若狭敬一のスポ音

「巡回打撃コーチ」の仕事ってどんなの?

中日ドラゴンズの村上隆行巡回打撃コーチが、1月9日放送の『若狭敬一のスポ音』(CBCラジオ)に出演しました。

打撃コーチは知られていますが、「巡回」がつくと通常の打撃コーチとはどう違うのでしょう?
村上コーチがリスナーからの質問にも答えます。

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昨年までは打撃コーチ

村上コーチのプロフィールを紹介しましょう。
1965年8月26日生まれの55歳。福岡県大牟田市の出身で、大牟田高校からドラフト3位で近鉄バファローズに入団。近鉄に17年、西武ライオンズに1年在籍し、プロ18年で1380試合に出場。通算打率2割5分8厘、147本塁打、464打点を記録しています。

引退後は独立リーグの大阪ゴールドビリケーンズや06BULLSの監督を務め、2019年から中日ドラゴンズの一軍打撃コーチに就任しました。
今年からは巡回打撃コーチとして指導にあたります。
 

巡回コーチとは?

村上「一軍に帯同しつつ、ナゴヤ球場で試合がある時には来て、アドバイスをするんですね。簡単に言えば、やることが増えた」

監督が必要とする方針で若い手を育てるための、一軍と二軍を繋ぐパイプ役のような存在なんだとか。

村上「今年は優勝ということを監督も掲げてます。若い選手が伸びてこないと優勝はないんですよ。そういう意味で大役を担っています」
 

気になる石川昂弥について

「石川昂弥選手にものすごく期待しています。村上コーチから見た石川選手の印象は?石川選手は過去、あるいは現在いる NPB の選手ではどんなタイプなのでしょうか?」(Aさん)

村上「本当に素晴らしいバッティングセンスを持っています。バッターはインサイドを打つのが一番苦しいんですよ。そこを捌ける上手さがある。そしてボールを遠くに飛ばす大砲でもありますね」

去年、一軍でヒットが出なかった時期がありました。それについては?

村上「ヒットは出なかったんですけど、しっかりと狙い球を振ってはいたんですよ」

ヒットは、自分のスイングをする中で、当たれば飛んでいくものなんだそうです。
去年は、徹底して弱いところを攻められ、それに反応するための準備ができていなかったんだとか。いわゆる「一軍の壁」というようなものだそうです。

村上「彼の引き出しはまだ空だったんで、その引き出しをどう埋めていこう、ということを経験できたのは財産だったと思います」
 

中日の選手全員にいえる残念な傾向

去年の石川選手は、初球から打っていくことがあまりなかったそうです。
バッターは初球でカウントを取られると焦ってしまい、そうなるとボール球で誘われてしまうんだとか。

ピッチャーから見れば、ファーストストライクを打ってこないとなれば、失投がなくなり、良いところに投げ込めて、どんどん優位になっていきます。
バッターはどんどん自分を追い込んでしまうことになるそうです。

村上「これは、昂弥だけじゃなくて、中日の選手全員に言えることなんです。ファーストストライクをフルスイングする。崩されないで自分のスイングをしっかりやれるようにならないといけません」
 

中村紀洋選手の涙

村上「長距離砲で、僕が最初に思ったのはノリですね。ノリが近鉄時代に入って来た時に、上手かったんですよね」

ノリこと中村紀洋さんはバット使いが上手かったといいます。

「まあ、まあ兄弟になるとは思わなかったですけど」と続ける村上コーチ、実は妹のご主人が中村紀洋さん。

中村さんはフルスイングに拘って豪快に振っていたそうです。

村上「三振もアウトも一緒。ホームランを全部狙うんだっていうことで、彼は周りを認めさせましたから」

現役時代のある日、中村さんから「『バッティングフォームを変えないと、お前はプロ野球では通用しない』と言われた」と泣きながら電話がかかってきたそうです。

村上「あの涙は忘れられないですね。『だったら、とにかく練習するしかない』と言いました。誤解されやすいですけど、彼は繊細なんですよね。認めさせるためには、寝る間も惜しんで練習してましたよ。

一軍に上がってきても、ずっと金魚のフンみたいに僕について回ってました。飯食って、飲んで、それでも寝る前は必ず素振りをしてましたからね。そういうところは素晴らしいですね」
 

コーチの仕事

「選手に声をかける時に気を付けてることはありますか?」(Bさん)

村上「まずは、やりたいようにやらせてあげたい。こうしなさい、ああしなさいって言うのは、向こうから聞いてきてからだと思うんですよ」

キャンプの初日には、その年の方針を監督はじめ各コーチが伝えるそうです。それに則って個人個人にアドバイスをするんだとか。

「もちろん変わんなきゃいけない選手もいます。そういう意味では、昨年、ブレイクしてくれた木下(拓哉)君は、バッティングが思いっきり変わったと思うんです。相手が聞く耳を持つかどうかですよね。そこに興味を持たせるようにするのが僕らの仕事だと思います。

プロに来る選手はみんな技術は持ってますんで、あとは、気持ちを楽にさせてやることだと思うんですよ」
(尾関)
 
若狭敬一のスポ音
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2021年01月09日14時32分~抜粋

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