球種も牽制もバレバレ。それでも284勝した山田久志

若狭敬一のスポ音 / スポーツ

元中日ドラゴンズ監督で野球解説者の山田久志さんが、4月27日放送の『若狭敬一のスポ音』に出演し、プロ野球選手の癖について語りました。

ピッチャーの癖をバッターが見抜いて打つ、あるいはランナーが見抜いて盗塁する、ということがありますが、名投手だった山田さんにも癖があり自覚もしていたとのこと。

見抜く打者たちにどう対応したのか?若狭敬一アナウンサーが尋ねます。

球種がバレてる

現役時代の同僚、または他チームのピッチャーの癖についてこう話す山田さん。

「ほとんど全員。ない人はおらず」

山田さんも例外ではなく、相手にはっきりわかる癖があったそうです。

山田さんの投球法は、大きく振りかぶってから投げる「ワインドアップ」と呼ばれるもの。ストレートとカーブではボールの握り方が違うため、頭の上に振りかぶった時の右手首の腱の見え方で、バッターにはストレートかカーブか、はっきりとわかったそうです。

山田「ストレートの時は、この腱が真っ直ぐに向く。カーブ投げる時は腱が見えなくなる。バッターはそこだけ見てて、真っ直ぐが来たらドンとか。バレてる」

 

癖を利用する

若狭「バレてるのに、よく284勝もしましたね」
山田「それを今度、逆に利用する」

利用するとはどういうことでしょう?

山田「真っ直ぐのサインが出た。最初はカーブの握りしてて、振りかぶって、こう下ろしていくんだね」

振りかぶった両手が、左足上げた辺りに下がってきます。

山田「ここで、ヒュッと持ち変える」
若狭「変えるの?」
山田「カーブから真っ直ぐにパッと変えて投げる。バッターはカーブのタイミングで踏み込んだけど、真っすぐがバーっと来るもんだから、あああってなる。それを何度かしたら、バッターっていうのは見なくなるの」

ピッチャーの癖で球種を判断していたのですが、どんな球が来るかわからないとなると、もうバッターはその癖に注目しなくなるんだそうです。
 

一塁ランナーにわかる牽制の癖

山田「セットポジションの時に、私、盗塁フリーパス。全部フリーパス」

山田さんには一塁へのけん制の時に二つの癖があったそうです。
セットポジションでの、投げる時と牽制する時では歩幅が違ったんだとか。

「歩幅でも、僅か何センチよ」と言いながら、山田さんが親指と人差し指を広げた幅はたった3センチぐらい。わずか3センチでも変化に気づかれてしまうのだそうです。

もう一つの癖は肩。

山田「牽制する時は、やや左肩が入ってんだって。背番号が一塁ランナー向いてるわけでしょ。それがちょっと深く入ってるって割れた」

左肩が三塁側にぐっと食い込ませて、背番号17が歪んで見えた時は、牽制が来るとバレていたそうです。
プロ同士の駆け引きのすさまじさを感じるエピソードです。
 

直せないの?

「ホームへ投げるのが主だから。それが疎かになったら嫌なタイプなのよ」

当時の阪急ブレーブス、真田重蔵ピッチングコーチから「監督も言ってるし、直せよ、おまえ」と言われ、二軍に行った山田さんですが…。

山田「直そうと思ってやったけど、やっぱり良いボール行かないのよ。同じように投げようとしても、自分のイメージのボールが行かないのよ。で、『真田さん、どうも上手くいかないんだけど、セカンド行かれても抑えたら良いんでしょ?』って言ったの」

「それ、山田さん、何年目?」と思わず聞く若狭に、「2年目」と答える山田さん。

「それで勘弁してくれないですかねえって言ったら、『バカモノ!もう一回やり直して来い』って言われてバット飛んできた、バットが。それで、歩幅は何とか直ったんですよ」
 

歩幅は直せたけど

一塁へ牽制する時のターンを速くしたいために、歩幅は狭くなるんだそうです。
さらに左肩が三塁側へ入り17番が歪んで見えると…。

山田「その時は絶対牽制球が来るって、ランナーはもう笑ってるわけ。私が動いたら、ランナーはもう、全部一塁に帰る」

歩幅が広めで、17番がきっちりと見えた時には、キャッチャーに投げるとわかります。

山田「そうしたらスライディングせんでも良いぐらいヒューっと二塁へ。私のフォームはゆっくりしてる。あんなんだから。そりゃもう監督とコーチは怒るわねえ」

歩幅は割と簡単に直せたそうですが…

山田「肩だけは直らないのよ。そうかといって、それやったらボールの威力が落ちる。どうしたもんやろうかと思って、悶々として…結局最後まで直さず」
 

甲斐キャノンがあれば

若狭「直らないまま284勝したんですか?」

山田「それ直したら、ボールの威力が落ち過ぎるから、できるだけ速いモーションで投げるクイックを勉強した。足を上げずにパッと投げるのね。
いま1.2秒とか1.25とか言ってるでしょ?この時間なら大丈夫だっていうほうにシフトして行ったの」

ピッチャーが動いてボールがキャッチャーに到達するまでに、大体1.2から1.25秒だと合格。1.3秒になると、盗塁されてセーフになる確率が高くなると言われています。

山田「そうは言ったって、ソフトバンクの甲斐みたいなキャッチャーがいたら牽制なんかしなくていい。全部殺してくれるもん」

ソフトバンクのピッチャーの皆さんは、癖の矯正はどうしているのでしょうか?気になります。
(尾関)
 
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2019年04月27日13時17分~抜粋

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