2017年11月14日(火)

ボルダリング日本代表 渡部桂太、ファイト一発の世界を語る。

若狭敬一のスポ音 / スポーツ

11月11日の『若狭敬一のスポ音』には、ボルダリング日本代表、渡部桂太選手が出演しました。

渡部選手は三重県四日市市出身の24歳。今シーズンのボルダリング世界ランキング第4位です。
東京オリンピックも見据える渡部選手にボルダリングの魅力を語ってもらいました。

ボルダリングとは

岩をザイル確保なしで登るスポーツ。高さより難しいルートを登り、難易度を競います。ルートは課題といい、難易度によって級(グレード)がついています。

怪我防止のため、岩場では下に持ち運べるマットを敷いて行います。
愛知県豊田市や岐阜県関市の山で、マットを妖怪ぬりかべのように運んでいる人を見かけた人もいると思います。

ボルダリングジムでは、人口壁にホールドと言う突起をつけ、横移動から天井を使ったルートまで、様々な課題があります。
ジムでは床がマットなので落ちても安心ですが、上から落ちてくる人がいるで頭上注意。

ボルダリングのワールドカップとは?

「今のところ4月から8月中旬頃までがボルダリングのワールドカップシーズンになりまして、7戦から8戦ほどあるんですけど、今年は全7戦ありました」

世界各国を転戦するボルダリングワールドカップ。前半戦は一カ月半ほどの間に、スイス、中国、中国、日本と短期間で4大会と過密スケジュール。逆に後半はアメリカ、インド、ドイツと3大会が、一月に一回づつの割合で開かれたそうです。

「気持ち的には後半のように間があった方が楽なんですけど、僕は過密な方が、ずっと集中力を保っていけるんです。選手によっては、逆の人もいるでしょうね」

ボルダリングワールドカップのルール

「予選、準決、決勝っていう風にワールドカップは三つあります。決勝は下見がありますが、予選・準決勝はいきなりやります。制限時間一人5分。よーいドンで裏から登場して登っていくんです。
予選・準決勝は、一課題5分間です。予選は5課題あるので、一個目を5分以内に終わると、5分休憩して2課題目を5分、というふうに5分、5分、5分で休憩と登る時間含めて25分間です。その間、集中力ずっと継続していきます」

初回のトライで登った方が、2トライ目、3トライ目で登るより、点数が多く得られます。
トライ数が少ないほど高得点がつきます。

制限時間5分の使い方

「なので5分をどう使うかが肝心です。僕のパターンは比較的、考える時間が最初に多くて、4分か3分30秒ぐらいを残したところで、やっと1回目トライします」

ここまで考えることに時間を使う選手はなかなかいないそうです。

「2トライ目に繋がるのを、1トライせずに、まず僕は分析したいんです。そうすると2トライ目、3トライ目の価値がやっぱり全然違ってきます」

超熟考型と言っても過言ではない渡部さん、トライ前はどんなことを考えているんでしょうか?

「ホールドの向き、後は触った時のためにフリクション(摩擦のこと)です。どの辺が摩擦しやすいかどうか。滑りやすいか、すごく引っかかるところか。それをあらかじめスタートからゴールまで、しっかり頭の中に入れてトライします」

東京オリンピックは3種目?

ボルダリングで東京オリンピック、メダルを獲得できるかと思いきや、なんとオリンピックの正式種目というのは、ボルダリングではなく「スポーツクライミング」という競技です。

ボルダリングとスピード、リードという三つの競技が合わさったものがスポーツクライミング。
ボルダリングと、あとの二つはどういうものなんでしょうか?

スピード

スピードは他の2種目と違って、あらかじめ設定された壁を本番前に見ることができます。なおかつホールドの位置が変わりません。毎年一緒です。

「なので、第1戦のスピードの大会があった時には、すでにその練習をみんなしてるんですよ。スピードは、登り切れる前提のものに対して、そのスピードを競う競技なんです」

リード

競技時間は6分間。そのうち下見は40秒しかできません。難しいルートを6分以内にどこまで高く登れるかがリードです。

「壁の高さは、おそらく15mから20mぐらい。壁と言っても垂直だけではなくて、覆いかぶさるような角度の前傾壁から、最後のところが天井みたいになってるものまであります。
会場によって、その壁の形状は違います。ねじってるかもしれないし、中間の傾斜がすごく強い場合もあります。かつ ルートも、行くまで分からないんです」

予選2本に関しては、前日からあらかじめルートがセッティングされているので、会場に来ればどれだけ見ていようがいいそうです。ただ、男女別は公表されていないので、予想するしかないんだとか。

「決着のつけ方は簡単なんですけど、その高度を上げる手段が本当にいろいろあるんです。敢えて下見をしない選手もいるかもしれないし。逆に見れるだけ見て、男子女子かよくわからないけど、とにかくいろいろ記憶に留めてやる選手もいたり」

三つとも強い選手は?

ボルダリング、リード、スピード、全てが強い選手はいるんですか?

「僕はボルダリングの年間ランキング、今シーズンは4位でした。
リードの最終戦はまだ終わっていませんが、僕は出ません。ボルダリング、リードの2種目に関しては、年間ランキングの10位以内にはいます」

それはボルダリングとリードに限っての話だそうです。スピードに関しては、次元が違うんだとか。

「スピードは、課題が常に変わらないので、その課題に慣れてる人の方が、ものすごく速いわけですよ。そうするとボルダリング、リードをやってる僕らからすると、もう追いつけない、話にならない速さです」

まさにファイト一発の世界

岩登りもするという渡部さん。「むしろ岩登りの方が好きなんですけど」と答えます。岩の魅力については?

「安全が確保されてない場所でも登るんですけど、そうすると、もうここ落ちれないぞって言う部分も出てきたりするんです」

岩登りでは落ちると、怪我をしやすい場所が多々あるそうです。下が川だったり、切り株が多かったり、斜面で転げ落ちてしまう、など。

「下にマットがあるんだけど、この高さからは落ちれないなっていう時もあって。でもそんな中で、この次の一手をどう出すか?っていう一発の集中力は、岩は凄いと思います」

まさにファイト一発の世界です。

「自分との勝負なんですが、結局クライミングの競技と同じだと思います。相手がどこまで行ったか分からないので、自分との戦いという部分は、近いと思います」

3年後へ向けての意気込み

最後に東京オリンピックへ向けての意気込みを聞かせてもらいました。

「3年後のオリンピックは、ボルダリングだけでなく3種目ありますので、まずは経験値を上げていく。スピードならスピードアップ。リードなら登りきるだけの体力をつける。
で、ボルダリングもさらに上の次元に行けるように、努力を継続させることが、当分の目標かと思います」

力強く語る渡部桂太さんでした。

この地方はボルダリングジムも比較的多くあり、岩場も行きやすい場所にあります。皆さんも経験してみては?
3年後、オリンピックを見る楽しみ方が増しますよ。
(尾関)

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