若狭敬一のスポ音

YouTuberのヒカルがマスコミに投げかけたもの

8月6日放送のCBCラジオ『若狭敬一のスポ音』では、ダイノジの大谷ノブ彦が衝撃を受けたというYouTuber、ヒカルさんについて語りました。

これからのメディアの在り方について、アナウンサーの若狭敬一も興味津々で話を聞きます。

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誤送金から始まった

山口県阿武町が新型コロナ対策関連の給付金4630万円を田口翔氏に誤送金。
田口氏は全額をオンラインカジノで使ったと主張し、一時雲隠れした後、電子計算機使用詐欺罪で起訴されました。

その後逮捕された田口氏は、8月1日に250万円の保釈保証金で保釈されました。
その田口氏に手を差し伸べたのがYouTuberのヒカルさん。

大谷「時代が変わる瞬間を見てしまったというぐらい衝撃でした。田口翔さんという方は、僕らはしゃべるまではどんな人かわからないじゃないですか」

大谷の言う「衝撃」とは、ヒカルさんが田口氏にインタビューした動画を見た感想でした。

ちなみに現在、田口氏は阿武町からは弁護士費用を求められ、民事裁判を起こされているため、「被告」の状態です。
 

全員、勝っている

大谷「田口さんは、朴訥な感じで滔々としゃべるような感じの人なんですよ。誤送金されたお金は全部返金しております。田口さんの保釈金の一部を払ったのがヒカルさんです」

ヒカルさんは、なぜ、このお金を払ったのか?
罪を償うことは当然ですが、再生の道があってもいいのではないかと、ヒカルさん自身が関与している会社に就職も斡旋しました。

大谷「これ、結論から言うと全員勝っちゃってます。誰も損してない。誰も傷ついてない。唯一傷ついてるとすると、マスコミになっちゃいますね」

ワイドショーならカット

大谷「ここが超大事で、動画の中で、ヒカルさんは罪を犯した田口さんに対して、しっかり寄り添いながら話を聞いているんです」

誤送金後の田口氏の行為は、周りがどうこう言うことではなく司法が裁くこと。ただ、なぜ、そういうことをしてしまったのかについては田口さんなりの言い分がありました。

大谷「そういうことに対して、自分も主張があるんだっていうこと。これですね。ワイドショーだったらカットされるとこなんですよ」

若狭「連日4630万円という金額がドンと出て、その経緯がどんどん伝えられて、田口翔さんはけしからんの一点張り。彼の言い分はまさにカットですね」

ワイドショーを作る側、アナウンサーである若狭も大谷の言い分には納得です。

大谷の経験

2021年の5月頃、コロナの感染者が減ってきた時期に、首都圏で二つの大きなロックフェスティバルがありました。
埼玉県の『VIVA LA ROCK 2021』と千葉県の『JAPAN JAM 2021』です。大谷は司会で出演しました。

連日、会場の外側にワイドショーのカメラが張っていて、来たお客さんにインタビュー。夜の番組では「なぜ、こんな時期にやるのか?」というネガティブ方向のものばかりだったとか。

大谷「結果的にクラスターは起きてません。全く陽性者も出てませんし、感染対策をしっかりやってやったんですけど、そのことは報道してないです」

必ず主観は入る

大谷は「こういう報道の仕方は腹が立たないか?」とフェスの主催者に聞いたそうですが、主催者は「話題にもして欲しくない。フェアじゃないとさえ言いたくない」と沈痛な表情で答えたそうです。

話題になることで、少しでもネガティブな方に行くのが嫌なんだそうです。

大谷「これを聞いた時にザワザワしちゃったんです」

ドキュメンタリー映画が好きな大谷によれば、客観性があるように見えて8割が客観的でも2割は主観的なんだそうです。
カメラでどこを撮るか、さらにどう編集するかに、作り手の主張が絶対入ると言います。

大谷「報道も実は記者やディレクターの主張やメッセージがあると思うんです。ところが多くの国民は、これが非常に客観性に優れたニュースだと思い込んでるんです」

どっちが客観的か?

大谷「何が言いたいかというと、YouTubeっていうメディアの方が客観的に映せる。被害者、加害者、再生したいと思っている人たちの気持ちを映せるんです」

阿武町の誤送金事件の場合は、マスコミは田口氏を一方的に叩くだけだったのに対して、ヒカルさんは田口氏の気持ちを聞いていました。

大谷「全マスコミはかなり重く受け止めた方がいいと思います」

これを聞いた若狭はこう語ります。

若狭「去年のフェスのコロナに関しては、他もマイナスで報じているから、うちもマイナスで報じておこう的な、責任逃れ的な報道の仕方がある。
その裏をYouTubeが全部行っているわけですよね」

どう思うんやろ?

大谷「ヒカル君は動画の後半で、堂々と金儲けもちゃんとやりたいって言ってるんですよ」

動画の収益はヒカルさんに入ります。さらに田口氏を、自分が応援している企業に就職斡旋することで、企業の宣伝にもなります。

田口氏は、そこで頑張って働き、ヒカルさんに支援してもらったお金を返すと言っています。

大谷「つまりこれ、全員得してるんです。ヒカルさんが若者の再生に手を貸してる時に、マスコミの人、これをどう思うんやろ?」

誰が「あの席」に座れるか?

大谷「誰かの人生を潰して、そのフォローはしないまま。あたかも、それが客観的で公共性のある報道であるかのように、ずーっとやってきたんですが、今回のヒカルさんがやったことがマスコミの一つの分岐点になっちゃってる気がする」

ここで若狭が、マスコミにおける両論併記の必要性を説明。
Aという意見とBという意見を提示して、じゃあ、みなさんどっちですか?と報じることが理想と言います。

若狭「ところが、コロナに関してもウクライナ情勢に関しても、Aという意見を持つ専門家しかブッキングさえしないんですよね」

大谷「僕が耳が痛いのは、芸人のコメンテーター、みんなそうですから。ディレクターが欲しいと思っているコメントを言う人が、あの席に座れるわけ」

アナウンサーを信じるな

大谷「週明けに、おそらくヒカル君の動画から記事を作ってワイドショーで流すんですよ。なんて言うんやろう?それでも田口さんは絶対に許せないって叩くのかな?」

若狭「そこはそこで、また空気読むんです。こういうのもありですね、なんてクルッと手のひら返す。マスコミには、そんな一面もあるんですよ。怖いですね」

大谷「そういう情報統制みたいなこと、いっぱいやって来たんだなと思う」

さらに大谷はアナウンサーへの不信感を吐露。
大谷は、先日行われたイベント『CBCラジオ夏まつり』で、若狭がステージでアナウンサーにあるまじき暴露話をしていたことに言及しました。

大谷「アナウンサーって立場を振りに使うんだ。一番おいしいじゃねえかコイツと思ったね」

若狭「テレビ、ラジオでは、まじめなことを言っておいてね」

お笑い芸人が言ってもウケないことでも、アナウンサーが言えば、普段とのギャップで笑いがとれます。

大谷「Twitterでも『若狭さん、今日は絶好調だった』みたいなつぶやきばっかり。悔しい~。しかも僕としてた楽屋話で笑い取ってるし(笑)」

若狭「私、酷いです」

「今回のことは聞いてる皆さんも、動画見てもらいたい。今後、情報をどう受け取るか?改めて考え直さないとダメかなと思いました」と締める大谷でした。 
(尾関)
 
若狭敬一のスポ音
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2022年08月06日12時45分~抜粋

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