若狭敬一のスポ音

投手心理を知れば打てるようになる!牛島和彦が教える若手育成法

4月15日、野球評論家の牛島和彦さんがCBCラジオ『若狭敬一のスポ音』に出演。

横浜ベイスターズ監督時代に怪我をした選手とどう接したか、ピッチャー出身の監督として不振の若手へどうアドバイスしていたかについて振り返りました。
聞き手は若狭敬一アナウンサーです。

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監督が出すGOサイン

牛島さんの古巣・中日ドラゴンズは、開幕以来苦戦が続いており、さらに故障者も続出しています。
そんな中で気になるのは、石川昂弥選手です。昨年5月の交流戦で左ひざの前十字じん帯を損傷する大怪我に見舞われ、今月14日に一軍復帰を果たしました。当日の試合を観た牛島さん。

牛島「ヒットを打ってセカンドにスライディングをしてますから大丈夫、とは思うんですけど、でも心配は心配ですよね」

普通の動きはいいのですが、不規則な動きをした時が心配ということでした。

牛島さんはベイスターズの監督時代、怪我から復帰した選手を何人も見てきました。
トレーナー、コーチ、リハビリの先生などの意見を総合して、監督としてGOサインを出していたそうです。

出たい選手と休ませたい監督

怪我をした選手本人は休むことより試合に出る気満々なんだそうです。
そんな時、監督は選手のことを考えて休ませなければいけません。

例えば首位打者を獲得したこともある金城龍彦さんの場合。右手にデッドボールを受けて大きく腫れていたそうです。
無理して調子を落とすよりも、1日冷やして休んでもらいたいと考える監督に対し、金城さんは1日でも休みたくないと押し問答。

その末に牛島さんがとった行動とは。

「『じゃあ俺と握手しよう。俺と握手したら出してやるよ』と。そうしたら、痛いから後ろに手を下げるんですよ。で、1日だけ休め」となったそうです。

牛島「腰痛を持ってるピッチャーにも言ってたんですよ。8割まで疲れてから言わないでくれ。6割ぐらいで言ってくれと」

6割ぐらいなら1日休めば楽になりますが、8割までになると回復に3日かかるそうです。長引くとチーム事情にも影響するので、選手には早めの申告をお願いしていたそうです。

投球は100%が基本

「中日スポーツに、吉見一起さんによる、14日の小笠原慎之介投手へのコメントがありました。
最初から最後までフルスロットル。力の入れどころと抜きどころが、あまり伝わってなかったとありました。力の抜きどころとは?」(Aさん)

ズバリ「抜きどころ」はないと答える牛島さん。
試合では100%の力で投げるそうです。100%をキープで、それ以上は出さないんだとか。

しかしピンチになると、110%、120%と自然にギアが上がり、それがメリハリになるんだそうです。

牛島さんが、14日の小笠原慎之介投手を見ると、常に110%。100%以上の力をずっと出そうとしているのでメリハリのない投球に見えたのでは?という意見でした。

牛島「ピッチャーは全力で投げてるけど、軽く投げてるように見られるのが一番いい状態なんですよ」

牛島さんが育てた選手

「牛島さんが育てた村田修一選手と細川誠也選手がシンクロしています。今後の細川選手の活躍を期待しています」(Bさん)

一発長打が魅力と言われていたのですが、ベイスターズ時代はなかなか結果が出なかった細川選手ですが、ドラゴンズに来て潜在能力が覚醒しているようです。
投稿にもあった村田選手は、牛島さんが監督時代に覚醒させた選手。

2005年のシーズンでは、交流戦まで不振だった村田選手。
牛島さんが定位置の7番から9番に降格させた試合で、奮起した村田選手が決勝のホームランを放ちました。
翌2006年には4番が定位置になりました。

ピッチャー心理を伝える

牛島「僕は村田には『ピッチャーはこうだよ』ってずっと言ってたんです」

ピッチャー心理をアドバイスしていたという牛島さん。
例えばツーアウトランナーなしの場面で「7~8番の一発のあるバッターに、真っ直ぐなんて絶対に来ない」と言っていたそうです。

牛島「一番嫌なのは真っすぐを右中間に打たれて、変化球が投げ辛くなることだって言ってました」

右中間に真っすぐを打つということは、ある程度ボールを長く見て、ミートポイントを手前にして打つことです。
変化球だと思いっきり引っ張られて、とんでもなく飛んでいきそうな感じがします。

牛島「だからピッチャーは、真っすぐを右中間に打とうとするタイミングで待たれると、すごく変化球が投げづらくなる。そうなると、真っ直ぐが多く来る可能性があるじゃないですか?ピッチャーにどうやって真っ直ぐを投げさせるかでしょ」

ピッチャー側の心理を伝えることで、伸び悩んでいた若手がきっかけを掴んだこともあったそうです。 

牛島さんの言う通り

2006年に開幕一軍入りをした吉村裕基選手も、ピッチャー心理を学んだ若手の1人でした。

「7~8番打ってるバッターに、ストライクなんか1個も来ないから。3球見逃していいから」と送り出した吉村選手。

言われた通り3球見逃し。もちろん3球ともボール。ボールスリーから、空振り、空振り、空振りで三振したそうです。
三振した3球ともボール球。若き日の吉村選手、すがすがしいほどの三振でした。

牛島「ほらね、6球ともボールでしょ。ありがとうってフォアボール1個貰っといた方がいいよってね」

野球の面白さや真髄とも言える、ピッチャー出身の牛島和彦さんならではのエピソードでした。 
(尾関)
 
若狭敬一のスポ音
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2023年04月15日13時22分~抜粋

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