コロナ禍が続く中、今年のプロ野球では、試合時間を短くするために9回打ち切りというルールが決められました。
昨年は延長10回まででしたが、さらに短くなったわけです。
4月24日放送のCBCラジオ『若狭敬一のスポ音』では、元中日ドラゴンズ監督で野球解説者の山田久志さんが、この件と投手起用への持論を語りました。
解説者泣かせの「9回打ち切り」
今年のプロ野球は9回打ち切り。このルール変更の影響について、山田さんは「引き分けが多くなること」「監督采配が変わること」の二つの点を指摘しました。
点を取らなくてはいけないので攻守、全ての面で仕掛けが早くなると言います。
また延長を考えなくてもいいので、選手を注ぎ込んでいく采配に変わってきているんだとか。
山田「9回までに選手を全部使い切ろうという感じが多いね」
観る方からするとエキサイティングな采配とも言えます。特にセ・リーグの場合はピッチャーの打席もあるので、代打や代走の起用がアグレッシブに行われる印象です。
山田「だから我々解説者としては非常に困るわけだ。だって、なかなか読めないじゃない。そんなとこ代走やったってしょうがねえだろうってとこで思いきって代走で勝負かけていったり」
選手へのしわ寄せは?
例年とは違う「9回打ち切り」ルール、投手野手にとっては、疲れが溜まるなど、歪みが出てくる場合はあるのでしょうか?
山田「先発ピッチャーは今までと変わらないでしょうね。リリーフピッチャーの登板数は多くなる可能性がある。しかし延長がないので負担はそんなにはない」
リリーフピッチャーは、1イニングだけ、もしくはワンポイントで起用するという野球になっているとのこと。
30球以上投げちゃダメ
シーズンオフに、よくリリーフピッチャーに取材することがあるという若狭敬一アナがこんなエピソードを披露しました。
登板数が多いと、登板過多と言われますが、実際は登板が少ない方がしんどいんだそうです。
リリーフピッチャーは毎日ブルペンで肩を作っているので、肩を作ってからエンジン全開で投げない日の方がしんどいそうです。
山田「これはやった人にしか分からないよね。わたしはピッチングコーチの時は球数を気にしました。リリーフピッチャーは30球以上は投げたらダメだよってね」
イニング数よりも球数重視。
例えば1イニングで30球投げたピッチャーよりも、イニングを跨ぐことになっても17~18球で終わった方が疲れは溜まらないんだそうです。
ヒートアップしてきた山田さん、ここからさらに持論を展開していきます。
イニング跨ぎが少ない理由
山田「イニング跨ぎって専門語を使うけど、最近のピッチャーはこの経験が少ない。させないのか、できないのかわからないけど、やってみたら何ともないよ。イニング跨ぎは良くないと、自分らで決めてしまってる」
イニング跨ぎは良くないとされている原因。
山田さん曰く、それはコーチもピッチャーもお互いが「この選手を抑えれば仕事は終わり」という気持ちでいるからだそうです。
使う方も使われる側もゴールを決めているため、「もう1回行け」と言われても準備が出来ておらず、イニング跨ぎで調子を維持していくのは難しいんだとか。
山田「普段やっときゃあなんともない。先発でも100球きたら疲れたとかさ。中継でも『そろそろ降板ですかね、球数が来ましたから』って言うけど、誰が決めたんだ?」
若狭「我々もそう伝えがちです」
タブー視じゃ困る
山田「見てください、去年の中日の大野雄大。完投何試合投げた?」
若狭「20試合登板のうち10完投です」
山田「やればできるんだ。今まではそれはタブー視されつつあったんだよ。それでは困るんだ」
山田さんは、リリーフピッチャーをつぎ込む起用法よりも、先発ピッチャーに完投させる監督に期待しているそうです。
山田「中4日、中5日でガンガン行かせる、私はそういう監督が出てきて欲しいの」
時代は回る
山田「今の100球だとか型にはめてやる時代は終わりつつあるよ。終わらなきゃダメよ。時代は変わっていくんだから。野球も変わらなきゃダメ。人生でもそう、変化です」
若狭「人生変化」
山田「変化球を打てなきゃ打率は残せない。真っすぐだけじゃ一軍じゃ通用しない」
山田さんが現役時代は先発完投が当たり前でした。その考えが古くなり、今の終盤にリリーフをつぎ込むシステムができました。
山田「このシステムがずっと良いかといったら、どっこいそれじゃあスーパーエースってのが育っていかないんだ」
変化というより、時代は回るという表現の方が合っているようです。
山田「そろそろですよ。やっぱり先発完投型が出てきつつある。オリックスの山本由伸、平気で投げる。8回、9回の方がボールが速いってどういうこと?やればできるじゃないか」
今年は特にリリーフ陣をつぎ込む采配が多い中、先発完投をさせる監督が出てくるのでしょうか?
(尾関)
若狭敬一のスポ音
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2021年04月24日14時27分~抜粋