若狭敬一のスポ音

敏感な山田久志は硬いのがお好き

3月29日にプロ野球が開幕しましたが、今シーズンから4つの球場で、投球マウンドの土が軟らかなものから粘土質の硬いものに変更されています。
東京ドーム、甲子園球場、マツダスタジアムに加え、中日ドラゴンズの本拠地・ナゴヤドームも変わりました。

30日放送のCBCラジオ『若狭敬一のスポ音』では、野球解説者の山田久志さんが、自身のマウンドへのこだわりを含め、この変更について語りました。
聞き手は若狭敬一アナウンサーです。

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マウンドには敏感

去年の11月に日米野球がナゴヤドームで行われました。
その時、アメリカ仕様にナゴヤドームのマウンドの硬さを変えたら、ドラゴンズのピッチャーに好評だったそうです。

そこで、そもそも硬いと言われていたナゴヤドームのマウンドを、さらに硬くしたそうです。

「山田さんは、現役時代、マウンドの硬さに対してはどんなタイプの投手でした?」と聞く若狭アナに、「敏感でした。マウンドの傾斜とか雰囲気とかに非常に敏感でした」と山田さん。

284勝もしているので、マウンドの状態に関係なく果敢に攻めると思いきや、敏感だったんですね。

山田「だから地方球場は大嫌いだった」

地方球場は、プロチームが持っている球場ほど整備が行き届いていません。さらに当時は演歌歌手並みの巡業。

山田「パ・リーグは地方多いよ~。○○シリーズだとか勝手につけるなって。北陸、東北、山陰だ。九州行けば九州一周だとか。バカなこと言うんじゃないよ、ホントに。
当時はファンサービスとはいえ、もう…。選手は文句言ったらいかんのだけど」

話が徐々に逸れていきます。
 

マウンドからバスへ直行

「ドラゴンズが金沢と富山でやる北陸シリーズあるじゃないですか。あれ、ナイター終わったら『移動がしんどい』とか文句言う選手がいるんだけど、あんなのはしょっちゅうだよ!『あんなのしんどい』なんて言われたら、昔のピッチャーは試合なんかできやしない」

声を荒げる山田さん。

九州一周シリーズなどはバスで移動していたそうです。

「ゲーム終わってからだもん。何時に終わるかわかんないじゃない。今だからこそ縦貫道路がダーッとあって鹿児島まで4時間で行けるけど、昔は2倍か3倍かかった」

しかもユニフォームのまま、一刻も早くバスに乗り込んでいたんだとか。

「待たせたら先輩に怒られるから、とにかく早くバスに乗る。インタビューを受けてたら怒られる。『何しとんやお前、アホ』と言われて『はい、すいません』って、そういう時代」
 

アンダースローは膝を打つ

山田「昔の地方球場でやる時のマウンドの硬さとか高さとか、記者席の形とか、球場の形ね、特にピッチャーが見える範囲ね、あれは私は敏感な方だったね。高い低いはあんまり気にしなかった。硬さの方だね」

ようやくマウンドの本題へ戻りました。

「私、アンダーハンドでしょ。掘れてったら右の膝をガンガン突くのよ。打つのよ」

山田さんは右のアンダースロー投手。踏ん張る左足が掘れていきます。

「最初は、右膝が着くか着かないかくらいでシャーっといくのよ。でも中盤から掘れてくるじゃないですか。そうなると右膝を追い込むときに土に着いてしまうの。
着くだけならいいけど、打って痛いのよ。表情には出せんしね。痛いなんか言ったら怒られる。だから硬いほうがよかった」

昭和の時代が感じられる山田さんの話です。
 

前の硬さで良かったのに…

「みんな一緒だけど、先発ピッチャーだけは、前日に自分で要望出せるの。どこの球場でもそうだよ。ホームチームの権利じゃないの」

振り返る山田さん。山田さんの阪急のフランチャイズは西宮球場でした。

若狭アナが、球場担当から聞いた話によれば、現在の予告先発で、その先発ピッチャーによって、土の硬さを微妙に変えられるセ・リーグの球場は甲子園球場だけだそうです。

例えばメッセンジャー投手、藤浪投手によって微妙に硬さを変えているんだとか。

「だけど、よその球団から来た投手はみんな『ナゴヤドームが一番投げやすい』って言うの。一番硬かったのを、それをまた硬くしたんだよね。前のでちょうど良かったんだよ。
メジャーが来て、投げて良かったからメジャー仕様にするなんて間違っとる」

一刀両断する山田さん。

「前までで、本当にちょうど良かったんだよ」と惜しそうです。
 

硬いマウンドが合うピッチャー

先日の北谷キャンプでは、マウンドをナゴヤドームと同じ硬さにしました。

足を使って粘って投げる吉見投手や山井投手は、キャンプの時から『合わない』と言っていました。どちらかと言うと反動で投げるピッチャーは合うようです。

山田「状態の高い人。例えば、左の大野は高いよね。背も大きいよね。そういう人はその硬いマウンドが良い方に行く可能性がある。それと外国人ピッチャーね。外国人で腰を低く移動するピッチャーはほとんど見ない。大体、状態が立ってて、そっから折れていくタイプ。そういうのは硬くて、やや高めに感じるマウンドが投げやすい」

若狭「いろいろあるんですね。山田さんはデリケート?」

山田「もの凄くデリケート。ピッチャーだけじゃないよ。他の物でもデリケート」

こう答えながらも「デリケートっていう意味がわからない」と続ける山田さんも、よくわからないのでした。 
(尾関)
 
若狭敬一のスポ音
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2019年03月30日13時19分~抜粋

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