2017年6月12日(月)

日本酒が世界で認められるための秘策は「環境」にあり

石塚元章 ニュースマン!! / トーク

東北大学教授の香坂玲さんは、東京大学農学部を卒業後、ヨーロッパ、カナダで最前線の環境問題を探求。国連環境計画生物多様性条約局勤務を経て、今や世界レベルで活躍中です。
実は香坂さん、こんなテーマの論文もただいま執筆中。そのテーマはズバリ「酒」。

6/10の「21世紀の賢者たち」では、香坂さんに日本酒について伺いました。

個性的な日本酒が注目されている

まずは、現在の日本酒市場の状況を伺いました。

「人口減少、高齢化、若い人が飲まなくなってきている、ということで国全体で見ると全体の生産量は減ってきています」

渡辺美香アナウンサーは「おしゃれにワイングラスみたいなグラスで飲む機会も増えた」と言いますが、ピークが170万キロリットル。
ところが今は60万キロリットルを割り込むぐらいまで落ち込んでいるそうです。

「量から質へ、が今のトレンド。地酒とか特定名称酒といって吟醸とか純米吟醸とか言われるお酒。ちょっとユニークなもの。コメの磨き方が違ったり、その地元でしか作れないものが注目されています」

地域のお酒が地域の風景を作る

全体的な生産量は減っていますが、逆に地域のユニークなお酒は少しずつ伸びているそうです。
特に注目されているのが東北の地酒。その理由は?

「東日本大震災があった時に、スーパーなどに復興支援コーナーがありましたよね?支援としてお酒が購入された。それでリピーターになった方が結構いらっしゃるんです。そのお陰もあって、地酒とか特定名称酒の部分は2011年以降、ちょっと伸びてきている」

酒好きの渡辺アナは「確かに宮城の一ノ蔵っていうメーカーはネット販売が凄くて、甘酒も展開されて全国的に売り上げてるんですよね」と補足します。

「その地域でしか作れないものとか、生態系、風土と合っているものが注目されのは、環境にとっても大事なことだと思います。その地域で作られているものが、作られ続けることで、保てる景観とか、社会があると思うんです」

日本酒ブーム到来なるか、その取り組みとは?

ブームになった山口県の「獺祭」。首相の出身地で有名になりましたが、それだけではなく、実は改革的な取り組みをされているとか。

「日本酒を作るのに大事なのが杜氏さん。杜氏さんって、その酒蔵の社員ではないんです」

杜氏とは酒造りの全てを統率する責任者。酒の出来栄えは杜氏にかかっています。
例えば岩手の南部杜氏、能登の能登杜氏とか、プロフェッショナル集団として蔵元に移動してくる集団です。

「ですが、獺祭の場合は、それを内部化した。従来の杜氏の仕組みではなく、自分たちの中で杜氏を作っていこうというスタイルになってきている」

昔はなかった複数の蔵元で作る酒

さらに新しいことが試されているようです。
「いま凄く注目されてるのが、蔵同士がアイデアを公開しちゃうこと。

石塚元章は「酒蔵って、うちは伝統的に、こんなおいしい酒が造れるけど秘密だよ、みたいなイメージでしたけど」と、意外に思ったよう。

「一子相伝みたいなやり方が主流だったのに対して、例えば東北でやってることなんですが、5つとか4つの蔵が共同して造ったお酒が出てくるようになった。ある程度ノウハウを共有するというのは、かなり思い切ったことだと思うんです。
例えば、炭酸を入れるんじゃなくて、発酵のプロセスでちゃんと泡が出るようなものを提供するとか」

若い経営陣による、外国の人、あるいは若い人たちにも受け入れられやすい取り組みが増えてきているそうです。
またこのエリアでは名古屋市緑区の蔵元、醸し人九平次なども注目されています。
お酒の原料になる「酒米」も自分たちで作る、というケースも増えているそうです。

海外の消費者を狙え

日本酒の輸出はこの10年で2倍以上に伸びているそうですが、まだまだ課題があるようです。

「金沢や名古屋で外国人観光客にアンケートをとったら『美味しいんだけど、どの場面で飲んだらいいかわからない』と言われるんです。
食前酒なのか、食べてる時に飲むのか、食後なのかハッキリしてくれと言われますが、僕ら自身、その位置づけがまだ理解できてない」

飲み方の提案はもちろんのこと、ワインのように銘柄をどうやって浸透させていくかも今後の課題のようです。

「そうなると、お酒だけじゃなくてその場所を見てみたい、となると思うんです。どんな蔵なんだろう、どんな自然がある場所なんだろう、と。
日本食は身体にいいという中で、日本酒も注目されてきているので、僕らは日本酒と環境を結び付けたいと狙っています」

良い日本酒が作られる仕組みとは?

「ワインって上の方の値段はべらぼうに高い。対して日本酒は、結構良いものでも、ワインと比べるとまだまだ安い。ワインのように、良いものは高く買っていただくというのが浸透していくと、日本の蔵も循環的に良いものを作っていけるような仕組みが成り立っていく。
そのためには日本酒って凄いぞ、高品質ですごく特別なものがたくさんあるんだっていうことを、日本以外の国でもわかってもらうことが大事です」

最後まで熱く語る香坂さんでした。
(尾関)

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