2018年1月1日(月)

山田久志が語る名コーチの条件とは?

若狭敬一のスポ音 / スポーツ

12月30日『若狭敬一のスポ音』、「山田久志の栄光に近道なし」のコーナーでは、野球解説者の山田久志さんが森野将彦選手について語りました。
今シーズン限りで現役を引退し、二軍バッティングコーチとして既に歩みを始めている森野将彦コーチ。監督として接し、解説者としても見てきた山田さんの目には、いったいどのように映っているのでしょうか。

経験を伝えること

「長いこと選手をして頑張ったし、故障もしがちだったこともあってね、順風満帆な野球人生じゃなかったと思うんですけど、その分、引き出しは持ってるね」

森野選手は最初、ショートからスタートして、バッテリー以外の七つのポジションを公式戦で守った経験があります。打順では四番、当然クリーンナップも打ったことがあります。

「いい体験、いい経験をしてきてるんで、それを伝える術を、これから勉強していくってことやね。これが、難しいのよ」

山田コーチ、怒る

「私がオリックスのコーチになって一年目。佐藤義則、星野伸之、野田浩司、という錚々たるメンバーがいたけど、どうもうまくいかない。仰木さん監督で。
いろいろを自分なりに工夫して伝えたりしてたんだけども、ある時ね、『お前ら、こんなこともできないで、チームが勝てるか、アホ』ってミーティングで怒ったのよ。
そうしたら、同じ阪急ブレーブスだった佐藤と星野が言うんですよ」

佐藤、星野の両投手は、山田さんの現役時代とも重なり、同じ阪急で投げていました。

阪急時代の「北の会」何?

「阪急の時に、私を中心にして”北の会”ってあってね。私を中心に、東北6県と北海道出身者で集まる会を作ったの」

山田さんは秋田県出身。佐藤さん、星野さんは北海道出身です。

「それが一人だけ、北じゃないのに、どうしても入れてくれ、ってやつがいたの。泣きつかれたから入れてやったけどね。それが今井雄太郎。あれ、新潟なんだよ」

「北っちゃあ北」と言う若狭敬一に、「違うよ、あんなの北じゃない。北陸地方だよ。でも泣きつかれたんで、北がついてるから、まあいいかと思って」と山田さん。

今井雄太郎さんは1978年8月31日、対ロッテ戦で完全試合を達成しました。日本プロ野球史上14人目、昭和最後の完全試合達成者です。

コーチの目線

話は戻って。北の会があったので、山田さんとは親しかった佐藤さん、星野さんは、ミーティングの時に、山田さんへこう言ったそうです。

「『山田さん、そういうことを言いますけど、それは山田さんがああいう成績を残した選手だからできたんだと思います。我々には無理です』って。その時、こいつら、何を言ってるんだ?って、一瞬、カッときたんですよ」

「まずカッとくるんですね」と笑う若狭。
「まず『貴様~』と思って、次に『あれ?』と思って、それから『ん?』って思ってね」と山田さん。

もやもやする気持ちで、とりあえずミーティングを終えた山田さんは、なぜ二人があんなことを言ったのか、コーチ室で自問自答したそうです。そこで出した結論。

「俺、自分目線で全て見てたんだと思ったんですよ。自分のラインをずーっと下げて行かなくちゃいけない。そうすれば、同じ目線になって同じ考え方でアドバイスできるんだけども、上から目線で見てた。それに早く気がついたのは、コーチとして良かったですよ」

山田コーチ、謝る

北の会の後輩が、先輩に対して、自分の腹の内が言えるということは、コミュニケーションが出来ていたからこそです。

「お酒飲んだりご飯食べたりするのは決して無駄じゃないっていうことだと思うんだよね」

山田「彼らからのあの一言、ああいう言葉がなかったら、自分のコーチとしての考えは、そこまでなってない可能性がある。それで次のミーティングで、俺、謝ったもん」
若狭「ええ?」
山田「佐藤と星野が言ったことはわかった。俺は、やっぱり方向を変えなくちゃいけないと思う。これからは何でも言ってこいって」
若狭「よく謝りましたね」
山田「ホントは謝りたくなかったのよ。自分の理想とするコーチ像ってあるわけですよ。ところが実際はやってみたら違う。そこに早く気がついたことが、やっぱり良かったんだと思う」

とにかく低目と言ったって

「森野もね、バット振らなきゃいかんぞって言う時に、なぜ振らなきゃいけないか、ということを教えなきゃいけないわけよ」

「やっぱり最終的にはコントロール、低めですよね」と、ある有名なコーチから言われた山田さんは、こう答えたそうです。

「言うは易し、行うは難し。なんで低目が良いか説明したか?それを説明しなきゃ今の選手はわからへん。ちゃんとした理由がなかったら響かない」

ちなみに、なぜ低目が良いかと言うと…

「低めは目とボールが一番、離れてるから、当たる確率が悪いんですよ。目に近づけば近づくほど、バットに当たりやすい。打ちにくいとかじゃなく、バットに当たる確率なんですよ」

名コーチとは?

「オリックスのコーチで、走れ走れって徹底して走らせる人がいたんだけど、なんで走ればいいのかってことの意味付けを言えよって言いました。
走ったらこういう良いことがあるって理由付けしてやらなかったら走らんぞってね。そりゃノルマだけは走るけども、それ以上は走らない。それを乗り越えたら黙ってても走るようになる。そこまで持っていって、初めて名コーチだって、この間アドバイスしてきたんですよ」と言う山田久志さんでした。

「『それは若狭さんだからできるんですよ。我々には無理です』と後輩から言われたことが、まだない。悲しいですね。これはこれで」と若狭敬一アナウンサー、ちょっぴり切ない年の瀬です。

来年から、新しくコーチとして歩み始める森野将彦さん。その手腕に期待しましょう。
(尾関)

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