2017年9月12日(火)

星野監督と仰木監督の要求に、山田投手コーチはどうしていた?

若狭敬一のスポ音 / スポーツ

CBC野球解説者・山田久志さんがプロ野球について語る好評企画「山田久志の栄光に近道なし」。
9/9のテーマは「中日ドラゴンズ投手コーチの配置転換と、山田久志さんの投手コーチ時代について」です。

監督と投手コーチとの関係はどういうものなのか?中日時代の星野仙一監督と、オリックス時代の仰木彬監督とを比較しながら語って頂きました。

異例の配置転換の意図は…?

9/1、中日球団からこの時期異例の人事異動が発表されました。
ブルペン担当のデニー友利コーチと、ベンチ担当の近藤真市コーチが担当を入れ替わり、二軍の朝倉健太コーチが一軍帯同に変更。
更に9/5には朝倉コーチがベンチ担当へ、そしてデニーコーチはコーチを外れ編成部専任となりました。

まずこの件について、山田さんはどう思ったのでしょうか。
(ちなみに収録時期の都合により、9/5発表の人事には触れられていません)

「シーズン中の配置転換はプロ野球には往々にしてあります。今年の巨人にもありましたよね。でもそれは、これからまだ先があって、チームが上位を狙えるように活気づけるためというのが多い」

巨人が今年、斎藤雅樹二軍監督を一軍投手コーチにしたりなどの、大幅な配置転換をしたのは7月。まだチームの浮上を賭けてテコ入れできる時期でした。
しかし今の中日ではクライマックスシリーズ進出も絶望的。一時のカンフル剤的なものではないようです。

「来年を見越しての配置転換なのか。それとも我々には発表できない、内部で何かマズいことでも起きてるのか。そのどちらかですね」と山田さん。

この収録の後、パーソナリティー・若狭敬一アナウンサーが中日・森繁和監督に直撃取材したところ、「来季に向けてのチーム作りのため」という答えが返ってきたそうです。
これまではアメリカからの外国人選手獲得ルートが手薄だったので、デニーコーチを編成専任とし、アメリカで情報収集に努めてもらうのだとか。
この時期はマイナーリーグの3Aがプレーオフを迎え、優秀な選手が一同に介する可能性が高く、選手やエージェントに日本でやる気があるかどうかを直接確かめられるのだそう。

マズいことが起きたんじゃなくて良かったですね。
(もっとも、起きたとしても口外できませんけど)

星野監督からは任されていた

ここで若狭アナが尋ねます。
「投手コーチにはベンチ担当とブルペン担当がいますが、投手起用や継投に関して権限があるのは、ベンチ担当のほうと見ていいんでしょうか?」

「おっしゃる通り。それともうひとつ。監督が選手起用の実権を握ってて、それをコーチが補助するというチームもあれば、コーチが優先的に決めてから監督に進言して、監督は最終決断だけするというチームもある」と山田さんは答えます。

若狭アナの取材によれば、現状の中日は後者で、森監督は投手出身でありながらかなり投手コーチに一任しているようです。
つまり、今季はほぼ近藤コーチが投手の継投を担っていたと。

では、山田さんは投手コーチ時代、どうだったのでしょうか。
中日時代の1999~2001年、投手起用については星野監督に一任されていたそうです。
3年間、400試合近くやって、意見されたのは3、4回しかないというのです。

その中で鮮明に覚えているというのが、韓国の至宝とうたわれた宣銅烈(ソン・ドンヨル)投手の起用について。

1999年、抑えのエース・宣投手が調子を落とし、2試合くらいリリーフ失敗したことがありました。その後、神宮球場のヤクルト戦で「はい、監督。抑えは宣さん行きますよ」と言ったら、星野監督が「おい…こらえてくれんか…。違うピッチャー、(落合)英二が行けんか…」と懇願してきたのです。

当時、ルーキーで大活躍していた岩瀬仁紀投手を抑えには持っていかないと決めていた山田コーチ。他に行くとすれば、落合投手か、度胸のいい正津英志投手くらい。
しかし、すったもんだの挙句、宣投手を行かせたという山田さん。結局、リリーフ成功してチームは勝利を収めました。
試合後、「やっぱりなあ。(さすが韓国の至宝は)ちょっと違うもんやのう」と悦に入りながらファンの声援に応える監督。それを見ながら山田さんは内心「最後は俺(が押し切ったおかげ)じゃねえかよ」と呆れるのでありました。

仰木監督からは口出しされていた

一方、真逆だったのがオリックス・ブルーウェーブ時代の1994~1996年。仰木監督は投手に関して毎回口出ししてきたのだそうです。

「山田、頼むけど、3カードか4カード分くらい先発ローテーション組んで、俺に教えてくれないか」と言ってきたという仰木監督。
1ヶ月の試合スケジュールを見ながら、対戦チームによって先発投手を決めたがるという、良く言えば戦略家なのでした。
データを元に緻密に考えられた、何十通りもの打線(猫の目打線)が成功を収めたりして、“仰木マジック”と称賛されるほど。

しかし山田さんは、相手に合わせて先発の順番をコロコロ変えるというのが大嫌い。
中日でもたまにある、巨人戦に照準を合わせてエースを投げさせようとか、左打者ばかりだから左投手をぶつけようとかいう理由で、先発ローテを崩すのは絶対にイヤなんだそうです。
「そういう相性は克服していかないと、優勝はできない」と強く主張します。

相手がどこだろうと6人の先発ローテーションはできるだけきっちり守っていく。誰かが不調になったり故障したりした場合のため、カバーできる投手を二軍でもローテを決めて、先発としてちゃんと調整させておく。
なので、先発できる投手はチームで大体11か12人は必要。6人だけではシーズンが持たない。
…というのが理想だと語る山田さん。

選手層が厚くないとなかなかできないことですが、二軍では先発投手として調整させても、一軍ではリリーフで使うという“配置転換”パターンが多い中日には、参考となる考えかもしれませんね。
(岡戸孝宏)

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