唐招提寺、下から見るか?横から見るか?

多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N / カルチャー

『多田しげおの気分爽快!!~朝からP・O・N』では、毎週水曜日に「博物館の看板娘」と題し、全国にあるいろんな博物館・行ってみたいと思う博物館を紹介しています。

5月15日は、「竹中大工道具館」(兵庫県神戸市)を取り上げました。
大工道具の博物館は日本ではここだけ。
大昔からの大工道具や、海外の大工道具、果ては木造建築技術が間近に見られるような復元模型など、3万点以上もの資料が収蔵されています。

縄文時代から大工道具はあった!

竹中大工道具館の館長・西村章さんに、詳しい話を電話で伺いました。
聞き手はパーソナリティの多田しげおです。

大工道具だけでも1,000点ほど展示されているということですが、「日本では昔はこんな大工道具を使っていたんだ」という物もあるんですか?

西村さん「日本の大工道具の歴史を紹介するコーナーがありまして。そこでは『縄文時代の人たちが、どんな道具で自分たちの建物を造っていたか』というのがわかります」

ただし、縄文時代は大体16000年前~2300年前と言われていますから、さすがに本物ではなくレプリカでの展示だそうです。

その後、時代とともにどんどん発達していき、明治から昭和の頃には、細かい作業に使う「手道具」の分野が一番ピークを迎えます。
豊富なレプリカや現物展示によって、この歴史の過程がよくわかるということです。
 

七つ道具どころじゃない

幕末に近い頃、京都の伏見で棟梁をしていた、大工さんの道具一式というものも展示されているそうです。
中身はノコギリ、カンナ、ノミなど、現在とそんなに変わらない物ばかりだそうですが…。

西村さん「昔の道具は、1つ1つが個々に残っているというのは結構あるんですけれども、1人の大工さんが持ってた一式が残っているのは、貴重なんです」

江戸時代の大工道具一式と聞いて多田は、時代劇でよく見る光景を思い浮かべます。
木製の大工道具箱を肩に担ぎ、現場へと向かうシーンです。

ただ、道具を全部箱に入れていたわけではないようで。

西村さん「箱に入り切らないぐらいの、たくさんの種類の道具をお持ちで。仕事の段階に応じて必要な道具だけを箱に入れて持っていく、というスタイルなんですね」

状況を見極めて選択する。「完全にプロですね」と感嘆する多田なのでした。
 

スケルトン茶室というパワーワード

木造建築の模型も展示されているということですが、「この模型や木組みはすごいから是非見てほしい」というオススメはありますか?

西村さん「例えばですね、茶室の実物大の模型とか」

京都・大徳寺玉林院にある茶室、簑庵(さあん)。江戸時代の傑作と言われ、重要文化財に指定されています。
この簑庵をモデルに、骨格むき出しで造られた復元模型“スケルトン茶室”は、人気展示物のひとつだそうです。

西村さん「一番目を引くように置いてあるのは、唐招提寺金堂(とうしょうだいじこんどう)の、柱と、その上の屋根を支える木組みの一部を、原寸大で再現してる模型です」

奈良県にある実際の唐招提寺に行くと、木組みはかなり上の方(約7mの高さ)にあり、じっくり観察はできません。
しかし復元模型ならば、下から見上げるだけでなく横からも見られるようになっています。地下1階と地下2階が吹き抜けになっているからです。

西村さん「間近で見ていただくと、すごく大きな部材を組んでいるんだなということが、本当によくわかっていただけると思います」

しかもこの、柱や組物(くみもの)は釘はほぼ使われず、いくつものパーツの組み合わせで造られています。
優れた建築技術も間近で堪能できるわけですね。
 

展示物デビューしちゃいました

実は、優れているのは展示物だけではありません。
竹中大工道具館の建物そのものが、技術の粋を集めた建て方になっているんだとか。

西村さん「5年前(2014年10月)に、創立30周年を記念して、移転・新築した建物なんです。せっかく新築するんですから、建物自体も展示物になるようにと考えまして」

伝統技術を受け継ぐ“現代の匠の技”が、あちこちに施されているんだそう。

例えば、木組みになっている天井。

あるいは、江戸時代に使われていた「だるま窯」を復元し、それで焼いた瓦。

あるいは、古くから城や屋敷でよく見られていた、漆喰(しっくい)で塗られた壁。

あるいは、手斧(ちょうな)で削った板で仕上げた、玄関の扉。
手斧とは、鍬(くわ)のような形をしていて、上から振り下ろして材木を削る、古典的な大工道具です。
手斧の刃の跡が綺麗な模様として残り、何とも言えない味わいがあるといいます。

その他諸々、昔からの技術を使って、職人の皆さんに頑張ってもらったとのことです。

鉄骨とコンクリートを使った最新の建築技術が駆使されていながら、そうと気付かないほど伝統技術が盛り込まれているという、竹中大工道具館の建物。

「新旧の技が融合した空間になっていると思います」と西村さん。
ぜひ、体感してみたいものですね。
(岡戸孝宏)
 
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2019年05月15日08時16分~抜粋

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