若狭敬一のスポ音

投手は爆睡?監督は寝れない?プロ野球睡眠事情

プロ野球選手たるもの、ベストコンディションを保つために睡眠が必要です。
しかし選手、コーチ、監督、それぞれの立場で睡眠の質は異なるそうです。

2月29日放送の『若狭敬一のスポ音』では三者の立場を経験した野球解説者の山田久志さんが、睡眠について語りました。聞き手は若狭敬一アナウンサーです。

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現役時代の睡眠は?

山田「現役の時はいかに熟睡するかに気を遣った」

試合によっては熟睡できない時も。
3勝3敗の次の試合の先発や、日本シリーズの初戦を言い渡された時は寝られる方がおかしい、と語る山田さん。

大一番の先発を言い渡されてから就寝までの間に気を遣っていたことはなんでしょう?

山田「とにかく一人になりたい。家族の輪にいたくなくて、一人で自分の部屋に籠ってました」

お子さんたちは、成長するにつれて、家族の輪に加わらない父親の心情を察するようになったそうです。その陰には奥さんの気配りもあったんだとか。
 

寝不足でもええやん

山田「寝てるだろうなとは分かるけども、いつもの寝起きとは違うような気がするよね」

プロ入りして慣れないうちは、登板前日は眠れなかったそうです。例えば最初の開幕を言い渡された時は、対戦相手のことなどを考えて不安で寝付けなかったそうですが…。

山田「それが3年目、4年目となってくるでしょ?良い成績残すじゃないですか?『寝なくてもええやん。少々寝不足でもええやん』となってくる。そうなったらしめたもん」

開幕前日は眠れないものだと思うようになれば、ちゃんとマウンドは守れるんだそうです。

山田「成績が全然駄目だったら、やっぱり寝なあかんと思うけど、ある程度勝ってたら、少々寝なくても大丈夫となる。そうなってきたら寝なくても怖いものなし」
 

登板後は睡眠

では登板後の睡眠は、勝ち負けに左右されるのでしょうか?

山田「監督とコーチと選手で全く違うね」

若狭「また面白い話。選手、山田投手の時はどうだったんですか?」

山田「爆睡。勝っても負けても寝れる。解放されるから」

登板という仕事から解放されて、身体の力も頭の中も空っぽになるそうです。

山田「それが勝ち星だったらなお良いけど、負けたからって、やられたって思うのは一瞬だけ。シャワー浴びて、帰る時はすっかり忘れてるもん。それでスカーッとして寝てるもん」
 

コーチはいつも心配

山田「コーチの時は、あんまり勝ち負けに一喜一憂はしてなかったけども、結構心配してた。ピッチャー一人一人のことを考えてた」

登板させたピッチャーの勝ち負けに関係なく、各ピッチャーの状態を考えなければいけないので、寝付きも悪く、熟睡していないと感じる時が多々あったそうです。それでは監督は?

山田「監督は勝ったら寝られない」

若狭「面白いですねえ。どういうことですか?」

山田「不思議だけどね、監督って勝っても一つも喜んでないんだよね。ゲームセットとなった瞬間、次の日のことを考えてるもんね」

若狭「全然、解放じゃないですね」

山田「だから選手と違うって言ったじゃん。全く違うよ」
 

監督は解放されない

試合が終わっても解放されない監督の頭の中。何を考えているのでしょうか?
例えばサヨナラ勝ちして、いくら選手と抱き合って喜んでも、監督室に戻り、ユニフォームを脱ぎ自宅へ帰って食事をして…と時間が経ってくると。

山田「あそこはやっぱり盗塁よりエンドランの方が良かったかも。あそこで、あの選手を使ったけど、別の選手の方がよかったかなぁ…って考えたら、もう時間がなんぼあっても足りない」

作戦面、選手起用などあらゆる可能性を再考するんだそうです。

山田「負けた時は諦めてるもん。俺の采配が悪かったから、明日やるしかないわって、負けた時は意外と割り切れるの。反対だと思うでしょう?そういうもんだ。どんな監督に聞いてもそうだよ」

試合が終われば選手の時は解放でしたが、監督の時は次のプレイボールまでの準備と反省の時間になっていました。大変な仕事です。

山田「だから監督って、身体壊すのわかる。いつも難しい顔してるのわかるでしょ?」
 

監督は見てない

山田「監督は、ゲーム前でも、バッティングケージのそばとかでいろいろ考えてるんですよ」

バッティングケージ付近にいても、実はバッティング練習はあまり見ていなくて、難しい顔をして試合の展開を考えているんだとか。

そんな監督に、時々解説者が歩み寄って話しかけています。

若狭「あれ、監督にとっては迷惑ですか?」

山田「おっしゃる通りでございます!実に迷惑なんです。大迷惑なんです!自分のリズムが崩れるんです」

解説者の中には、その監督の先輩もいれば後輩もいるし、同期で気楽に話しかけてくる人もいます。そのすべてに対応するのも監督の仕事なんだそうです。
 

監督に話しかけるべからず

山田「これからの試合の展開をいろいろ考えてる時に、いらないこと言われて、それに答えなくちゃいけないでしょ?大変ですよ。だから私、降りていかないでしょ?」

山田さんは解説の仕事をしていても、試合前にグラウンドに降りていくことはないんだとか。

山田「よほど監督に挨拶に行かなくちゃいけない時以外は行かない。そういう時でもほとんどしゃべらない。『放送するから今日よろしく。頑張ってね』ってそれぐらい」

若狭「山田さんがしゃべってるの本当に見たことない」

山田「迷惑かけたくないから行かない。その時間が監督にとって、考える貴重な時間かもわからないじゃない。そこへワーワーと行ったって、大した話はしてないんだから」
(尾関)
 
若狭敬一のスポ音
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2020年02月29日13時19分~抜粋

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