病院では『全部飲み切ってください』と言われ、3日分の薬をもらいました。
ところが翌日には体調もよくなり、飲むのをやめようかと思いましたが、飲み切らないと薬が効かなくなると聞きます。実際にどうしてそのようなことがおこるのでしょうか?」

この相談を受けて北野誠が吉田先生に聞きます。

北野「そもそも抗生物質とはどのような薬ですか?」

吉田先生「肺炎、結核など感染症は、目に見えない小さな細菌が人間に感染して増殖して起こります。
抗生物質は、こうした細菌の増殖を防いだり殺したりすることで病気を治す薬です。

昔は感染症で亡くなる人が圧倒的に多かったのですが、80年ほど前にペニシリンという抗生物質が初めてできて、感染症で亡くなる人が激減しました。
抗生物質は医学の歴史上、最大の快挙だと思います」

細胞壁を作れなくする

北野「具体的に抗生物質は身体の中でどんなことをしていますか?」

吉田先生「いま使われている抗生物質でもっとも多いのが、細菌を取り囲む細胞壁を作れなくする薬です。
人間の細胞には細胞壁はないので、人間は何も困らない。しかし、細菌は壁が作れないと増殖できないから病気が治ります。副作用も比較的少ないです」

ウイルスには効かない

北野「抗生物質はウイルスには効くんですか?」

吉田先生「ウイルスは単なる遺伝子の塊で、人間の細胞の力を借りて増殖するもので、細菌とは全く違います。抗生物質がウイルスに効くことは100%ないです」

北野「そこがみなさん勘違いされるところですね。風邪の原因がウイルスなら抗生物質は効かないですね」

吉田先生「そうです。風邪はウイルスでなる場合と、細菌でなる場合があります。
フィンランドのトゥルク大学が行った研究では、風邪の95%が抗生物質が効かないウイルスだというデータが出ています。

日本呼吸器学会では、『基本的には風邪に抗生物質は必要ない』という指針を出しています」

となると、風邪でひいて抗生物質を処方してもらうことは意味がないのでしょうか?

高齢者は風邪でも抗生物質を!

北野「でもお医者さんに行ったら、抗生物質を欲しがる患者さんも多いですよね?」

吉田先生「現場の医者の間では『風邪でも抗生物質を出すべきだ』という意見は根強くあります。
トゥルク大学の研究は年齢が若い人に偏っていて、ミシガン大学が幅広い年齢について分析したら、40歳を境に細菌性の風邪が増えるという結果だったそうです。

こどもの風邪はほぼウイルス性。20~30代もウイルスが大半で、40、50代で細菌性が増えてきます。
お年寄りは、細菌性の風邪をこじらせて肺炎で命を落とす場合が多くあるので、私はお年寄りは風邪の初期から抗生物質を飲んでおくべきだと思います」

北野「年齢が上がるほど抗生物質の必要性が上がるわけですね」

耐性菌にご注意

北野「抗生物質を安易に入れすぎると、悪くなった時に本当に効く抗生物質が少なくなると聞きますが…」

吉田先生「そうなんです。抗生物質を飲んでいるうちに薬が効かない耐性菌が生じてきます。

健康状態がよければ、風邪は放っておいても勝手に治る場合が多いので、大事な抗生物質は重い病気にかかった時のためにとっておくのがいいと思います」

抗生物質は飲み切ること!

北野「『抗生物質を飲み切ってくれ』と言われるのはなぜですか?」

吉田先生「これはものすごく大事です!治ったからいいと思って途中で飲むのをやめる人が多いですが、これは危険なことです。
途中でやめると体内に細菌が少し残っていて、それが再び増殖してくることがあります。この場合、薬が効かない耐性菌に進化していることが多いです。

症状がぶり返した後に、飲み残していた抗生物質を飲んでも、もう効かないです。この場合は肺炎に移行して、命を落とすこともあります」

生命にまで関わるという大問題です。
抗生物質が処方されたら、いくら健康になったように感じても、最後まで飲み切ってください。
(みず)
 
北野誠のズバリ
この記事をで聴く

2019年10月18日14時11分~抜粋

関連記事

あなたにオススメ

番組最新情報