元中日監督で野球解説者の山田久志さんが、2月16日放送のCBCラジオ『若狭敬一のスポ音』に出演し、昨年中日を引退したレジェンド・岩瀬仁紀さんについて言及しました。
「岩瀬さんはプロ中のプロ」と熱く語る山田さんから、この日は名言も飛び出しました。
本当に1000試合
「ちょっと陰りを見せていた時の岩瀬投手に、あの江夏豊さんが『1000試合投げろよ』と名球会の時に言ったと、以前、山田さんがこの番組で話してくれました。あれから本当に積み重ねて1000まで行きましたね」と言う若狭敬一アナ。
正確な記録は1002試合です。
山田「岩瀬、ちょっとまずいんじゃないかなって言われた時だったよね。あの時から完全復活。いろんな場面で登板してたけども、やっぱり身体が丈夫なんだろうね」
山田さんがコーチ時代、岩瀬さんをリリーフで起用した理由の一つに、お酒を飲まないという話がありました。
岩瀬さんは一滴も飲まず、優勝のビールかけで気持ち悪くなるほどだそうです。
「山田さんは?」と聞く若狭に、「私は、天まで上る」ときっぱり言う山田さんでした。
意外なコーチの仕事
話はコーチの仕事の話題へ。遠征先の食事会場では、選手の体調を知るために各選手の食事の様子を見るんだそうです。
若狭「そんなとこまで見てるんですね」
山田「見てないふりして見てるのがコーチの仕事よ」
では監督は?
山田「監督がいるとバカな話しできないし。負けた時なんか特に監督が来たらささっと食ってパッと帰りたいもん。何言われるかわからないし」
選手が気を遣うから監督は食事会場には行かないのだそうです。
監督はつらいよ
山田「監督もつらいんですよ。一人で食べないかんし。本当はあそこ行って、勝った時は、みんなで良かったなあって、やりたいの。
でも、それをやったらダメ。負けた時なんか特に選手と喋りたいことがいっぱいあるじゃないですか。食事会場っていうのは言い訳の場だから」
食事会場は選手にとって愚痴のはけ口。ガス抜きの場所でもあるそうです。
山田「コーチ、監督の悪口を言ったりする。選手にとって一番大事な場所なの。できるだけ距離を置いてやって、選手の時間にしてやる」
そんなわけでコーチは選手のテーブルにいっても、あまり長居はしないようにするそうです。
しかし失敗した選手には、ちゃんと「大丈夫。誰だって失敗はある。飯食って寝たら大丈夫や」とフォローするんだそうです。
対照的な二人の投手
岩瀬投手について、こう振り返る山田さん。
山田「あんまり食べなかったね。ガツガツ食べてる姿はほとんど見かけなかったかな。岩瀬って、付き合いのいいやつでね。お酒も飲まなきゃ、食事もガーッと食べるほうじゃないんだけど、みんなと喋ったりニコニコしてたり、非常に良い雰囲気の選手だった」
対照的なのが川上憲伸さん。
「憲伸は食う。憲伸の食欲は凄いぜ。あの身体が出来上がるのがわかる」
その二人、かなり仲が良いそうです。
山田「岩瀬と憲伸の会話は漫才より面白いよ。岩瀬はあんまり喋るタイプじゃないけども、本当の友だち関係だったら面白いこと喋るよ」
こう話しながら、何やら思い出し笑いをする山田さんです。
考えただけで無理
今後、1000試合登板のピッチャーは出てこない?
山田「ピッチャーの立場でやってきた人間からすればね、それは無理だろう」
1000試合登板は50試合登板を20年続ける計算です。
山田「それを考えただけで、誰がやれるんや?それも怪我なくね。ワンポイントとかそんなんじゃないよ」
岩瀬さんは3分の1イニングを投げて試合数を重ねたわけではありません。
山田「今でいうセットアッパーを任されて、次は抑え任されて。チームの勝敗を最後に握る選手が長いことやるっていうのは、大変なことですよ」
体力、精神力、そして普段の節制があってこその1000試合登板と強調します。
プロ中のプロとは?
「人の話を聞き入れる力を持ってるのが岩瀬の一つの大きなポイントだったと思うね」と山田さん。
山田「自分に必要なものはどんどん取り入れていく。いらないなと思うと省いていく。そういう作業ができる。シンプルにシンプルになっていったから、ここまで来れた。それができるのがプロ中のプロ。プロっていうのはいらないものを省く人ですからね」
逆にアマチュアは何でもかんでも入れ過ぎてわからなくなるのだそうです。
山田「プロも同じものを入れるんだけども、一番大事なものだけは残して後は捨ててく。それができたのが岩瀬。だからここまで出来た。
どんどん取り入れて、その後、捨ててシンプルになる。それが出来るのがプロ」
(尾関)
若狭敬一のスポ音
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2019年02月16日13時18分~抜粋