野球解説者の山田久志さんが、6月11日放送のCBCラジオ『若狭敬一のスポ音』に出演し、ピッチャーの投げ方について解説しました。
山田さんと同郷の若手投手の話から「叩く」「切る」の話になりました。
聞き手は若狭敬一アナウンサーです。
秋田県人の絆
日本ハムファイターズの吉田輝星投手が、いろんな伝手を使い山田さんにLINEを送ってきたそうです。
吉田投手は秋田県立金足農業高校出身。山田さんと同じ秋田県人。
秋田県人の絆は強く、「これからお世話になります」というメッセージをもらって以来、時々LINEでのやりとりがあるそう。
吉田投手は、去年は先発のみでしたが、今年からリリーフでも登板しています。春のキャンプで、阪神やメジャーリーグで活躍した藤川球児さんの指導を受けて急成長したことが報道されていました。
新庄ビッグボスが、吉田投手と藤川さんの投げ方がに共通点を見出し、藤川さんに要請して実現した指導でした。
吉田投手からのライン
ある日、吉田投手から山田さんにこんなLINEが。
「藤川さんに"叩け"って言われて、少しわかるような気もするけど、まだ自分のものにはなってないような気がします」
キャンプで成長したとはいえ、シーズンに入って波がある吉田投手です。
山田さんは「私が一つアドバイスをしてあげましょう」と返したそうです。
さて、どんなアドバイスなのでしょうか?
藤川球児は叩く投手
山田「確かに、球児の指導は参考になったかもわからんけども、君と球児の投げ方は違う。君は切る方なんだと」
若狭「これはまた目から鱗。叩くタイプと切るタイプがいるんですか?」
藤川さんの投球フォームは奇麗なオーバースロー。上から背負い投げのようにバーンと縦に投げ下ろします。これが「叩く」だそうです。
藤川さんは「叩く」投げ方なので、幅43センチのベース盤の上を通す球筋だそうです。
カットとかスライダー系統は投げにくく、直球勝負ができる速さとフォークが武器。
山田「球児の場合は、フォークでもほとんど真っすぐだったもんね。真っすぐの高め。あそこでほとんど勝負っていう、そういうピッチャーだった」
藤川さんはストレート一本でも勝負でき、決め球のフォークはストレートとほとんど同じ軌道。
叩く投手は中継ぎ、抑えとして、ショートイニングを出力マックスで投げる投球法だそうです。
吉田輝星は憲伸タイプ
一方、吉田投手は縦ではなく、若干スリークォーター気味。手首の強い返しも見られます。藤川投手と違い「切る」タイプと判断した山田さん。
「これは私の教えだから、輝星に当てはまるとは言わないけども、まだスピード出てこない。球速が出てこない」
吉田投手が身体の動かし方や手首の動かし方は「切る」タイプだと見ると、ツーシーム系などの小さい横系の曲がるボールを磨いた方が勝てる可能性はあるのでしょうか?
山田「ドラゴンズの最近のピッチャーで言えば、川上憲伸タイプかな。カットとかスライダー。振り下ろす感じじゃないからフォークは得意じゃないけど、カットがすごかった。憲伸のやつこそ、カッターやろうね」
カットボールはスライダーほど大きく曲がりませんが、バッターの手元でボール一つ分ぐらいキュッと切れ味鋭く曲がる球です。
吉田投手については新庄監督と山田さんの意見が分かれました。吉田投手のこれからに注目です。
やっぱり、あの人は別格
他のピッチャーでは、巨人の菅野智之投手、巨人やメジャーで活躍した上原浩治さんは一番理想的なとこから腕が出てくるそうです。そのため様々な球種を操れるとのこと。
そしてメジャーと言えば、日本人メジャーリーガーのパイオニア、この人は?
若狭「じゃあ野茂さんは叩き系?」
山田「叩きっぱなし」
若狭「叩きの典型ですよね。わざわざ、オラーッて捻って、下ろす」
山田「だからストレートも速くなれば、フォークも落ちる。パチーン、パチーンと叩いてフォークを操って、先発完投型って、そんないないわけ。だから野茂なんか本当に珍しいタイプ」
(尾関)
若狭敬一のスポ音
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2022年06月11日12時40分~抜粋