中日ドラゴンズスコアラー鈴木義広さんが、11月18日放送の『若狭敬一のスポ音』(CBCラジオ)が出演しました。
鈴木さんによれば中日のウィークポイントは「ストレートに弱い」とのこと。
日本一になった阪神と違いについても、若狭敬一アナウンサーが尋ねます。
プロフィール
鈴木義広さんは1983年1月5日、香川県生まれ。
香川県立多度津工業高校から中部大学を経て、ドラフト5位で中日ドラゴンズに入団しました。
現役時代は主にリリーフとして活躍し、プロ10年間で258試合に登板。10勝6敗1セーブ、41ホールド、通算防御率が2.73という記録を残しています。
2014年に現役引退し、翌年からスコアラーを担当。
現在はチーム付きスコアラーとして主に野手陣へアドバイスを送っています。
データで見る中日打線
投手陣について、鈴木さんはこう分析しています。
鈴木「ストレートの球の速いピッチャーもいれば、遅いピッチャーもいるんですけど、トータル的にストレート、フォーシームに対する打率が最も低いかなと」
ストレートに対するチーム打率は、セ・リーグでは1位が阪神、2位が広島、3位がDeNA、4位が巨人、5位のヤクルトと続き、中日はリーグ最下位です。
鈴木さんによると、今シーズンに限ってはセ・リーグの順位と一致していたそうです。
ストレート対策が来季の鍵
若狭「ストレートに弱いと、どういうデメリットがあるんですか?」
鈴木「ピッチャーの軸はストレートになりますので、まずそこが打てるか?」
ストライクゾーンに投げてくるわけなので、それが前に飛ばないと、結局変化球を振らされてしまうことになります。
それゆえ「ストレートを打たないことには野球は始まらない」と断言する鈴木さん。
このデータを反映して、この秋のキャンプからシーズンオフ、春のキャンプにかけては、まずストレートをきっちり打っていくことが課題になるだろうと語ります。
他球団も分析している
中日で、ストレートに強いバッターは木下拓哉選手、岡林選手、村松選手、福永選手。
そして宇佐見選手は右ピッチャーのストレートには強いそうです。
鈴木さんは、ストレートを135キロから155キロまで5キロ刻みで調べています。
その結果、村松選手と福永選手については、球速が150キロを超えても3割を超えていることがわかったそうです。
逆に速球に弱いのがビシエド選手と細川選手。細川選手は145キロまでのストレートは打てるものの、145キロを超えると苦戦するんだとか。
鈴木「ウィークポイントは他球団のスコアラーも分析していて、シングルヒットはOKで、長打さえなければストレート勝負でいい、と思われている節も無きにしもあらずですよね」
阪神打線の特徴
今シーズン日本一を勝ち取った阪神。
その打線の特徴はフォアボール選びが多いこと。岡田監督になって確実に増えているそうです。
若狭「手元の資料では、今シーズンの阪神は494個のフォアボールでリーグ最多。一方、中日は306個でリーグ最少。阪神がこんなにフォアボールを選べる理由は?」
鈴木「ツーボールとかスリー・ワンからは必ず振ってこない。そのカウントは打ちにいきたいところじゃないですか」
狙い球を絞って打ちにいこうという絶好のカウントです。
しかし、ここで見送るのが今年の阪神打線だそうです。
フォアボール=シングルヒット
鈴木「スリー・ワンから打ち取ろうと思ったら、2球ストライク投げなくちゃいけないじゃないですか。1球外せばフォアボールです」
岡田監督は、シングルヒットもフォアボールも「進塁」という意味で、同じように扱っているのではないかと推測する鈴木さん。
岡田監督が、フォアボールの査定を良くしているという報道もありました。
フォアボールとヒットの価値が同じであれば、スリー・ワンというボールカウント先行なら無理に振りにいかない。
さらにツーボールでも振りにいかないのが阪神の一番近本選手。二番中野選手だそうです。
若狭「逆に私の実況を振り返ると、ツーボールからど真ん中の真っ直ぐを見送ると、なんでここで振らなかったんでしょうね?と、解説者と盛り上がってたんですけど、実は阪神はここが冷静なんですね」
鈴木「チーム方針だと思います」
中日ドラゴンズスコアラー、鈴木義広さんからみた中日打線と阪神打線の違いでした。若狭敬一にとっても、今後の実況の参考になったようです。
(尾関)
若狭敬一のスポ音
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2023年11月18日14時48分~抜粋