若狭敬一のスポ音

山田久志さんが語る、鉄人・衣笠祥雄さんとの思い出

8月11日『若狭敬一のスポ音』、「山田久志の栄光に近道なし」のコーナーでは、山田久志さんが、鉄人と呼ばれ今年4月に亡くなられた元広島カープの衣笠祥雄さんについて語りました。

衣笠さんとの思い出を明かす山田さんに、パーソナリティの若狭敬一アナもただただ驚きました。

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こんな心境は初めて

今年プロ野球界では大きな訃報がありました。1月には星野仙一さん、4月には衣笠祥雄さんがお亡くなりになりました。

「二人のお別れの会は行きましたけども、本当は行きたくないぐらいの心境になってたね。あまりにも身近だったからね。
なんか自分一人で消化してしまいたいなっていう感じがあって。思い偲ぶってのは自分一人でいいやって。そういう心境になったのは今までなかったね」

もともと山田さんは、めでたい席にはあんまり出て行きたくないタイプだそうです。
○○就任パーティー、○○社50周年記念などのお祝い事や結婚式にも出ないそうです。

「逆に、少し皆さんが辛い思いしてるとかね、そういう時にやっぱちょっとだけでも顔を出すということを今までやってきてたんですよ。顔を出して一緒に偲ぶ。でも、今回、この星野さん、衣笠さんの時は、やめようかなという心境の方が強かった」

とにかく豪快

山田さんが衣笠祥雄さんについて語ります。

「最初に私が会った時から、人間的にあれほど変わっていけるもんかと思うぐらい丸くなった。私の先輩でありながら、言葉は悪いけど、最初一緒に遊んでた頃は、私よりやんちゃ。相当やんちゃ!
京都の平安高校出てきて広島カープっていう厳しいとこ行って、こんなやんちゃな人もいるんだなってのが第一印象」

しかも豪快な方だったそうで…。

「お酒は飲む飲む。タバコはバカバカ吸う」

さらに食事は…

「肉食。中途半端な肉食じゃないよ。本当に肉とワイン」

密かなお祝い

「こうやって改めて、衣笠さんの話をどうでしたか?って聞かれると、いろんな思い出がバンバン出てくるね。一緒にゴルフやればよく飲んだし、2,000本安打のお祝いも何人かで密かにやったし」

衣笠さんは盛大にお祝いをするというタイプではなかったそうです。
2,000本安打の密かなお祝いに呼ばれたのは、山田さんの他にどういう面々だったのでしょうか?

「同じカープの江夏豊。言葉は当てはまるかどうかわからんけども、この二人は俗に言う兄弟分みたいなもん。
何十年と、男と男の繋がりみたいなのがずーっと続いてんの。かっこいいと思ったもん。だからね『2,000本の衣笠をちょっとお祝いしたいんだ、山ちゃん付き合ってくれ』って江夏が言うもんだから参加しました」

会場は、作詞家・作家として有名な山口洋子さんが経営していた銀座の「姫」という超高級クラブ。野球選手も芸能人をはじめ、各界の著名人も通った店として有名でした。

「1階はそういう女性がいっぱいいて。 2階は女性がいないって言う場所。そこを借り切って、わずか4~5人でやった」

不思議な大宴会

現役時代、山田さんは阪急、衣笠さんは広島でそれぞれプレーしていました。ふたりの接点はどこであったんでしょうか?

「オープン戦で、広島と阪急のレギュラークラスの選手が集まってする食事会が、恒例であったんですよ。これ、不思議なんですよ。オープン戦で広島に行った時に、広島の有名な人がセッティングしてくれるんです」

広島からは山本浩二さん、衣笠さん、阪急からは山田さんをはじめ、福本豊さんなど、両チームのスター選手が一同に介し、飲めや食えやの大宴会だったそうです。
毎年両球団のオープン戦は広島で行なわれていたため、この宴会が楽しみだったという山田さん。

オープン戦の約束事

「その時は、衣笠、山本浩二、水谷(実雄)さんっていう強力なクリーンナップがいたの。彼らには全て真っすぐを投げる。そういう約束事があるわけ」

若狭「なんだか良いプロ野球の時代だなあ」
山田「オープン戦だから、とにかくもう決まってるの」
若狭「オール真っすぐ?」
山田「オール真っすぐ」

「私が真っすぐバンバン投げて山本浩二さんを空振りに取ったり、衣笠さんをフライに打ち取ったり、水谷さんを押さえたら、出来上がり。今年もこれで出来上がったなという一つの目安。それを打てない三人はまだやらなきゃアカンとなるわけ。そういう勝負をしてた」

まさにプロ野球のオープン戦って感じで、力と力の勝負です。

「若いピッチャーをばんばん打ったってしょうがないと思うし。まだ駆け出しの人を抑えたって自分の現状は計れない。昔の選手には自分の基準があった。

そして交流が深くなっていって。で東京行ったらカープの選手とまたこれが宿舎が一緒なの。こんなこともあるんだなって、また、つるんで行くんですよ。広島の選手も、なかなか広島じゃ遊べないから東京では元気なの。豪快だったね」

二人で胃の調子が悪くなる

名球会でのこんな思い出もあります。

「名球会で一緒に食事する時があるじゃないですか。でも衣笠さんは食べられるものが決まっている。
肉。他の料理だとビールとワインを飲むしかないじゃないですか」

シーフードに行く、となった時に、こんな会話があったそうです。

衣笠「山ちゃん、付き合ってくれよ。今日シーフードやろ?」
山田「そうですね。美味しいらしいですよ、祥さん、行きましょうよ」
衣笠「俺と二人、急に体調悪いって言わんか?」

「はー。山田さん、仲いいですね」と思わず感心してしまう若狭に、「仲良かった。TBSとCBCで年に2回ぐらい全国放送をする時は、衣笠さんと私と、常に解説のメンバーだったじゃん」という山田さん。
W解説の時は山田さんと衣笠さんでした。

「当時、もう決まりだったの。その時は必ずゴルフと食事がついてくる。だから、いろんなこと知ってますよ」

ワインを教えてもらう

話はそれましたが、結局その日は肉料理を食べに行ったのかとの問いに「行った」と一言、律義な山田さんです

「急に、ちょっと胃の調子が悪いとか言いながら、肉をがんがん二人で食ってた。あの人は、ワインも詳しくてね。山ちゃん、赤ワインはこれを飲みなさい。白ワインはこれだからね、とよく説明してくれた。赤ワインが好きだったね」

語りだしたら止まらない衣笠さんとの思い出です。

夏の甲子園。この日、11日は衣笠祥雄さんの母校、龍谷大平安高校が第1試合でサヨナラ勝ちしました。春夏、通算100勝目を飾りました。原田監督インタビューで涙していました。天国の衣笠さんも、後輩たちのプレーを笑顔で見守っていたと思います。
(尾関)
若狭敬一のスポ音
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2018年08月11日13時18分~抜粋

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