若狭敬一のスポ音

中日・京田選手が受けた死球から、オリンピック開催問題を考える

コロナ禍での開催について議論が巻き起こっている東京オリンピック。また各地の緊急事態宣言発令に伴い、プロ野球界もなかなか落ち着かない状況が続いています。

ダイノジの大谷ノブ彦と若狭敬一アナウンサーが、5月5日に中日の京田陽太選手が受けたデッドボールについての話題から、オリンピック開催の是非まで熱く語りました。

5月15日放送のCBCラジオ『若狭敬一のスポ音』から。

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こどもの日なのに?

5月5日のDeNA戦、京田選手が山崎康晃投手からデッドボールを受けました。
一塁へ行く際に、レガース、グローブをトレーナーに投げつけて怒りを露わにした京田選手については5月8日の番組でも取り上げました。

大谷「感情を露わにしたっていうことに対して、『こどもの日なのに』って意見があったんですけど、これ、若狭さんどう思う?」

若狭「デッドボールは選手生命にも関わる。自分を守るという意味で、感情を露わにして、山崎康晃投手に対して、もう二度と当ててくれるなよというメッセージを、威嚇という形で表現したのではないか?と推測しました」
 

本質はどこか?

大谷「僕、それ聞いて、今めちゃくちゃ良い話聞けたなと思ってる。実は、京田選手側の話が少なすぎるなと思ったんです。
どっちが悪いかと言えば、やっぱり当ててるピッチャーが加害者なんですよ」

この2週間前にも、京田選手は山崎投手からデッドボールを受けています。
このことにはまったく触れられず、クローズアップされるのは京田選手の態度のことばかり。

大谷「さらに『こどもの日だから』とか助長するようなものを出して批判する。昨今、こういうパターンが非常に多い。これはちょっと違うんじゃないかと思うんですよ」

若狭「一回叩こうというスイッチが入ったら、皆さん押しっぱなしです。なので、冷静に考えることができないのではないかなと思います」
 

一緒にしてしまうのはなぜか?

以前この番組で、京田選手のデッドボールの話題を取り上げた際には、同局の宮部和裕アナウンサーが個人的に京田選手に聞いた話を引用しました。

京田選手からは「反省をしている。道具を投げつけた形になったトレーナーには謝った」といのコメント。トレーナーは「京田選手の気持ちを理解しており、丸く収まっている」ということでした。

大谷「京田選手がチャンスで三振した話は別の話。三ツ俣選手が使われないとかっていうのも違う話なのよ。
それを一緒くたにして、叩いていいんだと乗っかるのって、如何ともしがたいなと思っちゃいますね」
 

矛先がズレている

若狭「今のこのコロナの状況、みんなストレスや鬱憤が溜まってて、人を叩きたいモードになるのか?ものすごく怖いうねりのようなものを感じますね」

大谷「水泳の池江選手に『オリンピック辞退しろ』と、脅迫のようなことを郵便で送ってきた人がいるとかいうのも、ものすごく気分の悪いニュースだった。オリンピック反対の気持ちを、そこに直接ぶつけてしまうってなんなんやろ?」

オリンピック反対という気持ちは、表現の自由や内心の自由もあるので思うことは結構。それを言うなら IOC、JOC、東京都、日本政府へという冷静な意見も多いです。

若狭「選手に向かうっていうのは、想像力がちょっと欠けてるんじゃないかなと思いましたね」
 

なぜ発展的な意見が出ない?

若狭の言葉に、再び京田選手の立場を考える大谷。

大谷「そう。想像力が欠けてるんですよ。京田選手の立場を考える、池江選手の立場を考える。もう少し想像してもいいんじゃないかなと思います」

オリンピックの賛否についてはイデオロギーの問題でもあり、徹底的に討論すればいいのではないでしょうか。

大谷「もともとこのオリンピックってさ、今までの歴史で一番お金がかからないオリンピックってところからスタートしたんですよ。それがね、いろんな利権でね、お金がめちゃめちゃかかっちゃった」

それならば原点に戻り、お金をかけずに開催する。さらにコロナ禍でも、できる競技、できない競技を選別して、無事に成功したら、世界のモデルケースになると大谷は主張します。

大谷「スモールなオリンピックだったかもしれないけど、平和で安全で安心で、みんなが楽しめたオリンピックをやりましたよって、これ日本の武器になりますよね。
だからやる、やらないのイデオロギーのぶつけ合いだけじゃなくて、もっと発展的な話が出てもいいのになあと思う」
 

日本の医療システムが問題

若狭「(オリンピックを)やると仮定したら何が考えられるか?やらないと仮定したら何が必要か?も大事なんですよね」

オリンピック開催に危惧されるのが日本の医療崩壊。
諸外国に比べて感染者の数、死亡者の数が圧倒的に少ない日本で、医療崩壊が起きるということは、そもそも医療システムに問題があるのではないか?とも言えます。

若狭「ということは、ここをちゃんと改善しないと。今後日本で国際大会は何もできないんじゃないの?というような恐れさえありますね」
 

もっとポジティブに

大谷「さっきの話でいうと、お金がかからないとスタートしたのに、気付いたらお金がかかってたり、権力者の横槍が入る構造の方が、よっぽど俺は問題だと思う」

こうした構造について議論がされてないことこそ日本の闇ではないかという大谷。

大谷「僕らは、せっかくSNSっていう自分たちを表現できる場、議論できる場所がある。だから、もう少しポジティブな方に持って行って欲しい。特に、京田選手のデッドボール端を発して思うようになりました」

いま必要なのは、大谷が言うように想像力かもしれません。 
(尾関)
 
若狭敬一のスポ音
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2021年05月15日12時48分~抜粋

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