●教えてドクター
★12月のテーマ「介護予防・・・たかが転倒されど転倒」
名古屋大学医学部附属病院 地域包括医療連携センター 病院講師
名古屋逓信病院 老年内科
廣瀨 貴久 先生
転倒に関して予防法はたくさんありますが、結局一つだけの予防法ではいけません。総合的にアプローチしていくというのが転倒予防の特徴であります。まず一番に浮かぶのは栄養と運動です。適切に運動することによって歩行能力を高めたり、バランス能力を高めたりすることがいわゆるフレイル(虚弱)高齢者でも可能になっています。日頃から栄養不足に気を付けて、筋肉を効率的につけるような状況をつくり、運動して筋力を高めることが大切です。そうすることで下半身が安定して転倒しにくくなるフレイルを克服した体を手に入れることができます。また、歩くときは少し速足で歩く方が体全体の能力の上昇にはいいと言われています。それから、ふらつきを助長する薬を服用していないか、本人だけでなく周囲の人も注意することも大切です。さらに今回は詳しくは触れませんでしたが、総合的なアプローチの一つとして万が一転んでしまっても、折れない骨を持っておくということも非常に重要なことになります。骨粗鬆症対策もしてください。そして、転ばないための体作りも大切ですが、転倒しない環境つくりも重要です。実は転びやすい場所は大体決まっています。まずは庭です。庭を含め家の周囲に出て転んでしまうことを実臨床でもよく経験します。ある日、患者さんの家族が「この前、旦那さんが外へ出て行って転んで帰ってきました。」と言われるので「どこで転んだの?」と聞くと「すぐそこの庭」と言われました。内閣府の「平成22年度高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果」でも、転倒が多い場所は、庭が圧倒的に多く、次いで居間・リビング、玄関・ポーチ、階段、寝室と生活上多くの時間を過ごす場所が多くなっていました。これらの場所に対して危ないという自覚を持っていただいて、伝えることが転倒予防の啓蒙に役立つと思います。また、少しの段差につまずきやすいというのが、フレイル高齢者の特徴でもありますので、段差をなるべくなくすことや部屋の整理整頓なども気をつけていく一つのポイントとなります。最後に、体の元気と共に鬱等お年寄りがなりやすい心の落ち込みも含めて、トータルにサポートしてあげることで食欲も出て運動する気もおこります。そうすることでフレイルを脱する生活ができていくのではないかと思います。
名古屋大学医学部附属病院 地域包括医療連携センター 病院講師
名古屋逓信病院 老年内科
廣瀨 貴久 先生
転倒に関して予防法はたくさんありますが、結局一つだけの予防法ではいけません。総合的にアプローチしていくというのが転倒予防の特徴であります。まず一番に浮かぶのは栄養と運動です。適切に運動することによって歩行能力を高めたり、バランス能力を高めたりすることがいわゆるフレイル(虚弱)高齢者でも可能になっています。日頃から栄養不足に気を付けて、筋肉を効率的につけるような状況をつくり、運動して筋力を高めることが大切です。そうすることで下半身が安定して転倒しにくくなるフレイルを克服した体を手に入れることができます。また、歩くときは少し速足で歩く方が体全体の能力の上昇にはいいと言われています。それから、ふらつきを助長する薬を服用していないか、本人だけでなく周囲の人も注意することも大切です。さらに今回は詳しくは触れませんでしたが、総合的なアプローチの一つとして万が一転んでしまっても、折れない骨を持っておくということも非常に重要なことになります。骨粗鬆症対策もしてください。そして、転ばないための体作りも大切ですが、転倒しない環境つくりも重要です。実は転びやすい場所は大体決まっています。まずは庭です。庭を含め家の周囲に出て転んでしまうことを実臨床でもよく経験します。ある日、患者さんの家族が「この前、旦那さんが外へ出て行って転んで帰ってきました。」と言われるので「どこで転んだの?」と聞くと「すぐそこの庭」と言われました。内閣府の「平成22年度高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果」でも、転倒が多い場所は、庭が圧倒的に多く、次いで居間・リビング、玄関・ポーチ、階段、寝室と生活上多くの時間を過ごす場所が多くなっていました。これらの場所に対して危ないという自覚を持っていただいて、伝えることが転倒予防の啓蒙に役立つと思います。また、少しの段差につまずきやすいというのが、フレイル高齢者の特徴でもありますので、段差をなるべくなくすことや部屋の整理整頓なども気をつけていく一つのポイントとなります。最後に、体の元気と共に鬱等お年寄りがなりやすい心の落ち込みも含めて、トータルにサポートしてあげることで食欲も出て運動する気もおこります。そうすることでフレイルを脱する生活ができていくのではないかと思います。