RADIO MIKU

クリプトン伊藤代表の考えるイベントの意義、バーチャルシンガーの未来

初音ミク」をはじめとするバーチャルシンガーの生みの親、クリプトン・フューチャー・メディア株式会社代表取締役の伊藤博之さんが、3月19日放送の『RADIO MIKU EX』に出演しました。

3週目となる今回のインタビューでは、コロナ禍におけるイベントについて、そして初音ミクたちバーチャルシンガーへのメッセージを清水藍が尋ねます。

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コロナ禍によるイベントへの影響

3週目となる今回のインタビューは、コロナ禍でのイベント運営からスタートしました。
初音ミクのワールドツアー『MIKU EXPO』は大きな影響を受けてしまいました。

伊藤さん「もう2年経ちますよね。海外イベントは今でもことごとくダメで諦めざるを得ないというか。
ただ『MIKU EXPO』みたいな世界ツアーは2014年からスタートしてるんですけど、毎年必ず続けていたコンサートツアーなので途切れさせたくないんですよ」

幸い2020年は1月にヨーロッパツアーをギリギリ開催できたものの、2021年は壁にぶつかります。
海外への渡航はもちろん、国内での有観客開催も難しいため、初のオンライン開催になりました。

クリプトン社のある札幌の駅の上にステージを作り、屋外でのライブ映像を配信しました。

そしてこの2022年は、過去のツアーで各国を巡った際の映像から構成されることが発表されています。
「またいつかオフラインでMIKU EXPOをやろう」という機運を高めたいとの思いでオンライン配信することになったと明かしました。
 

オフラインイベントの意義

ちなみに『マジカルミライ』は、感染対策の影響で席間隔を空ける、声を出せないなどの制限はありましたが、一昨年も昨年も無事に開催できました。
今年は『マジカルミライ』10周年となります。

伊藤さん「居場所のように捉えている方もいて、年に一度とかそこに行くと会えたり、ファンの集いの場所・接点でもあるのかなと。そういう意味では継続して開催していくべきイベントなのかなと思ってます」

インターネットを通じていつでも初音ミクたちバーチャルシンガーともつながり、創作を楽しむこともできすが、イベントはファン同士だけでなく、クリエイターとファンが触れ合えたり、企業がファンと会える貴重な場にもなっています。

実はCBCラジオも、昨年の『マジカルミライ』でブースを出展しました。
清水たちの作った衣装をまとったフィギュアや、イラストなどが展示され、ファンから同人ブースと言われていましたが、伊藤さんは「ファンとの交流の場としてとてもいいと思って見ていた」と語ります。
見られていたことに驚く清水です。
 

できることを増やしたい

ヤマハのVOCALOIDに対応の『初音ミク』現行商品はV4Xですが、2020年秋に新たなエンジンによる『初音ミクNT』が登場しました。

伊藤さん「歌声の技術はどんどん進化してると思うんですけど、初音ミクに限らずバーチャルシンガーに限らず、人間の声だって機械で補正をかけることで機械っぽくしたり、下手な人もうまく聞こえるようにしたりできるんです。

そういったテクノロジー活用することは、音楽文化に貢献できるはずだし初音ミクの場合は生身のシンガーがいなくてもコンピューターの中で歌わせて作品を完成させて投稿できる。新しい創作のジャンルを築いたと思うんです。

NTは初音ミクの良さを維持しながら、歌い方の種類を増やすために今も開発を続けています。これからも進化し続けていくと思ってるので注目してほしいですね」

初音ミク以外のキャラクターのNT化に関してはどう考えているのでしょうか?

伊藤さん「初音ミク以外のキャラクターも順次進めていきたいと考えています」

他のキャラクターも含めてできることを増やし、ボカロ文化がもっと面白くなるように努めたいと力強く語る伊藤さん。
 

バーチャルシンガーたちに伝えたいこと

その『初音ミク』は今年、発売から15周年を迎えます。
伊藤さんが6人のバーチャルシンガーたちに言葉を伝えるとしたら?

伊藤さん「鏡音リン・レンが今年14周年で、来年15周年、再来年16周年とだんだん年数を重ねていくんだけど、ずっと(キャラクター設定の)14歳なんですよ。

初音みくも同じですよね。来年16周年でリアル16歳のバースデーがあって、その後は『歳とらないね、永遠の16歳だね』って言われるんじゃないかって思いますね」

バーチャルシンガーはもう新しい概念ではなく、存在が普遍的になっていくと見ている伊藤さん。

音声合成技術は進化を続けており、バーチャルシンガーにもAIが採用されるようになっています。

しかし人間が音楽を作るからこそ感動し、人間がバーチャルシンガーの声で表現して発表することは変わりません。
こうした音楽を聴いた人が感謝の言葉を伝えたり、楽曲やグッズを買って支える循環があることを感じているという伊藤さん。

「この循環を続けるために、バーチャルシンガーには頑張って欲しい」と締めくくりました。
(葉月智世)
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2022年03月19日20時35分~抜粋

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