若狭敬一のスポ音

イップスから復活した服部真夕の言葉

名古屋市出身のプロゴルファー服部真夕選手が、2月12日放送のCBCラジオ『若狭敬一のスポ音』に出演しました。

アプローチイップスに悩みながら、2021年にはステップ・アップ・ツアー「Sky レディースABC杯」で6年ぶりの優勝を果たした服部選手。
その言葉に、思わず若狭敬一アナウンサーも賛同します。

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山あり谷あり

服部選手は2007年に19歳で受けたプロテストにトップ合格。
翌2008年にはIDC大塚家具レディスで初優勝と輝かしいスタートを飾ります。
2015年までに5勝を挙げたものの、実は2013年からアプローチイップスに苦しみ、2018年には11年間保持していた賞金シードを失います。

プロ野球選手でよく聞くイップス、今まで自然に出来ていた動作が出来なくなる症状です。心理的なことが要因と言われています。

活路を見出したのが左打ちのアプローチ。

昨年「Sky レディースABC杯」で優勝を果たし、見事復活を遂げました。
 

イップスの兆候

イップスになったのは2013年。この年の開幕から、寄ったり寄らなかったりと、今までなかったミスが出始めたんだそうです。

若狭「アプローチでおじさんゴルファーがするミスって言うと、大体ちゃっくり、ダフリか、トップしてグリーンを越えて行って、うわバンカーみたいな」

服部「それ、よくありました。グリーンの手前から、めちゃくちゃトップして、奥に消えてったりとか全然ありますね。奥のOBに消えたこともありました」

日に日に自分の思っている感覚で打てなくなってきたという服部選手。
そのことで、さらに心理的に追い詰められる悪循環に陥ります。
 

負のスパイラル

服部「グリーンを外したらアプローチしなきゃいけないじゃないですか。それが嫌で嫌で。
何とかして乗せなきゃいけないと思うと、それが逆にプレッシャーになっちゃって。ショットもどんどん曲がるようになっちゃって」

若狭「右左どっちにもですか?」

服部「どっちにもですね。なので、いまコース内にいない、みたいな」

若狭「服部真夕16番ですが、おや?服部真夕だけいませんよ」

実況の真似をする若狭。

服部「本当に崖下に行ったりとかよくありましたね」
 

もがいた時期

服部選手はこのイップスの中、2015年の「CATレディース」では優勝しています。
この時は「勝っちゃった」という感じだったそうです。
事実、この年は開幕から9戦連続で予選落ちしていました。

服部「2015年で勝ちましたけど、イップスが治った訳じゃないんです。
ショットがいくら良くなっても、またシーズンが開幕したら思うようにいかないという状態が続いてたので、もう仕方がないかなっていう感じでしたね」

開幕と同時に不安な気持ちに襲われていたんだそうです。
レギュラーシーズンからシード落ちした後は、下部のステップアップツアーでしのぎを削りました。
その間の2019年から去年2021年までのモチベーションを聞きました。

服部「もちろんレギュラーには出たいですけど、今あるところから頑張っていかないといけないと思ったので、そこは試合があることに感謝。出られる試合で頑張るしかないという感じでしたね」
 

ホールアウトできない

若狭「ゴルフを嫌になることはなかったんですか?」

服部「朝、緊張でどうしよう、ティーショット打てるかなあ?みたいなのは結構ありました」

若狭「プロゴルファーが、ティーショット打てるかな?までくるんですか」

服部「きますね。本当にショットが酷い時は、全部マイナスなことしか出てこないんです」

このマイナスイメージは夢にまで影響するんだとか。

服部「ホールアウトできない夢とか」

ホールにボールが入らない。グリーンに乗らない。バンカーから抜け出せない。打っているのに玉が飛ばない、など。

服部「でも、プロゴルファーあるあるだと思うんですけどね。みんな見ると思うんですけどね(笑)」
 

いい夢は見ない

苦しんだ3年間の中で、1つの光明が左打ちでアプローチをすること。きっかけは呉本キャディーの「左でアプローチしてみるのはどう?」の一言。

服部「今は右より全然寄りますし、その当時に比べたら確実にパーが獲れる。ないしはチップインすることもあるので、もう右でアプローチするよりは全然いいですね」

若狭「左のアプローチをしていてチップインする夢なんて見たりするんですかね?」

服部「いい夢はあまり見ない」

これもプロゴルファーあるあるです。
 

現状を語る

服部「アプローチが打てなくなって、ゴルフが怖くなって。でも勝てるって思ったら、いろんな方法があるんだなって思います。

プロ入りしてからトントン拍子でいい思いもしましたけど、これが今の自分なので、そこはいろんなものをひっくるめて成長していけたらと思います。いいも悪いも全て、自分だなと思いますね」

谷の底にいる時に支えになったものについてはこう語りました。

服部「そばにいてくれる人がいるっていうのは、すごい大きいですね。前の年より順位が上がってるから出られる試合増える。
周りの人に支えられながら、ここまで来てるんだなってすごい実感しますね」
 

必要なのは勇気

現在八方塞がりだと思う人へメッセージがあるとしたら?

服部「苦しんだ時も、必ずそこから抜け出せる方法があると思うんですよね」

服部選手はアプローチイップスになってからはあらゆることをしたそうです。
その時に、邪魔になったのが他人の目と自分のプライド。

外からアプローチするのにパターを持つことが、どうしてもできない時期があったんだとか。しかし、パターを持った方がパーを取れる確率が断然増えていったそうです。

服部「だから邪魔なプライドとか周りの目とか気にしないで、いろんな選択肢の中から良いものが見つかれば、やるっていう勇気も必要だと思います。

今回、左のアプローチっていう珍しいことをやったので、人は何やってんだろう?って思うかもしれないですけど、それがうまくいけば、自分の中でプラスになります。
いろんな方法、いろんな選択肢があるなって思いますよね」

若狭「もがいてもがいて、それが服部選手の場合、左のアプローチっていう奇想天外な方法だったんですもんね」

服部「結局、寄ればいいですから」

若狭「僕もそうです!」

アマチュアもプロも寄ればいいようです。 
(尾関)
 
若狭敬一のスポ音
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2022年02月12日15時24分~抜粋

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