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吐きそうなほどのプレッシャー。KAITOアニバーサリーソングへのRe:nGの想いとは

クリプトン・フューチャー・メディアが「初音ミク」より前に発表した男性のバーチャルシンガーKAITO。

その15周年アニバーサリーソングとして「レイニースノードロップ」を発表したのがボカロPのRe:nGさん。

先週に引き続き、11月6日放送の『RADIO MIKU EX』(CBCラジオ)にクリエイターゲストとして出演しました。
清水藍がアニバーサリーソングやKAITOにまつわるエピソードを尋ねます。

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ファンに応えるプレッシャー

KAITO15周年アニバーサリーソングの制作を依頼された時の心境を尋ねられたRe:nGさん。

「いやぁ…プレッシャーですよ」

漏れ出た本音に、つい笑ってしまう清水。

KAITOはもちろん、Re:nGさん自身の歴史、積み上がっていく年月に比例して難しくなっていくと話します。
ファンのKAITOに対する愛や期待の重さを身に染みて知っているからこそ、いい曲になりそうだという手応えを掴むまで、吐きそうになるほどプレッシャーを感じたそうです。

今までKAITOの曲を幾つも制作していても、この依頼は緊張感も別格と言います。

Re:nGさんがKAITOを使い始めたのはV3バージョンからですが、初代V1の頃からKAITOを盛り上げていた人たちへのリスペクトも持っています。
2007年からボーカロイド界隈やKAITOをずっと見てきたRe:nGさんの視点で、深堀りしていったそうです。
 

こだわりポイント

続いて、アニバーサリーソングとなった「レイニースノードロップ」のこだわりポイントについて。

Re:nG「マジカルミライ2021で披露される前提だったので、バンドで聴いた時に映えるアレンジを意識しました。
あとはファンや音楽関係者に、僕のストリングスアレンジが好きだと言ってくださる方が多いので。そういう部分を取り入れていきたいと思って」

Re:nGさんは初音ミクを使ったポップチューンからKAITOのエキゾチックな雰囲気、ピコピコサウンドまで幅広い曲調を発表しています。

様々な曲調を使い分けるRe:nGさんが今回選んだのはバンドサウンド。
実際に初音ミク「マジカルミライ2021」のステージで演奏されるのを楽しみにしているとのことでした。
 

KAITOで印象に残っていること

KAITOについて、特に思い出に残っているエピソードを語るRe:nGさん。

「KAITOのファンはあまりめげないというか、つらいことを笑い飛ばして次につなげていくというか、糧にしていくところがすごいと思いますね」

ソフトウェア「KAITO」は発売当時、先行して発売された「MEIKO」の3,000本に対し、500本しか売れなかったという逸話があるそうです。

またAmazonにCDが登録された後、いつの間にか消えていたこともありました。清水も当初はネタっぽく扱われていたと振り返ります。
現在のKAITOは愛されキャラに成長しましたが、苦難が多かったことは間違いありません。

Re:nG「僕のKAITOは特殊というか、やさぐれ感とか遊び人タイプなので」

Re:nGさん曰く、王道の王子様のイメージでKAITOを作ることができないので、王道を追求しているクリエイターにもっと頑張ってもらいたいとのこと。

清水も、KAITOは作り手によってキャラクターが様々で、クリプトンが発売しているキャラの中でも一番振れ幅が広いと分析します。
 

KAITOで曲作りを始めたきっかけ

ところでRe:nGさんがKAITOで曲を作り始めたきっかけは?

Re:nG「ずっと声がいいなと思ってたんです。でも初音ミクはV2だったので、KAITOのV1に手を出す勇気がなくて。V3なら扱いやすくなってるだろうと」

どうやら技術的な問題からのようです。
バーチャルシンガーが歌うためのソフトウェア、YAMAHAのVOCALOIDは数年おきに進化してきました。特にV1とそれ以降ではパラメータやコントロールの仕方が大きく変わっています。

初音ミクの曲を作る時は、自分にない女性像が出ている気がするものの、KAITOは自分自身も男性なので素に近い曲が作りやすいとのこと。
Re:nGさんは自分の声にコンプレックスがあるため、美声のKAITOに歌ってもらえるのが嬉しくて使っていると明かしました。

実は、Re:nGさんには自身で「歌ってみた」に投稿した過去が。そのことを清水がツッコむと…。

Re:nG「あれはお遊びですから(苦笑)」

楽しく遊べるのもニコニコ動画の長所だと答えます。
 

初心者へのアドバイス

ボカロPが脚光を浴びる最近、ボカロ曲を作ろうと考えている、あるいは作り始めて間もないビギナーが増えています。
Re:nGさんからのアドバイスです。

「バンドスコアとか、譜面を打ち込むのはすごく大事だと思います。曲の流れや作りが何曲かやってると見えてくるので。
いきなり作るのではなく、他人の曲を打ち込んでみるのはためになると思いますよ」

譜面がなくても聞き取れるになれば耳コピと、段階を踏めば力が付くと話します。

Re:nGさんは今でも耳コピをしながら、最近の曲のトレンドなどを得ているそうです。
いつになっても他アーティストの曲から学ぶことは多いとのこと。
 

Re:nGさんの曲作り

曲を作る時は、前回作った曲やジャンルを参考に、「今回はこんな曲にしよう」と考えるのだとか。
ファンにも楽しんでもらいたいため、意外性を意識しているそうです。

ボカロ曲の魅力について聞くとこんな答えが。

Re:nG「一般に流れている音楽は『こういう曲を作ってほしい』って依頼で作られてるので。
ボカロ曲は作り手の『こういう曲を作りたい』って思いがそのまま出せるので。しがらみのない、価値のある文化だと思います」

好きを貫いたRe:nGさんの言葉から、KAITOへの深い愛情とボカロシーンへの思いが溢れ出たインタビューでした。
(葉月智世)
 
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2021年11月06日20時35分~抜粋

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