RADIO MIKU

ボカロPが食べていける未来を…ボカコレ中の人の熱い想い

2007年8月に発売された「初音ミク」の名と楽曲を広めたのは、その前年にサービスを開始したニコニコ動画でした。

それから14年経った現在、音楽業界のトレンドとなっているボカロP。
最近のニコニコ動画では、ボカロPやボカロ楽曲はどんな立ち位置なのでしょうか?

10月14日から始まるニコニコのネットイベント『The VOCALOID Collection~2021 Autumn~』(ボカコレ)の企画担当、株式会社ドワンゴの丸山堅大さんへ、清水藍が質問しました。
9月12日放送の『RADIO MIKU EX』より。

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最近のニコニコ動画の動向は?

清水「最近のニコニコ動画についてお聞きしたいんですが。投稿されている動画の数ってどうなんでしょうか?」

丸山「ボカロ系の動画と投稿者数に関しては、どちらも年々増えていて盛り上がっていってますよ」

確実にユーザー数も投稿動画も増えているという丸山さん。
現在20代のボカロPは、小学生の頃からボカロを聞いて育った方も多く、また中高生になった頃にDTM機材を手に入れるケースも多いようです。

「憧れていたあの音楽が自分で作れるんだ!」という高いモチベーションが、投稿の増えている要因ではないかと分析した丸山さん。

また他の要因としてDTM機材が手頃な価格になったこと、iPadやiPhoneのアプリで楽曲を作れる手軽さも関係しているそうです。
 

声の種類増加で魅力もアップ

ボーカロイド(バーチャルシンガー)の種類が増えたことも要因ではないかと投げかける清水。

「そうですね、もう何体あるか把握しきれていない」と頷く丸山さん。
10年以上愛用されるキャラクターたちに加え、喋り専門の「ボイスロイド」のシンガー版も登場するなど、ボカロ楽曲はキャラクター戦国時代と言える状態です。

丸山「使う側からしたら、声の選択肢が増えるのは表現の幅が広がるってことで。ますます作曲が面白くなっていくっていう意味でもいいことなんじゃないかと思います」

またクリエイターが曲によってキャラクターを使い分けることも増えています。歌声によって楽曲の種類や雰囲気が変わることで、そのクリエイターの魅力を垣間見ることができるのも、ボカロ楽曲の楽しみのひとつです。

開設して間もないニコニコ動画では、ボカロ楽曲が一躍人気ジャンルとなりました。
丸山「ニコニコ動画ではゲーム・アニメが人気ですが、ボカロも同様の人気と規模がありまして。『ニコニコ動画と言えばボーカロイド』というのは間違いないですね」
 

ニコニコにとってのボカロ楽曲

ボカロ曲の立ち位置としては、「一次創作の源流なので、二次創作を生み出すひとつの大きなカルチャーだと思う」と話す丸山さん。

「歌ってみた」「踊ってみた」「演奏してみた」などで二次創作化される楽曲の多くはボカロ曲で作られています。

丸山「ボカロ曲の二次創作は主にニコニコ動画で流行ってきたカルチャーですが、今や他のプラットフォーム(YouTubeやTikTok)にも広がっており、他のプラットフォームでも盛り上がるカルチャーの源流となっていることからも、ボカロがインターネットのカルチャーを作っている一つの源泉ではないかと思っています」

清水「今では、日本のポップシーンのみならず、音楽シーンを彩っている存在という気がしますね」
 

ボカコレに込めた熱い思い

丸山さんが企画したボカコレは、『ニコニコネット超会議』のボカロ特化版として、昨年冬から独立して開催されるイベント。10月の開催で3回目となります。

丸山「ボカコレは数多くの新作ボカロ動画が集まるランキング企画・ライブイベントなど、すべての人々がネット・リアル両面で楽しめるコンテンツを展開して、クリエイターとユーザーが主役になれることを目指しています」

他にも、この『RADIO MIKU』などメディアとパートナーシップを展開して垣根を超えたネット最大のボカロイベントとして盛り上げたいと意気込む丸山さん。
特に今回はルーキー(新人ボカロP)を盛り上げたいと考えているそうです。

丸山「ボカロPに注目が集まって、音楽で生きていく(食べていく)ことが具体的になればいいと思ってボカコレを作りました」

学生でボカロPとして活躍されている方も多いのですが、彼らにとって「就職」は避けて通れない問題です。
作曲を趣味として割り切るか、引退して就職する人が多いと感じていた丸山さん。

「音楽で食べていくことをリアルに感じてほしい」という思いから、ランキング企画で賞金を用意したのも今回の特徴。
クリエイター応援企画、クリエイター奨励プログラムを通じて、音楽で稼ぐことを現実に考えるきっかけになれば、と語る丸山さん。

ひとりでも多くの才能あるクリエイターが音楽を作ることで活躍してくれたら、わたしたちも嬉しいもの。
丸山さんたち制作側にとっても、クリエイターやユーザーにとっても夢が詰まった祭典であることが伝わってくるお話でした。
(葉月智世)
 
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2021年09月12日22時09分~抜粋

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